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SEMICON West 2014レポート:

Sustainable Manufacturing Forum報告

多くの課題に直面する次世代のサステイナビリティ

SEMI ポーラ・ドー

半導体業界はこれまで、エネルギーと水の使用量および排出ガスの効果的な削減に関して、大きな進歩を遂げてきました。これは、多くの企業がサステイナビリティを新規プロセスおよび装置の設計における中心的な要件として位置づけてきたことによるものです。しかし、この取り組みはこれまで以上に困難なものになろうとしています。これが意味するのは、革新的な技術で付加価値を高める機会が増えるということであり、また業界全体で協業を進めることが必要になるということです。

4日間にわたって開催されたSEMICON West 2014のSustainable Manufacturing Forumでは、次世代技術に求められる要件として、使用する材料の大幅な増加への対処、そして多様で扱いの困難な材料への対処の2つが求められるという意見が、専門家たちから示されました。同フォーラムの「Next Generation ECO Fab」セッションで、ASMLのバート・プランティング氏(製品安全担当マネージャ)は、EUVリソグラフィでは高出力の光源を使用するためエネルギー使用量が4~5倍に増えるとともに、リサイクルが不可能な水素の使用量も増加するという点を指摘しました。また、Air Products Electronic Divisionのジーン・カーワッキ氏(戦略的コラボレーション/インテグレーション担当ディレクタ)が指摘したのは、450mmウェーハは別にしても、各社は月間ウェーハ投入枚数(WSPM)10万枚のメガファブに目を向け始めているという点です。これらのメガファブでは使用する材料および化学物質の量がこれまでとは桁違いに増え、450mmと同じように困難なものとなるでしょう。

プロセスステップの増加、加工寸法の微細化、サーマルバジェットの削減といった要因によってガス流量が増大するのも、450mmウェーハと同じです。また、III-V族、ナノ材料、そしてまだ研究が進んでいない多くの新材料の使用が増えてくると、排気と廃棄物の管理に関する新しい課題も生じます。ファブにおけるキセノンやヘリウムなど希少材料の使用量も増えており、経済性を高めるには再利用が必要です。新規装置およびファブの改良は設計時点に行うのが最も容易ですが、こうして改良された技術を、IoTに向けて多くのデバイスが製造される既存のファブにも還元していく必要があります。

法規制もますます複雑になっており、各地域で異なる新しい規制が次々と導入されています。場合によっては、半導体製造装置が工作機械や炉など関連性の低いものと一括りにして規制されていることもあります。また、最近は証券アナリストがサステイナビリティについて質問し、出資者からは環境影響の完全な定量化と説明責任が求められ、顧客からは装置のエネルギー使用量を30%削減することが要求されていると指摘する専門家もいました。Applied Materialsのフロントエンド製品担当CTO、スティーブ・モファット氏は次のようにコメントしました。「コストが2倍になるなら7nmのデバイスを製造する意味はありません。水とエネルギーの使用量が2倍に増えるとしても、やはり製造する意味はないでしょう。」

高付加価値の課題解決に向けたチャンス

まず大きな問題となるのが、消費量と排出量の計測、モデル化、ベンチマーク評価の方法です。「計測できないものは管理しようがありません。EHSはこれまで非常に定性的な分野でしたが、この状況を変えていく必要があります」とモファット氏は述べています。

Sustainable Manufacturing Forumでは、IMECのファブおよびプロセスステップR&D&M担当VP、ハンス・レボン氏による講演もありました。この中で同氏は、スマートファブおよび装置サプライヤがプロセスを差別化するための今後の技術開発戦略について、多くの項目を提示しました。そのほとんどがまた、新しいモニタリングおよび計測の技術を必要とします。

  • エアハンドリングおよび熱の再利用を改善することで、装置の熱負荷を軽減するとともに、エネルギーを削減できる可能性があります。サブファブ構造を導入し、サブファブツールを使用しない間はスリープまたはアイドルモードにすることで、エネルギー使用量と窒素消費量をさらに削減できます。

  • 除湿によって生じた水や処理済み廃水を他の用途に利用することにより、回収して再利用する水量を増やすことができます。そのためには、水質をモニターするためのセンサが新たに必要になります。水質の違いに応じてプロセス装置に別々の排水路を追加し、処理系統を分けるのも1つの方法です。例えば、最初の洗浄と最後の洗浄で生じる汚水では汚染度が大きく異なるため、別々に処理します。閉ループでウェット処理が行える装置があればなお効果的です。

  • 化学廃棄物を削減するには、ガス使用量の少ない、またはガスの使用効率を高めたプロセスチャンバが必要です。化学物質は無害であることが理想ですが、それが不可能な場合はなるべく効率的に回収、再処理、再利用し、それさえ不可能なら少なくとも環境に排出されないように処分する必要があります。使用される水素はほとんど汚染を受けませんが、水素の回収とモニタリングを妥当な所有コストで実現できる技術はまだありません。

