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装置データ収集(EDA)スタンダード
Freeze Version 3 を検討中

 

日本地区Information & Control 技術委員会
Diagnostic Data Acquisition (DDA) タスクフォース・リーダー 坂本 見恒

2019年5月16日

 

フリーズバージョンのSEMIスタンダード化

EDAスタンダード仕様は、そのWebサービスの定義と一体化されて規定されています。スタンダードを適用するシステムでは、装置およびその装置のデータを収集するアプリケーションが共通のWebサービスの仕様で実装される必要があります。一方で、EDAスタンダードは、機能改善や、間違いの訂正のために改訂が加えられるごとに、いくつかのバージョンができてきます。このため、実際にスタンダードを適用しようとするとき、個々のEDAスタンダードのどのバージョンを組み合わせるべきかを考える必要があります。

このバージョンの組み合わせを示すために「フリーズバージョン」が定義されています。現在、「フリーズバージョン」としては、Freeze 1 (1105; 2005年11月発行)と、Freeze 2 (0710; 2010年7月発行)の2つのものがあります。この「フリーズバージョン」は、ISMIが発行したガイドラインに記載されています。注:ISMI: International SEMATECH Manufacturing Initiative

フリーズバージョンの定義は継続的に維持管理され、いつでも確認できることが必要です。しかしながら、ISMIガイドラインの活動は既に終了しているために、その維持管理が困難になってしまっています。フリーズバージョンの定義を継続的に維持管理してゆくために、DDAタスクフォースではフリーズバージョンをSEMIのガイドスタンダードとして規定する活動を進めていています。

 

Freeze 3 開発

現在Freeze 3 として、スタンダードのアップグレードが検討されています。その主な課題としては以下のものがあります。

 

(1)   高速トレース機能 – Cached Data Sample

現在のトレースの仕様では、図1の例で示されるように、指定されたサンプル数ごとにデータを通信で報告することを繰り返すことによって時系列を収集することになっています。しかし、この仕様では実質的に通信の速度以上に高いサンプリングレートでデータを収集することができません。特に短時間で変化する現象をトレースして測定するためにはより高いサンプリングレートでのデータ収集が必要になります。

 

図1 トレース報告の例

 

この問題を解決するために、高速にサンプリングしたトレースデータをキャッシュにため込んで、データ収集後に報告する「Cached Data Sample」という機能が提案されています。ただし、この方法ではキャッシュの取り込み後にデータが報告されるので、いわゆる「リアルタイム」的なモニタリングを期待する場合には、必ずしもその解決策とはならないかもしれません。Cached Data Sample については、今後その利用方法も含めて、議論が必要ではないかと考えられます。

 

(2)   通信の高速化 – gRPC / Protocol Buffers

EDAの実用化で、大量のデータを収集/プロセス特性解析/問題発見と対策検討、または特定の現象に注目してモニタリングするなどの目的で、より高速なデータ通信が要求されています。

EDAでは、 Freeze 1 および Freeze 2 ともに、WebサービスのためのプロトコルとしてSOAPを使い、XMLによりメッセージを記述しています。XMLのメッセージはテキストで表され、タグによりデータを修飾することができるので、データを可視的に表現できるというメリットがあります。しかしながら、XML化することによりデータが冗長になり、またデータを編集する処理にリソースが消費されるため通信速度が制限されています。またSOAPでは HTTP/1.1を使うため、双方向通信ができないので、このことでも通信速度が制限されています。

この問題の対策としてSOAPをgRPCに、XMLをProtocol Buffersに置き換えて高速化を図ることが提案されています。gRPCではHTTP/2を使い、双方向通信を可能にしています。この詳細については、アルバート・フチガミ氏の「SEMI通信 2018年5月号 次世代SEMI Equipment Data Acquisition (EDA) スタンダード」を参照してください。(http://www1.semi.org/jp/node/83136)

DDAタスクフォースでは、EDAスタンダードにgRPCとProtocol Buffers を適用する提案を検討中で、現在、情報収集目的のスタンダード案(Informational Ballot)を発行し関係者の意見を求めています。

gRPC と Protocol Buffers は最近のインターネット上の通信で活用されていますが、半導体製造装置では未経験の技術であり、その技術を使いこなすリソースを準備する必要があります。このような観点からも、新しいプロトコル適用について議論する必要があると考えられます。

 

(3) 装置メタデータ構成変更

SEMI E125は装置メタデータの記述方法について定義しています。この中で、装置要素に装置データ(Parameter)を関連づける構造が複雑であり管理し難いという問題が提起されています。DDAタスクフォースでは、この問題点を含めて様々な改善のための案を検討しています。この案では装置メタデータの構造が変わるため、既存の装置メタデータについては、その構造を変換する必要が出てきます。ただし、これは現在のフリーズバージョンにではなく、Freeze 3 向けとなっています。

 

SEMIでの議論について

SECS, GEM, GEM300 は、装置を間違いなく制御してプロセスを行うことを目的としてきました。EDAはこれを拡張して、装置の情報を利用するための枠組みを提示しています。

EDAを利用してその価値を得るためには、装置の情報処理能力、ネットワークの能力、データ利用者の情報処理能力などのリソースに掛かるコストは大きくなります。EDAによって得られるメリットと、それに必要なコストのトレードオフが議論されることもあります。

このような状況で、EDAスタンダードの技術内容を妥当なものにしてゆくために、その内容を確認し、審議してゆくことが必要です。DDAタスクフォースは定例会議を開催しスタンダードの内容の共有と意見交換の機会を提供していますので、関係者の皆様にご参加とご協力をお願いします。

 

 

本件に関するお問合せ

SEMIジャパン スタンダード&EHS部 岩村瑞江(miwamura@semi.org