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2015年へかけて装置投資額は堅調な伸び

装置投資額は2014年、2015年とも堅調な伸び率だが、生産能力増強は緩慢

SEMI市場調査統計グループ クリスチャン・ディーゼルドルフ

半導体産業に対する一般的コンセンサスでは、今年のプラス成長が2015年へと継続し、収益と出荷数のどちらにおいても1桁台の中盤から後半の成長が予測されています。SEMIが8月末に発行したWorld Fab Forecastレポートでは、主要な投資として、2014年については216の設備を、また2015年については200以上の設備を収録しています。同レポートは、前工程ファブ装置の投資額が、2014年に21%成長し(新品、中古、および内製装置を含む)、総投資額は349億ドルに達すると予測しています。現在のシナリオの成長率の変動幅は、19%から24%の範囲です。

前工程ファブ装置に対する投資は、2015年にはさらに20%伸びて420億ドルに達する見込みです。つまり、SEMI World Fab Forecastのデータによれば2015年の投資は2000年以降では史上最高額を記録し、これまでの最高額だった2007年(390億ドル)および2011年(400億ドル)を上回ることになります。

装置投資のうち約90%は300mmファブに対する投資ですが、200mmファブに対する設備投資も2014年には10%の伸びを示している点に注目してください。200mm未満のウェーハサイズに対する設備投資も、2015年には12%という堅調な成長率を示すと予測されていますが、これにはLEDおよびMEMSのファブが含まれます。

World Fab Forecastによると、2014年に投資の多い上位の5地域は、台湾(97億ドル)、アメリカ州(78億ドル)、韓国(68億ドル)、中国(46億ドル)、日本(19億ドル)となっています。2015年も、台湾(120億ドル)、韓国(80億ドル)、アメリカ州(79億ドル)、中国(50億ドル)、日本(42億ドル)と、同じ地域が上位に並ぶ見込みです。欧州における投資は、ほぼ2倍の38億ドルに達すると予測されています。

2014年に20億ドル以上を投資すると予測されている企業は7社あります。前工程のファブ装置に対する全投資のほぼ80%をこの7社が占めることになり、同じパターンは2015年も続くでしょう。

世界の生産能力成長率が3%を下回る

Fab Equipment chart 1

図1: 2003年以降のファブ装置投資額と、生産能力の推移(ディスクリートとLEDを除く)

図1からわかるとおり、前回の景気後退より前にはほとんどの装置投資が生産能力の増強に向けられていました。World Fab Forecastレポートによると、2010年と2011年にはファブ装置投資の成長率が大幅に上がったにもかかわらず、生産能力は両年とも7%しか増えていません。次の2012年と2013年を見ると、生産能力の伸びはさらに落ち込み、わずか2%かそれより低い伸び率となっています。これまでに2%という低い伸び率が確認されたのは、深刻な景気後退期(2001年と2009年)だけです。

ファウンドリなど産業のセグメントによっては、生産能力は引き続き伸びていますが、他のセグメントの伸び率は大きく下がっており、生産能力の総合伸び率は3%を下回る見込みです。装置投資は続いているものの、一部の最先端製品のセグメントでは、ファブ生産能力が低下しており、この状況を綿密に調べてみると、大きく2つの傾向があることがわかります。

1つ目の傾向は、2009年の景気停滞以降、SEMIから報告されているとおり、企業の投資が既存のファブのアップグレードに多く向けられているということです。2005年から2008年にかけては、技術アップグレードに対する投資額は年平均60億ドルでしたが、2011年から2015年にかけての技術アップグレード投資は、年平均140億ドルにのぼっています。2つ目の傾向は、最先端技術への移行に伴って、最先端ファブで生産能力の低下が生じているということです。主としてこれが確認されるのは、複雑性とプロセスステップが増加する30/28nm未満のノードであり、ファブの生産能力は-8%から-15%という減少率を示しています。

ファウンドリだけでなく、システムLSI、アナログ、パワー、MEMS、LED、メモリ、ロジック、MPUなど各セグメントの生産能力も、World Fab Forecastで報告されています。ロジック/MPUセグメントも、2014年と2015年には生産能力のプラス成長が予測されています。フラッシュメモリの生産能力は、2014年4%上昇する見込みです。DRAMの生産能力成長率はゆっくりながらも回復傾向にあり、2014年には-3%の減少ですが、2015年末までには0%近くにまで回復すると見られます。

DRAMの生産能力はさらに増えるか?

