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3次元集積化市場の予測は困難

フランソワーズ・フォン・トラップ

半導体メーカーの事業開発担当エグゼクティブや市場調査担当者なら誰でも同意するでしょうが、3次元集積化市場がいつ確立されるかを予測するのは、難しい問題です。検討すべき要素が非常に多いのです。2015年1月19日に開催された今年のEuropean 3D TSV Summit(欧州3次元TSVサミット)プレカンファレンス市場ブリーフィングでも、この問題に決着をつけるのは依然として難しいことが明らかになりました。SCINT-XのCEO、Jim Quinn氏が冒頭に述べたとおり、予測のベースとなるのは現状認識です。Quinn氏は、市場調査のためアフリカに送り込まれた、2人の靴のセールスマンについてのエピソードを紹介しました。1人は帰国して、まったく見込みがないと言いました。「誰も靴を履いていないのです。」 もう1人は高い将来性があると言いました。「誰も靴を履いていないのです!」

何年も前から3次元集積化に注目しているいつものメンバー(Yole DeveloppementのRozalia Beica氏とTechSearch InternationalのJan Vardaman氏)による報告に加えて、サミット組織委員会は、ATREGのBarnett Silver氏とAlixPartnersのScott Jones氏によるマクロ経済的な視点を市場ブリーフィングに取り入れました。両氏とも自己紹介において、先端パッケージングと3次元集積化について自分たちの持つ知識は会場の誰よりも少ないと断りを入れました。しかし、どちらも第一線にいる人からは得られない新鮮な切り口から、3次元集積化の利点 を語りました。

Beica氏は、Yoleの最新3次元市場レポートのデータに基づいて、開発から製造までにわたる最新概況について報告しました。「先端パッケージングは業界内での影響力を増している」と述べ、その成長率が年率19%であること、また、RDLやTSVなどのウェーハレベルパッケージングを採用するデバイスメーカーが、年率28%で増加していることを示しました。さらに、3次元ICの普及が遅れている原因として考えられる主な懸案事項を図に提示しました。これには予想通り、コスト、設計、熱管理の問題が挙げられています(図1)。

3D integration Market

図1: 2.5次元/3次元IC製品発売における主な懸案事項:コスト、設計、熱管理など
(出典:Mike Ma, at the Confab 2013)

Beica氏はさらに、最新の特許情報と、ハイパフォーマンスコンピューティングにおける多数の採用例を詳細を説明したのち、2015年は3次元TSVの量産が実現する年になるであろうと予想しました。

Jan Vardaman氏はTechSearchが最近公開した3次元ICのギャップ分析レポートに言及しながら、ハイエンドコンピューティングとメモリスタックアプリケーションにおけるこれまでの進展と、3次元ICの拡大に向けて業界が重視すべきポイントについて話しました。また、新しいアーキテクチャ設計やロジック/メモリスタックの放熱ソリューション、特にアセンブリ/テストでの問題解決 を支援するツールの必要性を強調しました。さらに、私たちが現在使用しているのは、チップをスタックして、後はうまく動くことを祈るばかりという、「stack and pray」手法だと述べました。

「3次元TSVスタックを用いたウェーハが100万枚に達するのは2016年になるでしょう。その半分以上はイメージセンサで、市場の高性能分野を担うでしょう」、とVardaman氏は述べ、モバイル向けのロジックおよびメモリスタックの投入は2018年になるだろうと予測しました。また、採用までにかかった時間の長さについては、特に驚いていないと述べました。「誰もがその複雑さに驚かされたのです。1つ問題を解決したと思っても、常にまた新たな問題が現れます。」 また、次のテクノロジーノードへの微細化にはコストがかかるため、一層の努力をして3次元ICを量産に移す以外の選択肢はないと述べました。「辛抱強く待ちましょう。新しいテクノロジが採用されるまでには時間がかかるのです。」

3次元の採用を後押しするマクロトレンド

パッケージングとテストの将来について語ったSilver氏は、マクロトレンドに焦点を合わせて、コンバージェンスまたは共存が実現するかどうか考察して、次のように述べました。「パッケージングは見過ごされたり、過小評価されたりしがちです。フロントエンド企業とバックエンド企業間でコンバージェンスが進むにつれて、パッケージングは企業にとっての戦略的差別化要素になっていくと考えています。」 また、Silver氏の考えによれば、専門企業の時代に変化が訪れ、ファブレス、ファウンドリ、IDMS、OSATSの再統合が始まろうとしています(図2)。

