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低消費電力化するIoT/IIoTデバイス

 

STMicroelectroncs MEMSセンサーディビジョン マーケティングマネージャー ルカ・フォンタネッラ
STMicroelectronics コンシューマMEMSビジネスユニット ディレクター シモーネ・フェッリ

2018年10月19日

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この3年間にわたり、IoTならびにインダストリアルIoT(IIoT)アプリケーションのバッテリー駆動電子部品によるソリューションが着実に増加しています。このトレンドは、あらゆる種類のモバイルデバイスの利用拡大と共に、今後も継続するでしょう。センサーなど数十個の電子部品を使用したバッテリー駆動のIoT/IIoTデバイスが商業的に成功するためには、低消費電力化が鍵となります

超低消費電力センサーに対する需要は、部品から最後の数mWを搾り取るまで競争を激化させています。前世代のセンサーと比較すると、半導体メーカー各社は消費電力を50%~60%低減させています。当社では、最新のアナログ設計手法を駆使して、MEMS構造での容量測定効率を最適化しました。どのくらい効率化されたかというと、当社の低消費電力技術を正しく組み合わせた場合、全世界で年間3MWが節電されることが予想されます。(当社製品は平均して他社製品あるいは自社前世代製品と比較し、約1mAの電力を削減します。当社の年間販売量は約15億個で、通常2V電源で使用されますので、2.0V×1mA×15億個=3MWとなります。)

 

次は何か?

半導体産業は、革新的な技術やアナログIPに開発投資を継続し、エネルギー効率を高めるのですが、当社ではさらに大きな消費電力削減はシステムレベルでの検討から得られると考えています。センサーノードは、そのスタートとして格好な場所となるでしょう。

一般的なIoTノードは、複数のセンサーと、マイコン、RFリンク、電源システム(多くはリチウムイオン・ポリマー電池)で構成されます。

このうち、マイコンとRFリンクが最も多くの電力を消費します。RFリンクの場合、消費電力はエンドポイントとレシーバー、そして伝送データ量に応じて増加します。したがって、長距離の場合は伝送データ量を減らすことで消費電力を削減できます。これを可能にするため、当社では事前に作りこんだ機能をボードに搭載し、またセンサーからの生データから重要情報を抽出するようにしました。

我々は、一部のコンピューティングおよびデータ分析機能をハード化した、スマート「デジタルブロック」を開発しました。デジタルブロックをセンサー内部に搭載することで、マイコンでのソフトウェアベースの処理よりも、高速で効率的な処理を実現させています。このような専用ハードウエアを投入することでシステム全体の消費電力を削減できます。このソリューションの良いところは、マイコンに重要情報だけを複数回にわけて伝送することで、ローパワー状態で動作できることです。SensorTile開発キットでは、超低消費電力MCUとBlueNRGブルートゥース無線をセンサーと一体化しているため、超低消費電力IoTデバイスの試作を短期間で行うことが可能です。このような先進的なデジタルブロックには、アドバンスト組み込み歩数計、有限状態マシンおよびディシジョンツリー、完成計測装置(IMU)内の圧縮FIFOなどがあります。

アドバンスト組み込み歩数計は、ハードワイヤードの歩数計で、CPUの介入なしにセンサー内で独立して動作します。センサーの出力と事前に定義されロードされたパターンを比較して、使用者が歩いているか走っているかを自動判定し、歩数カウントを開始/停止します。センサーはその後に情報をマイクロプロセッサに提供し、さらなる精緻化や、単に使用者に通知をします。

有限状態機械およびディシジョンツリーは、パターン認識(機械学習)と意思決定専用に新規開発された機能です。複雑な分類と状態検出を実行することが可能で、マイクロプロセッサに専用の警告や信号を送ります。実例としては、マイクロプロセッサが反応する前に、装置の異常状態をセンサーが分類・識別する予知メインテナンスがあります。

 

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出所: STMicroelectronics

 

もうひとつの例が、圧縮FIFO(先入れ先出し)バッファーです。センサーデータをセンサー内に保管するのですが、このとき生データではなく、効率的な圧縮アルゴリズムを使用します。センサー内のメモリー(そしてシリコン面積)を節約するだけでなく、プロセッサに伝送されるバイト数を減らし、データフローの通信時間を短縮することで、プロセッサの動作時間を短縮し消費電力を削減することができます。

こうした例は、当社におけるセンサー、マイコンなどのシステム内の部品のインテリジェント制御を活用した低電力IoT/IIOTデバイス開発のほんの一部をご紹介したに過ぎません。ひとつのIoT/IIoTノードからスタートし、いくつかの電力を大食いするタスク(コンピューティングやデータ分析)をマイコンではなくセンサーに割り当てるのです。センサー内のデータブロックを活用することでマイコンの通常の電力消費を軽減し、システム全体の電力効率を最適化することができるのです。

(初出 SEMI Blog 2018年9月24日)