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2023-03-15

エンジニア必見:SEMIチュートリアル SEMIソフトウェアスタンダード 「SECS/GEM」 セミナー

はじめに

SEMIの通信スタンダードであるSECS/GEMは発行から既に30年近く、GEM300は20年以上も半導体製造の自動化仕様の基礎として参照され続けていています。これらのスタンダードは、今現在でも半導体製造ラインにおいて有効で、その自動化に適用されるべき仕様です。従って半導体製造を自動化運用するにあたり、これらSEMIの通信スタンダードを理解し使うことのできる人材を維持し、サポートを継続する必要があります。このニーズを支援するために、SEMIは通信スタンダードのセミナー「SECS/GEM]と「GEM300」を毎年開催してきました。

残念なことに新型コロナウィルスの影響でこれらセミナーの開催は一時中止となりましたが、多くの皆様からセミナー開催を求める声を受けまして、2021年よりオンデマンド配信という形式でセミナーを開催し2023年も引き続き同形式にてウェブセミナーを開催いたします。

この記事では、新たにSECS/GEM及びGEM300を始めようとする皆様に、セミナーの内容であるSECS/GEMとは何か、およびGEM300とは何かについて概要を説明し、SEMI通信スタンダードへの導入をさせていただきます。

 

半導体製造装置オンライン化の目的

半導体製造装置のオンライン化の目的は、装置をオンラインで管理し、運転を自動化することです。

装置をオンライン化しなければならないのは、半導体製造はプロセス・ステップが多く、管理と制御が複雑であるという理由があります。図1にトランジスタをウェーハ上に形成するプロセス・ステップのイメージを示します。STI、Wellと呼ばれる工程から、Contact工程までの間に100を超えるプロセス・ステップがあり、ウェーハ毎×プロセス・ステップ毎に、適切なタイミングで一連のプロセス・ステップを実行しなければなりません。更に個々のプロセス・ステップで適切な処理条件を指定して装置をオペレーションしなければなりません。このような装置の管理とオペレーションを間違いなく、かつ滞りなく実行するためにはIT技術の力を借りるしかありません。半導体製造装置は生産を管理しコントロールするシステム(工場情報システム、またはホスト)と通信を介して連携するように統合される必要があるのです。
 

図1 トランジスタのプロセス・ステップのイメージ


図1:トランジスタのプロセス・ステップのイメージ

 

半導体製造装置のオンライン化

個々のプロセス・ステップ毎に使われる装置がホストとの連携のためにオンライン化されます。オンライン化された半導体製造装置は、工場情報システムに装置の状態を報告し、また工場情報システムから指令を受け取り、オペレーションを実行します。これにより、工場情報システムは装置の状態を把握し装置のオペレーションをリモート・コントロールすることができるようになるわけです。

例えば、装置が「プロセスすべきウェーハが到着した」、「ウェーハのプロセスが開始した」、「ウェーハのプロセスが終了した」、または「処理後のウェーハが搬出された」などの状態を報告すると、ホスト(工場情報システム)はこのイベントをとらえてプロセス・ステップを進めます。ホストは、到着したウェーハのプロセス条件を装置に指定し、またプロセス開始の指令を出し装置にプロセスを開始させます。これで、工場情報システムが意図するプロセス・ステップが装置により逐次実行されることになります。

 

ホストと装置の通信⇒標準化

オンライン化のためには、半導体製造ラインで使われる装置がホストと自動化に必要な通信ができなければなりません。

半導体製造ラインでは様々な装置があり、それぞれの構造や動きにより必要な機能が異なります。半導体製造のプロセス・ステップが多数あり、それぞれのステップに対応する装置の通信の仕方(仕様)を個々個別に定義するのでは仕様の数が膨大になるのでたいへんです。通信の標準化が必要です。

通信を標準化するためには、半導体製造装置に共通して備えるべき通信機能の見え方を描くことが必要となります。この見え方を表現しているのが、いわゆる「一般装置モデル」Generic Equipment Model(GEM)です。図2に半導体製造装置の管理と自動化に適用される通信の機能モデルを示します。この図の中央の列が半導体製造装置の主な仕事をモデル化しています。材料(ウェーハ)を搬入し、プロセス条件を指定し、プロセスを実行して、最終的に材料を搬出する流れとなっています。これ以外に「主な仕事」の周辺をサポートするための様々な機能のモデル化も必要です。図中の左側の列は事前に通信などの設定をする機能のモデル、右側の列がデータ報告などの機能のモデルをまとめたものになっています。
 

図2 一般装置の通信モデル


図2:一般装置の通信モデル

 

SEMI E30 GEM

GEM「一般装置モデル」はSEMI E30という記号で表されるスタンダードとして文章化され出版されています。E30の正式名称は、SPECIFICATION FOR THE GENERIC MODEL FOR COMMUNICATIONS AND CONTROL OF MANUFACTURING EQUIPMENT (GEM)となっています。

 

SEMI E5 SECS-II

SEMI E30 GEMは半導体製造装置の通信のモデルを定義していますが、その通信で交換されるメッセージの詳細までは定義していません。そのメッセージの詳細を決めているのがSEMI E5 SECS-IIです。

