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センサーの精度:自動車、産業、消費者市場における重要な指標

 

マリア・ベトラーノ 2020年3月13日

 

 

Andrea Onettiは、 アナログ&MEMSグループのグループ副社長およびSTマイクロエレクトロニクスのMEMSセンサー部門のゼネラルマネージャーです。彼はMEMS、センサー、およびオーディオシステムにおいて約30年間の経験をもっており、半導体業界を主導するキーパーソンの一人です。2019年2月18日~21日にてカリフォルニア州モントレーで開催されたFLEXおよびMEMS&Sensors Technical Congressの基調講演にて、Onetti氏は登壇し、自動車、産業および消費者向けアプリケーションの進歩におけるセンサー精度の重要性について語りました。本レポートでは、それにあたってOnetti氏に SEMIのMaria Vetranoがインタビューしたものです。

 

SEMI: 自律走行車用センサーの将来有望な進歩は何ですか?

オネッティ:航空業界では、すでにセンサーを適用した自律運用に成功しています。慣性航法システム(INS)は、離陸後と着陸前の両方で、飛行中の飛行機の操作をサポートします。残念なことに、これらのナビゲーションシステムの技術は高価で拡張性がありません。そして自動車環境における信頼性の限界により妨げられています。

我々は、民生機器向けMEMS慣性センサーを展開しており、段階的に温度と時間の精度を向上してきました。改善を続けた結果、ついに自動運転に必要な性能を実現しました。現在年間10億個以上を製造しています。レベル3/4の自動運転にすぐに対応できると考えています。

 

SEMI:産業用途において、企業は工場内の設備を監視/追跡するためにセンサーをどのように使用していますか?

オネッティ:スマートインダストリーの2大キーワードとして、予知保全とアセットトラッキングがあります。

予知保全では、複数センサを使った、設備の状態監視(モニタリング)があります。これは機器の誤動作を検出することができ、問題の兆候を早期検出するのに役立ちます。

超音波マイクロフォンは早い段階でパイプ内の漏れを検出でき、高帯域幅の加速度計はマイクロメートルとして機能します。温度センサーは正確にオーバーヒートを捕らえます。

一方、アセットトラッキングでは、商品の輸送中の問題を検出するために、慣性センサーと組み合わせて温度監視を行います。非常に高いフルスケール(最大8000g)の衝撃センサーは、軽量の封筒が落ちたかどうかさえ知ることができます。貨物飛行機が離陸した際、圧力センサーが無線システムのスイッチを切ったり、飛行規制に従ってスマートトラッカーを消音することもできます。私たちは本当にほとんど何でもすることができます!

 

 ST Micro motors

STセンサーとマイクロコントローラーユニット(MCU)をフルに搭載したWEG。小型ながらパワフルなモーターセンサーは、モーター音を聞き、モータに生じる「痛み」を知覚し、その情報をエンジニア、オペレータなどと共有して問題を診断します。(出典:STマイクロエレクトロニクス)

 

ST Micro VR

高精度のモーションセンサー、環境センサー、近接センサーは、VR / ARにとって非常に重要です(出典:STマイクロエレクトロニクス)

  

SEMIセンサーは、VR / ARシステムなどの家電製品のユーザーエクスペリエンスをどのように向上させますか?

 オネッティ:バーチャルリアリティ(VR)と拡張現実(AR)は、慣性センサーの性能が向上するにつれて普及が見込まれるコンシューマ向け技術の良い例です。まず、ユーザーに適切なエクスペリエンスを提供するためには、時間と温度の情報を極めて正確に提供することが必要です。このレベルの精度を達成するには、パフォーマンスの大幅な向上が求められます。さらに、低消費電力かつ小型化する必要があります。幸い、これらのシステムに不可欠な高精度のモーションセンサー、環境センサー、および近接センサーが常に進歩しています。VR / ARと自動車ではスケールが大きく異なりますが、AR / VRシステムの要件は自律走行車を可能にするものと非常に似ています。

ST Micro flow chart 1

MCUセンサーハブの組み合わせによる、各種センサー(環境、マイク、近接、動作)。MCU(中央)、VRコントローラ(上)、VRヘッドマウントディスプレイ(下)。(出典:STマイクロエレクトロニクス)

 ST Micro flow chart 2

 

SEMI:センサーの高精度化の重要性についてはあまり聞いていません。センサーの精度を向上させることが特に重要なのはなぜですか。また、定期的なキャリブレーションは、より高い精度を達成するうえでどのような役割を果たしていますか。

オネッティ:センサーは、関連機能の性能以上のものが求められます。それがもたらす本質的な正確さでもあります。この精度はキャリブレーションによって調整されます。キャリブレーションは通常、製品製造の最終段階、あるいは製造の初期段階で行われる高価なプロセスです。

今日では、より多くのアプリケーションがより高い精度のセンサーを必要としているため、キャリブレーションに多くの時間を費やす必要があり、コストが高くなります。

MEMS技術は、本質的に高い精度を持つソリューションであり、製造の際のキャリブレーション・コストを削減します。これは当然OEM、そして最終的にはその顧客に大きな利益をもたらします。

 

SEMI:最後に、これからセンサーを検討する方へのメッセージをお願いします。

オネッティ:製品に採用するセンサーを検討する際には、センサー精度を優先することをお勧めします。精度の向上はすなわちより高品質のデータを意味します。質の高いデータを取得できるということは、データ処理の削減につながります。

個々の部品を特定のアプリケーションに適合させるための重要な役割を担っているのがキャリブレーションです。MEMS技術が継続的に進化することにより、これらのキャリブレーションの時間とコストを飛躍的に削減することができます。これにより、MEMSセンサーは、他のテクノロジーを使ったセンサーコンポーネントよりも魅力的で手頃な価格で提供できるのです。

(初出:2019212日)

 

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