業界全体の協力の必要性

もはや、これらすべてを一社で効果的に達成できる企業など存在しません。「プロセスを設計する際には装置の種類に応じたニーズを考慮する必要があります。そのためには企業の垣根を越えた連携が必要です」とレボン氏は述べています。サステイナビリティを現実に即した形で評価するには、全体像を見ることも必要です。例えばある先端プロセスでエネルギーの使用量が増えたとしても、それによって他のプロセスのエネルギー使用量が減ることも考えられます。あるいは、そのプロセスで製造される最終製品の消費電力が削減されれば、製品のライフサイクル全体で見た場合に、実質的にエネルギーが削減される場合もあります。

問題の多くは、インターフェイス部分で発生しています。最近ファブでの使用が一般的になりつつある有機金属化合物など、高エネルギー材料の最適な取り扱い方法についてSEMATECHが最近実施した共同プロジェクトによると、漏出、化学反応、火災、爆発などの大半が、プロセスステップ間で発生していることが明らかになっています。ユーザーには材料およびその取り扱いについての十分な知識がなく、材料サプライヤの側もこれら材料の適用範囲、相互作用、取り扱いを理解していないケースが多く見られました。SEMATECHのEHS担当マネージャ、スティーブ・トラメル氏は次のように述べています。「プロセスチャンバおよび真空ポンプ設計では、早い段階から新しい材料のリスクとコントロールについて、業界全体で議論していく必要があります。」

この共同プロジェクトにおいて、半導体メーカー各社で最近発生した70件のインシデントの根本原因を調査したところ、その多くは直接的な危険という点だけでなく、サブミクロンの煤煙をクリーンルームから除去するのに数週間~数ヶ月かかる可能性があるという点でも、非常に深刻なものでした。さらにこのグループは、参加各社からの助言に基づき、材料の取り扱いに関する最新のベストプラクティスを文書にまとめました。現在、このグループは業界全体の幅広いコンセンサスを得るために、SEMI国際スタンダードと協力して、これらのベストプラクティスを正式なSEMIスタンダードとして発行することを計画しています。「IBMやガスサプライヤは、この計画を最重要案件の1つと位置づけています。SEMATECHのウェブサイトで公開したベストプラクティスには、今後の発注書にこれらの要件を盛り込むとの文言があり、ほとんどの大手IDMが署名しています」とトラメル氏は述べています。

450mmの導入は思うように進んでいませんが、450mmファブの建設を目指す大手半導体メーカー5社によるGlobal 450 Consortium(G450C)は、450mmウェーハへの移行に必要な技術に関して共同作業を続けており、その一環として、ナノスケール科学工科大学(CNSE)のアルバニーナノテック複合棟に設置した実証装置の全プロセスステップで投入および排出される流体の計測とモニタリング も行っています。Facilities 450mm Consortium(F450C)でサステイナビリティ担当プログラムマネージャを務めるM+W Groupのエイドリアン・メインズ氏は、G450Cはこれまでの技術についてもベンチマークを追跡してきたが、「業界トップ5の量産ファブによるこれほどまでの協業は前例がありません」と述べました。その目的は、実際の使用量をトラッキングして、必要な水とエネルギーを供給できる最小限の容量にユーティリティをサイジングすることにあります。電力使用量を10%削減するごとにファブ全体の経費を約2%節約できるためです。そのようなデータは、排ガス除害装置の処理容量と実際の排ガス流量のマッチングなどにも役立ちます。「過去のベンチマーク基準をなるべく多く集めてノウハウを蓄積すれば、リスクの軽減につながります。サステイナブルな未来に向けたデータ収集として、これほどの協業はかつてありませんでした」とメインズ氏は述べています。

政府高官への啓蒙活動にも、業界が一致協力して取り組む必要があります。「先日、元上院議員の方から、国会議員は法規制がもたらす影響についてもっと多くの情報を必要としているとお聞きして、目を見張りました。我々業界が直面している複雑な問題を、政府や議会も理解してくれるだろうと期待するのではなく、我々から積極的に説明していくことが重要です。そのためには、議員に対してより効果的な啓蒙活動を展開していく必要があります。必要な法規制については、すべての関係省庁と協力して作業に当たる必要があります。この点について、SEMIは非常によい仕事をしています」とカーワッキ氏は述べています。

Intelの材料開発担当シニアエンジニアで、現在は同社のグリーンケミストリーおよび代替材料アセスメント開発プログラムを監督しているレオ・ケニー氏は次のように述べています。「これまでも、研究コンソーシアムとサプライヤが協力してPFC排出削減に成功するなど、共同アプローチが功を奏してきました。強調しておきたいのは、このように共同アプローチが過去に成果を収めていること、そして(次世代装置およびファブを設計するに当たり)早期段階で共同アプローチを採用することを今から考える必要があるという点です。」

SEMIのEHS担当シニアマネージャ、サンジェイ・バリガは次のように述べています。「業界全体でサステイナビリティの目標を達成しながら半導体製造技術の進歩を継続するには、多岐にわたる課題を解決していく必要があります。SEMICON Westで開催されたSustainable Manufacturing Forumは、多くの企業が参加してこれら課題の解決に向けた道筋を検討する場となりました。」

SEMIのEHS活動の詳細については、こちらのWebページをご覧ください。

(初出 SemiEngineering)