E5の正式名称は、SPECIFICATION FOR SEMI EQUIPMENT COMMUNICATIONS STANDARD 2 MESSAGE CONTENT (SECS-II)となっています。

SECS-IIは、1980年代から現在まで、半導体製造装置の通信に使われる多様なメッセージの詳細定義を集めてきました。SECS-IIで定義されたメッセージを「一般装置モデル」への適用の仕方を定義するために、1990年代にSEMI E30が文書化されました。E30 GEMを応用するためにはE5 SECS-IIのメッセージの知識が必要です。

 

SEMI E37 HSMS

SECS-IIでメッセージの詳細が決められました。しかし、SECS-IIではそのメッセージを相手に伝える方法については決めていません。SECS-IIのメッセージを相手に伝える方法としては、SECS-IとHSMSという仕様が決められています。SECS-Iはシリアル通信を使っています。これに対してHSMSはTCP/IPを使っています。SECS-Iは1980年代に規定されたスタンダードであり、現在の装置とホストの通信のレベルではあまり使われることはありません。現在、ほぼすべての半導体製造ラインではHSMSが使われています。これはTCP/IPがネットワークへの接続を容易に可能にしているためです。HSMSの仕様はSEMI E37.1で規定されています。E37.1の正式名称は、HIGH SPEED SECS MESSAGE SERVICE SINGLE SELECTED-SESSION MODEとなっています。

 

300mmへの移行

2000年以降では、300mmウェーハの導入により半導体製造の基盤技術が更新され、標準化が更に一歩前進しました。このときの重要な標準化として、ウェーハのキャリアとしてFOUP(Front Opening Unified Pod)を使うことが決められ、その搬入/搬出のロードポートの寸法も決められました。また、300mmの重いキャリアを運ぶためにキャリアの自動搬送が前提となりました。

装置運用の自動化の面では、300mm導入以前にあった運用のバリエーションを解消すべく標準が追加されました。例えば、ウェーハを入れたキャリア(FOUP)のIDの確認方法が標準化されたことは特筆されるべき事柄です。
 

図3 300mm半導体製造ラインの自動搬送のイメージ


図3:300mm半導体製造ラインの自動搬送のイメージ

 

GEM300

300mmの製造ラインで使われる一般装置モデルを規定するスタンダード群をGEM300と総称しています。「スタンダード群」ですので、複数のスタンダードが規定されています。GEM300のスタンダードを表1にまとめます。これらのスタンダードは、300mm装置の自動運用に適用される仕様を機能ごとに規定しています。

 

表1:GEM300の主要スタンダード

スタンダード記号 タイトル 機能
SEMI E87 SPECIFICATION FOR CARRIER MANAGEMENT 装置におけるキャリアのロード/アンロードを管理/制御する仕様
SEMI E40 SPECIFICATION FOR PROCESSING MANAGEMENT ウェーハの処理条件(レシピ)指定とプロセス実行を管理/制御する仕様
SEMI E94 SPECIFICATION FOR CONTROL JOB MANAGEMENT 半導体製造のプロセス・ステップに対応してキャリア単位の処理を管理/制御する仕様
SEMI E90 SPECIFICATION FOR SUBSTRATE TRACKING 装置内のウェーハ情報を報告する仕様

 

まとめ

プロセス・ステップを間違いなく、滞りなく実行するためにはITが必要です。
製造装置をITと連携させるためには通信が必要です。
SEMIスタンダードは、一般装置モデルとその通信の標準を規定しています。
一般装置モデルは、300mmの管理と制御の規定へと発展しています。
SEMIスタンダードは、今日の半導体製造ラインの自動化の基本仕様を示します。

2021年後半から北米を中心にSEMI E30の改訂作業が行われ、ドキュメント全体の見直し、用語統一や未使用機能の削除など、大規模な改訂が行われました。同時に、昨今のビッグデータによる膨大なデータを扱えるメッセージが必要となった事や、後工程装置への実装が進んだ事による要求事項の追加等があり機能が追加され、2023年にSEMI E30改訂版が出版されます。2023年の本セミナーでは、本追加機能に関しても解説しております。

 

最後までお読みいただきありがとうございました

SEMIスタンダードは今現在もアップデートされています。
スタンダードの内容は、ボランティアにより検討され規定されます。
だれでもボランティアに登録することができます。
半導体製造の標準を決める活動に参加してみませんか?
SEMI事務局にお問い合わせください。

 

SEMIソフトウェアスタンダード「SECS/GEM」セミナー

セミナー日時:2023年 7月~8月(動画配信)
申込開始予定:2023年5月中旬
会員企業の方(1名様につき):28,600円(内消費税2,600円)
一般(非会員企業)の方(1名様につき):47,300円(内消費税4,300円)

詳細・お申込みはこちら

 

SEMIソフトウェアスタンダード「GEM300」セミナー

セミナー日時:2023年 7月~8月(動画配信)
申込開始予定:2023年5月中旬
※GEM300セミナーの参加者はSECS/GEMの基礎知識をお持ちの方を想定させていただきます。
会員企業の方(1名様につき):28,600円(内消費税2,600円)
一般(非会員企業)の方(1名様につき):47,300円(内消費税4,300円)

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本件についての問い合わせ及び、SEMIスタンダードI&C技術委員会に関する標準化活動にご参加を希望される場合は、以下にお問合せください。

お問い合わせ窓口
SEMIジャパン Standards&EHS部 中條
Email : jstandards@semi.org