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エッジAIが常時オンのマシンビジョンを実現する

 

SEMI Europe Marcomマネージャー セリーナ・ブリケット 2018年9月25日

イメージ写真

Qualcomm Technologiesの技術担当シニアディレクターであるイブジーニ・グーセブ氏に、エッジAIについて話を聞きました。

 

SEMI:デバイス側にAIを持たせることがなぜ重要なのでしょうか。その場合のクラウドの役割やG通信の役割はどうなるのでしょうか。

 

グーセブ:エッジAIは、信頼性、レイテンシー、プライバシー、そしてネットワークの帯域幅の有効活用という点で重要です。クラウドと5Gは、エッジコンピューティングを補うものとなります。エッジコンピューティングによって、デバイスの電力効率が向上し、バッテリー寿命も延びるでしょう。こうした理由から、より多くのデータ処理や分析がエッジ側で行われるようになっているのです。学習についてはまだクラウドで実行されていますが、これも少しずつデバイスに移ろうとしています。5Gによって、あらゆるモノがあらゆる場所で強力なIoTを介してつながると、エッジAIが全てのデータの理解に役立つようになるでしょう。

 

SEMI:エッジAIのアプリケーションの例にはどんなものがありますか。

 

グーセブ:AIは視覚上および聴覚上の知能を大幅に強化し、興味深くて価値の高い新たな使用事例を生んでいます。その例をいくつか挙げましょう。

  • ホームセキュリティと監視カメラ:24時間常時撮影ではなく、重要な出来事が発生したことをスマートに検出する(例として、掃除ロボットではなく人だけを検出するなど)。
  • バーチャルアシスタント(スマートスピーカー等):人間のような自然で直感的に理解できる会話やビジュアルインタフェース。
  • スマートフォン:当然ながら、スマートフォンは広くいきわたったAIプラットフォームです。皆さんがお持ちのスマートフォンが、自動車内にいるといった状況を検出するようになります。また、機械学習をスマートフォンでも活用して、パワーマネージメントの改善によるバッテリー寿命の延長や、写真の写りの改良、ウィルスソフトの検出など、より快適な使用ができるようになります。
  • スマートトランスポーテーション:エッジAIは、例えばバスの空席状況を知るためのクラウドとの通信データを小さくできるといったメリットがあります。
  • インダストリアルIoT:未来の工場の自動化には、大量のAIが必要です。欠陥外観検査から組立用ロボットの複雑な制御まで多岐にわたります。
  • ドローン/ロボット:未知の環境における自航ならびに他のドローン/ロボットとの調整
  • 自動車:乗客の安全、状況理解、センサーフュージョン、ルート検索等のための機械学習。自動運転の最大かつ現実的なメリットは、人命保護と時間短縮です。

 

グーセブ

SEMI:常時AIを必要とするアプリケーションはありますか?その目的は?

 

グーセブ:はい、常時オンのコンピュータービジョンを求めているアプリケーションはたくさんあります。例えば、スマートフォン、玩具、監視カメラなどです。バッテリー駆動のデバイスにとって、AI機能の超低電力化は重要です。エネルギー効率を高めるソリューションとして、基本的な処理では極低消費電力なコンピュータビジョンプロセッサーを使用し、より大きな処理能力が必要なときだけ別のプロセッサーを起動するシステム構成があります。これにより全体としての電力削減をしながら、常時オンのAIが実感できることになります。

 

SEMI:AIをあらゆるデバイスに浸透させることで、Qualcommはどんな役割を果たそうとしているのですか?具体的な例をあげることはできますか?

 

グーセブ:Qualcommはこれからも、コネクテッド・ワールドのイノベーションと進化を推し進めていきます。 Qualcommの技術は現代のモバイルプラットフォームの心臓部にあります。そして当社はチップやシステムをあらゆる産業のあらゆるデバイスに供給しているのです。産業用とコンシューマーIoTは著しい成長を示しており、特にバッテリー駆動デバイスがその中心となっています。

 

モバイル産業には、他産業に技術イノベーションを提供するというユニークな特徴があります。これはモバイルによってAI技術が拡散すると言い換えることもできます。

  • 比類のない台数規模:スマートフォンはコンピュータービジョンにとって最大のプラットフォームであり、その開発を加速させています。Gartnerの予測では、2018年から2022年の期間に累計86億台のスマートフォンが出荷されます。
  • 短い買い替えサイクル:消費者は2年から3年ごとにスマートフォンを買い替えます。
  • 複数の技術の統合と最適化:モバイルは、非常に挑戦のしがいがある設計環境です。小型・高性能で長い電池寿命が求められます。台数規模と短い買い替えサイクルによって、新技術が急速に普及し、巨大なユーザーベースを形成します。

 

SEMI:これまでクラウドで実行されてきた複雑なAIインタフェースを、どのようにしてデバイスで実行するのですか?

 

グーセブ:当社の伝統である低電力プロセッシング技術(ヘテロジニアスコンピューティング、システムソリューション、ハードウェアイノベーション、高電力効率アルゴリズム/ソフトウェア、最新プロセスノード等)、そしてコネクティビティ技術(3G、4G、5G、Wi-Fi、ブルートゥース等)はAIに不可欠です。AIを常時オンレベルへと前進させるために3つの分野にフォーカスしています:

  • 特殊ハードウェア:低電力ハードウェア、改良アーキテクチャ、専用アクセラレータによる機械学習の負荷対応
  • アルゴリズムの進歩:電力効率、半教師あり学習、データのスパース性、分散学習、プライバシー保護等の研究
  • ネットワーク最適化:圧縮、中間層最適化等、メモリーと空間/時間計算量の有効活用をする手法の研究

 

(初出 SEMI Blog 2018年8月23日)