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この好況を持続させるために何をすべきか

 

SEMI プレジデント兼CEO アジット・マノチャ 2018年1月18日

 

素晴らしい年、素晴らしい見通し

Ajit Manocha,

2017年はSEMI会員にとって素晴らしい年となりました。半導体チップの売上は4400億ドルに迫り、年間22%という目を見張る成長率となりました。半導体製造装置産業は2000年に記録された過去最高の売上記録を塗り替える560億ドル近くに達しました。また半導体材料も480億ドルに達しています。半導体製造装置の数字は前年比36%成長です。Samsungだけでも、2017年に260億ドルの設備投資を実施しましたが、これは1年間の投資額としては信じられないほどの金額です。

MEMS/センサーは、これまでの車載、産業用、コンシューマ分野からの需要に加えて、通信や医療市場からの成長が加わりました。MEMSは2018年に190億ドルの産業規模になる見通しです。フレキシブル・ハイブリッド・エレクトロニクス(FHE)もまた、採用の拡大に伴って、製品の設計や機能の著しい成長が進んでいます。

ひとつのキラーアプリケーションの需要が、エレクトロニクス製造サプライチェーンを前進させることはもうありません。急速なデジタルエコノミーの拡大は、IoT、VR/AR、車載インフォテインメント、運転支援、AI、ビッグデータ等からの新たな需要に対応したイノベーションを次々と起こしています。データの使用量の爆発的増加によるメモリー需要は留まるところを知りません。メモリーの平均価格は高水準を維持し、さらなる大型設備投資による生産能力拡大を後押ししています。

2018年もまた素晴らしい年となることが予測されます。半導体の売上は今年も8%、半導体製造装置の売上は11%増加するでしょう。デジタルエコノミーの多様な需要の成長に伴い、中国は国産半導体サプライチェーンの発展・拡大を目指した工場計画を進め、生産能力を増強しています。

 

さて、では何も心配する必要はないのでしょうか?

この産業は成長を持続できるのでしょうか。エレクトロニクス製造サプライチェーンは、新たな大規模投資計画に対応して、生産を拡大・加速できることをこれまで実証してきました。しかし、人材、データ管理、環境安全(EHS)の分野で、亀裂が広がりつつあります。

人材は苦しい状況となっています。シリコンバレーだけでも、SEMI会員企業は何千人規模もの人材不足をかかえています。世界的な不足は1万人になるでしょう。志願者を引き付け、人材を世界的に開発することは、イノベーションと成長を持続するために不可欠です。

データ管理と効果的なデータ共有は、問題解決を加速し、革新的でありながら未成熟な最先端プロセス実用化の鍵となります。皮肉なことに、他産業は半導体製造に先んじて製造データを利用し、サプライチェーン全体でAIを活用しています。共同してスマートデータのアプローチをとらない限り、10nmから先のムーアの法則の歩調が減速する恐れがあるでしょう。

EHSは、1工場あたり毎月5万枚のウェーハを処理してチップを製造し、そのために周期表上のほとんどの元素を使用する産業にとって、重大な問題です。業界は1990年代に強力に団結して、SEMI安全規格を開発し規制適合方法を検討しました。その後、この業界で従事するEHS専門家は減少しましたが、一方で新材料の種類は増大し、新たなプロセス技術が開発され、製造はこれまで半導体製造の経験がない中国の各地に広がっています。

 

「私たちの誰よりも、私たち全員の方が強力だ」…これがSEMIのバックボーン

成長を鈍化させないために、2018年の業界は次の3つの重点領域で協力する必要があります:

人材開発は、現在進行中のプログラムを加速拡大し、また人材確保のための新たな方策を加えることが必要です。SEMI基金が運営するハイテクユニバーシティ(HTU)は、世界各地で会員企業の協力を得て開催され、高校生の科学、技術、工学、数学(STEM)の履修増加に努め、また半導体製造産業へのオリエンテーションを提供しています。HTUはこれまで218回開催され、7千人の高校生が参加し、アンケート回答者の70%がSTEM分野へと進みました。SEMIは2018年にHTUの開催回数を増やす計画です。

能力のある志願者を様々な年代や学歴(高校生から大学生、性別等)から集めるための既存そして新たな人材開発プログラムをSEMI会員と共に推進するための諸計画は、すでにSEMI役員会によって承認されました。また、業界の認知度向上キャンペーンも展開する予定で、これによってより多くの志願者に会員企業を素晴らしい職業選択であるとアピールします。これらの進捗については今後もお知らせし、2018年を通じての皆様の参画をお願いいたします。

データ管理は幅広い意味の用語です。ビッグデータ、機械学習、AIの用語は、我々のサプライチェーンの中でも、使う人によって違うものを意味します。明確なのは、材料を生産し半導体デバイスを世界の工場の多様な装置によって製造する上で生成される想像できないような量のデータを活用し、お互いに協力するためには、このデータとその利用の可能性についての共通理解が必要だということです。

2018年にSEMIはスマートデータの垂直アプリケーションプラットホームを立ち上げ、このサプライチェーンの関係者に参加いただき、相互の利益のために共通の言語をつくり、標準規格を開発し、データ共有に対する期待を調整します。他産業とのベンチマークならびに前競争的なパイロットプログラムが提案されており、ここでもまた、SEMI会員全体から今後の方向性を示すリーダーの支援と参加を必要としています。

EHS活動は安全な操業とサプライチェーンの混乱による事業の障害をなくすために強化して行かなければなりません。ストックホルム条約によるPFOAや、広範化する先端製造プロセスで使用されるケミカル材料に対する禁止が混乱、崩壊を起こす可能性があります。こうした規制動向の信頼できる情報を事前に察知し、業界の対応を調整するためには、SEMIのEHS活動と会員の参加を再活性化が求められます。

中国が各地に新たなファブ建設を急速に進めていますが(その中には半導体製造の経験もインフラも限定的な地域があります)、SEMIのEHS規格のトレーニングによって、ファブの安全でサステイナブルな操業を推進することができるでしょう。これにより、中国の工場も、我々の業界が遂行する野心的な成長軌道にペースを合わせることができるようになります。2018年には、新たな材料、プロセス、地域で発生しつつある課題に対するEHSおよびサステイナビリティに対する取り組みを刷新する考えです。

 

卓越した会員の卓越した成果

2017年を振り返り、SEMI会員の皆様へ、素晴らしい成果と売上記録の更新を達成されたことに感謝申し上げます。SEMI会員各社がSEMIと協力して、コネクトし、コラボレートし、イノベートすることで業界の成長と繁栄を推進したことが、その基礎にあります。こうした基礎的な貢献は、展示会、セミナー、標準規格、市場統計、メッセージ発信、(HTUによる)人材開発を通して培われたのです。

次の図は基礎となった成果を表しています。SEMIは世界のエレクトロニクス製造サプライチェーンの全域にわたるSEMI会員がスピーディに事業成績を改善できるよう努力しています。その推進のために、SEMIは会員のサポートとボランティアに依存しています。素晴らしい2017年について皆様に感謝申し上げると共に、業界の成長と繁栄が2018年以降も確実に継続するための重点活動へのご協力をお願いします。

 

 

初出 SEMI Global Update 2018年1月3日号