過去3~4年の間に、一部の大手企業(Samsung、Micron、SK Hynixなど)は、ファブをDRAMからシステムLSIまたはフラッシュの生産に切り替えています。また、他の企業が一部のファブでDRAMの生産を完全に停止していることも、DRAM生産能力低下の一因です。DRAMファブに対する装置投資の水準は、2012年と2013年には年間40億ドル近くでしたが、これは一部の業界関係者の言葉を借りれば「メンテナンスレベル」だったということになります。2014年および2015年になるとDRAMに対する投資額は上向くと予測されますが、生産能力は増えるものの、その増加率は2015年末までゼロを超えることはありません。図2を参照してください。

Fab Equipment chart 2

図2:ファブ装置に対する投資額とDRAMの生産能力の増加率

前述したように、最先端DRAMファブは技術アップグレードをすると、プロセスステップと複雑性が増すために2桁の生産能力低下が発生します。昨年末から、Samsung社は2つの新ラインによるDRAM生産能力の拡大を進めています(今年量産開始のライン16と、先の経済停滞以降初めての新DRAMファブとなるライン17)。また、SK Hynix社も2016年にM14 DRAMラインを増やす予定ですが、DRAM生産能力全体の増加は、このファブが増産を開始する2015年に現れると予測されます。仮にこのファブが潜在能力の半分まで稼働できるようになったとしても、DRAM生産能力の増加率は、来年末以降まではプラスに転じることがないでしょう。

ファブ建設計画は60億ドル以上

SEMI World Fab Forecastは、進行中のファブ建設計画についても詳細なデータを収録しています。建設投資額は、2014年に総額67億ドル、2015年には50億ドルを超える見込みです。建設投資額で上位を占めるのは、2014年は台湾、アメリカ州、韓国ですが、2015年になると欧州/中東が最上位となり、台湾と日本がそれに続きます。

新しいファブ建設または既存ファブの改装に多額の投資をするのは、5社にすぎません。この5社のファブ建設投資が、全世界の前工程ファブ建設投資額の88%を占めます。

World Fab Forecastレポートによると、新規ファブ建設計画は、2014年に16件(300mmは6件のみ)、2015年は10件(300mmは4件)となっています。2014年の建設投資は、大部分がファウンドリ(31億ドル)で、これにメモリ(25億ドル)とロジックが続いています。2015年になると、メモリが投資額のかなりを占め(23億ドル)、僅差でファウンドリが続きます(22億ドル)。

同レポートに収録されているファブには、既存のファブが1,150、新規予定のファブが68あります。計画の実現性はさまざまであり、すでに量産を開始している場合も、2014年以降に量産開始を予定している場合もあります。図3を参照してください。

Fab Equipment chart 3

図3:World Fab Forecastレポートによる、2014年から2020年までに量産開始予定の設備数(計画の実現性はさまざま。量産ファブから研究開発用まで)

ここまでで明らかになったように、チップ製造産業の2014年の展望は、過去数年間に比べてプラスであり、2015年の展望も引き続き堅調を保つとSEMIのレポートでは報告されています。ただし、現在の投資は最先端技術のノードに偏る傾向があり、建設関連の活動も鈍っていることを考えると、世界の生産能力は今後5年間も引き続き1桁台の低い水準にとどまると予測されます。

SEMI World Fab Forecastレポート

SEMI World Fab Forecastは、ボトムアップアプローチの手法を用いて、各ファブの設備投資、生産能力、テクノロジ、および製品に関する概要とグラフ、詳細分析を提供します。さらに、データベースでは18カ月先までの四半期ごとの予測も提供します。レポートが提供するこうしたデータは、半導体製造の2014年~2015年を見通し、建設プロジェクト、ファブ設備、テクノロジレベル、および製品に関する設備投資の詳細を把握するためにも有益です。

SEMIの世界半導体製造装置市場統計(WWSEMS)のデータは、前工程および後工程の新品の製造装置のみを調査対象としたものです。SEMI World Fab Forecastおよび関連するファブデータベースレポートは、前工程に限定した、新品、中古、または内製の装置を含むすべての製造装置を調査対象としたものです。SEMIファブデータベースの詳細については、www.semi.org/MarketInfo/FabDatabaseおよびwww.youtube.com/user/SEMImktstatsをご覧ください。

(初出 SEMI Global Update 2014年9月号)

半導体エコシステムの各市場の分析と予測を、著名アナリストが発表するマーケットフォーラムが、SEMICON Japan 2014(12月3~5日)で開催されます。詳しい案内は、SEMICON JapanのWebサイトで10月に発表されます。