3D Integration Market

図2: テストおよびアセンブリ業界の発展(出典:ATREG)

このトレンドを推進しているのは3次元パッケージングであり、従来のOSAT事業と比べると「はるかに魅力的な利益率」が実現するということです。これにより、TSMCなどのファウンドリが、3次元集積化を用いたアセンブリ/テスト事業に突然興味を抱いた理由が理解できます。Silver氏によると、これは粗利益にとどまることではありません。過去5年間にわたって、OSATはファウンドリよりも優れたROIを投資家にもたらしてきました(図3)。3次元のおかげで、バックエンド事業は510億ドル市場になる見込みであり、ファウンドリ、OSAT、IDMSによる「熱い競争」が予想されます。同氏はまた、ファブレス企業間での幅広い垂直統合を予測しました。「今、話題になっているのは、GoogleやAppleなどの企業がサプライチェーンに大きな興味を示し始めたことです。Appleはフロントエンドにボトルネックがあると見ています。いずれ、先端パッケージングの重要性に気づくでしょう。」

Figure 3: Five year TSR comparison of foundry's vs. OSATS. (source ATREG)

図3: ファウンドリとOSATでの5年間のTSR比較(出典:ATREG)

Jones氏は、コストモデリングの検討というテーマを引き受け、3次元のコストとサプライチェーン全体への影響に関する興味深い知見を披露しました。同氏は、プロセスフローの個々のコストに注目するのではなく、コスト差を正しく評価しているかどうかに主眼を置きました。Jones氏が勧めるのは、フルファブモデルと独立フローの比較です(図4)。「微細化によるトランジスタあたりコストのメリットが、従来の同じには得られなくなっています。では、3次元がどのように役立つのでしょうか。これがコスト削減ロードマップで果たす役割はどのようなものなのでしょうか。」

FullfabModel

図4: HVM環境への新技術の取り込みによる下流の影響を理解するには、フルファブの視点が必要
(出典:AlixPartners)

ファブ内の装置に対する様々なアプローチと利用時間の事例に基づいて、Jones氏はインターポーザと3次元集積化が、SoC製造に比べてファブコストを実際にトータルで削減することを示しました。「ウェーハには、ファブ内の工程において、どれだけの時間を装置内で費やしたかに応じた使用料が掛かります」、と同氏は説明します。「各装置の滞在時間は、工程全体でどれだけ累積するのでしょうか。装置のオペレーションコストはいくらでしょうか。プロセスの複雑さはどの程度でしょうか。ファブの利益と損失にどんな影響をもたらすでしょうか。」 リソグラフィコストは、マルチパターニングによって急速に上昇しています。2.5次元/3次元では、最先端リソグラフィの露光時間を減らすことができます。そのほかに挙げるべき3次元のメリットには、微細化する部分と微細化しない部分を分離できることです。また、リードタイムの重要性についても触れました。タイミングを逸すると、その技術を製品の設計に採用できなくなってしまいます。特に現在では、製品化までの期間がとりわけ重要になっています。Jones氏はIntelの「茶色いバナナ」を取り上げました。ラインを外れたチップは、すぐにダメになってしまいます。リードタイムを管理して、リスクを抱えないことが重要です。

最後にJones氏は、何年もの間、コストトレンドはTSVインターポーザと3次元アプリケーションから遠ざかる傾向にあったが、現在は近づく方向にあると述べています。トレンドがこちらに向いている今、コストモデルを理解して採用し、どこが転換点になるのかを把握することが重要です。「チップスタックは高く、リードタイムは短く、バナナは黄色く」、と同氏は結びました。

上記の様々な結論を導いたすべての観点とすべての分析によって、この市場の予測が極めて難しいことが確認されました。私にとっての本日の重要ポイントは、3次元は投資に値する、というマクロ的視点でした。さあ、靴を売り始めましょう!~フランソワーズ・フォン・トラップ。

本記事は当初3DInCitesで公開されたものです。イベントの詳細については、「What Does Success for 3D Integration Look Like」をご覧ください。