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中国半導体産業の成長はグローバルエコシステムとの統合が鍵となる

 

SEMI China代表 居龍(チュウ・ロン) 2018年6月26日

 

2017年の中国半導体産業の成長は、他地域のほとんどを凌駕するものでしたが、これは政府の莫大な投資と国策による支援によるところでもあります。しかし、中国の半導体産業自体も、過熱する投資、一貫性のない計画、研究開発の資金不足、イノベーション能力の不足、海外企業との協力への障壁という重荷の下で悪戦苦闘していたのです。こうした成長への逆風に打ち勝つために、中国は世界の半導体産業の成長トレンドを捉え、自国の半導体産業が今後も拡大するための原動力が何かを理解しなければなりません。

 

AIと5Gが世界の半導体産業の成長の原動力

 

2017年の世界半導体産業の収益は、前年比22%増の約4,200憶ドルに達して過去最高額を更新。人口知能(AI)や5Gなど、市場の細分化、多様化、分散化を急拡大させる新技術による新たな成長局面に突入しました。スマートカー(自動車)、スマートシティ(都市)、スマートメディスン(医薬品)、AR/VRなどの新市場が新たなアプリケーションを生み出しています。今後3~5年は、半導体産業が安定成長を続けることが予想され、著しい下降局面はないでしょう。2018年の成長率は5~8%の範囲に減速するでしょうが、拡大は広範囲にわたり、さらにバランスのとれたものになることが予測されます。

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特にメモリー市場は、2017年の猛烈な成長率を維持することはできないでしょう。この市場の成長率は10~20%と予測され、DRAMと3D NANDフラッシュメモリーがけん引します。2019年のNANDはプラス成長を続けるものの、DRAMの出荷量は減少するかもしれません。

 

イノベーションと投資の両方に注力することが中国半導体の継続的成長には必要

 

中国の国家IC産業発展促進ガイドライン(国家集成電路産業発展推進綱要)の下、中国半導体産業は、極めて急速な成長を続けており、世界産業の拡大継続に大きく貢献することが期待されています。IC設計では、HiSiliconとUnigroup Spreadtrum & RDAの2社が世界トップ10に入っています。半導体前工程製造では世界市場の13~15%を占めているものの、SMICやHuahong Groupは先進プロセスの国際競争で後れを取っています。パッケージングおよびテストは、中国の最も強力な分野となり、JCET、NFME、Huatian Technologyが世界トップ10に入っています。

国家IC産業発展促進ガイドラインは投資ブームに火をつけましたが、中国半導体産業が花開くには、生産能力を拡大するファブ建設を超えた投資が必要です。半導体産業の持続的で長期的な成長に対する戦略は、多額の設備投資の継続に加えて、テクノロジーイノベーションにも焦点を当てなければなりません。しかし、イノベーションが生産能力の拡大需要につながり、GDP成長や雇用拡大を導くまでには時間がかかります。

中国では半導体製造装置、材料へも莫大な投資がされていますが、先進技術では海外の他地域の後塵を拝しています。2017年の半導体製造装置世界市場は、韓国市場の拡大にリードされて過去最高となる560億ドルに達しました。この年、Samsungだけでも半導体製造装置に250億ドルを投資しています。これに続いたのが、Intel(115憶ドル)、TSMC(108憶ドル)、Hynix(85億ドル)、SMIC(23憶ドル)、YMTC(長江ストレージ)(20憶ドル)、Micron(5億ドル)などです。2018年のSamsungの装置投資額は240億ドルと若干減少する見込みですが、IntelとTSMCの投資額はほぼ同額で推移するでしょう。

2018年の中国の装置投資額は、SMICやTMTCの投資は前年と同水準になりますが、他の半導体メーカーの投資が始まることから、プラス成長を持続するでしょう。2018年の中国市場は、台湾を抜いて韓国に続く世界2位の装置市場になることが予測されています。

 

SIIP Chinaは世界との連結、協力を目指す

 

中国半導体産業の巨額投資は、確固たる事業戦略、国際協力の拡大、先進技術の獲得、スキルドワーカーの増加によってサポートされなければなりません。中国はこのすべての分野で世界に遅れをとっています。中国半導体産業の急速な興隆によって、多くの国で中国の成長の影響に対する懸念が生じました。とりわけ米国においては、封じ込み方策がとられるに至るほどでした。日本、韓国、台湾などの他地域もこれに従いました。

中国半導体産業の継続的成長は、国際協力によって実現する技術イノベーション、そして国際対話による中国半導体産業の強大化に対する懸念や誤解の緩和が条件となります。中国はこうした障害を乗り越える必要があります。中国にとってのひとつの部分的解決策は、膨大なエレクトロニクス製品の内需に対応するためだけでも、発展した半導体産業が必要だということを諸外国に納得してもらうことです。

最大の半導体産業国際工業会であるSEMIには、中国と海外の半導体産業の結びつきを強める上で、他にない能力があります。SEMIは半導体製造装置・材料市場の活発な支援で知られていますが、その活動はIC設計、製造、パッケージングにまで及びます。さらにSEMIは、AI、スマート工場、スマートカーといった成長するアプリケーション市場にも範囲を拡大し、こうした分野のサプライチェーンを呼び込もうとしています。

活動の範囲に関してSEMI Chinaは、これまでと変わらず中国と世界の半導体産業の対話と協力を推進することに専念しています。SEMI Chinaはまた、産業発展のために企業と政府機関の協力関係の深化を促進すると共に、SEMIの国際的、専門的で、地域に特化したプラットホームを活用した中国半導体産業の発展促進にも努めています。

昨年設立された、SEMI Innovation Investment Platform(SIIP)Chinaは、中国のスキルドワーカーの要員増加、先進技術の促進、産業資本の生成、中国半導体産業の拡大と他地域の半導体メーカーとの関係強化を支援する活動です。SIIP Chinaは次の事項にフォーカスします:

 

  • 中国半導体産業の持続的発展の促進
  • 世界の技術と投資機会を活用するための強力な関係の確立
  • 中国と世界の半導体産業をつなぐ開かれた交流プラットホームの提供
  • 中国と海外パートナーとの協調促進
  • 新興企業の事業拡大資金調達の支援

 

海外半導体メーカーとの、オープンな、お互いにとっての利益をもたらす関係強化を促進することが、中国が自国の半導体産業の発展の障害を乗り越える最善の方法となるでしょう。それまで、中国は、世界の半導体産業へと仲間入りを果たし、また重要なパートナーとなるべく、努力を続けることになります。

 

初出 SEMI Blog 2018年5月10日