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半導体/エレクロトニクス製造サプライチェーンにブロックチェーンを活用する

 

TIBCO 主席製造業コンサルタント マイク・アルペリン 2019年5月16日

半導体やエレクトロニクスの製造現場は、現在数多くのロジスティクスおよびサプライチェーンの課題を抱えており、これを解決できる可能性があるのは、保護され、不正改ざんができない、真実を示す単一の情報源です。こうした課題のなかでも最重要なのが、データセキュリティの壁によって、サプライヤー、運送者、メーカー、テストハウスの間で情報共有が制限されてしまうことです。これでは、最適な製品品質や規制適合の達成をすることが容易ではありません。さらに、物品の追跡が不十分であったり不適切であったりすると、輸送中の問題の切り分けや、不良部品の追跡、製品の真偽確認も困難になります。模造品対策は重大化しており、これによる米国系半導体メーカーの損失は、年間75億ドルに上ります。

 

ブロックチェーンがデータ共有のボトルネックを解消

ブロックチェーン機能を使って、製造業のデータ共有の弱点を軽減できるかもしれません。メーカーがブロックチェーンの分散型機能性、セキュリティ対策、そしてスマートコントラクトなどの付帯機能を活用して、製品を素早く追跡し、記録の透明性を管理し、サプライチェーン内の手続きや支払いを自動化できる可能性があるのです。ブロックチェーンの単独のプラットホームだけで、こうした問題を全て解決することはできません。しかし、他のソリューションと組み合わせ、特定のユースケースを提供するなら、ブロックチェーンには業務を最適化して、コンソーシアム(共同体)内のより強い信頼と協力の環境を構築できる可能性があります。

 

 

製造業に有用なブロックチェーンの主な特徴として、次の3点があります:

  • 分散された変更できない記録システム。ブロックチェーンのネットワークに分散した記録システムには、ひとつの組織がコントロールする中心的なデータ保管場所はありません。分散型台帳によって、全ての参加者がデータを閲覧できるので、透明性、タイムリーなデータ分配、情報の共有、データへのアクセスがいずれも向上します。また、外敵に攻撃されるような中心的データの保管場所がないので、セキュリティも改善されます。
  • セキュリティと信頼性。ブロックチェーンは最も優れた暗号メカニズムの組み合わせによって、ネットワーク参加者のデジタルアイデンティティを保証し、保管されたデータのプライバシーを保護することで、データへのロールベース(役割に応じた)アクセス制御を実現しています。これにより、第三者の管理者がいない環境においても、信頼性を与えることができます。
  • スマートコントラクト。スマートコントラクトは、ブロックチェーンに追加できるデータ処理で、これによって多くの業務プロセスを自動化し、契約を確実に処理することができます。

 

製造業におけるブロックチェーンのユースケース

製造における各段階のプロセスを迅速化し、セキュリティ問題を軽減するために、ブロックチェーンを様々なユースケースで応用することが考えられます。その可能性を示すいくつかの例をあげます。

製造の前段階で、メーカーはブロックチェーンを活用して、サプライヤーとCPFR(共同して生産計画・需要予測を立て、適正に在庫を補充すること)を進めることができます。在庫水準の監視データをサプライヤーと共有し、在庫切れになる前に補充をしてもらうのです。ブロックチェーンをデータ共有プロトコルとして使うことで、コストの高い専用B2Bネットワークを公衆ネットワークに切り替えることができるでしょう。

サプライヤーは輸送コンテナにとりつけたIoTセンサーとブロックチェーンを組み合わせて、輸送中の不正開封防止の記録を提供することも可能です。これは、輸送中のケミカルや装置が温湿度の許容範囲を超えていないことを保証するためにも利用できるでしょう。    

また、製造装置の部品の材料データをブロックチェーン上に収集して、環境規制に対する適合確認に使用することが可能です。

製造においては、製造装置をひとつのアイデンティティとしてブロックチェーンに登録することで、その稼働や保守の履歴を記録できます。保守サービス会社は、スマートコントラクトを介して予知保全通知を受け取り、装置が故障する前に整備することが可能です。

 

 

製品ディストリビューションの段階では、カスタマーは台帳を検索して、製品の完全な履歴データを調べ、模造品を振り落とし、適切な製品の供給元を固めることができるようになります。不良製品が見つかった場合、カスタマーは台帳から素早く問題のあるサプライヤーや不良テスト結果を見つけ、不良製品が供給された他社にも警告することができます。

 

結論

ブロックチェーンにより、製造業は今以上にサプライヤー、メーカー、カスタマーが協力しあうプロセスを構築できるようになります。ブロックチェーンはサプライチェーンと在庫管理の効率化にも、部品の追跡や規制適合の改善にも、模造品の削減にも役立つことができるのです。

ブロックチェーンとIoTを組み合わせることで、予知保全や輸送中の製品監視といったユースケースが実現されます。ブロックチェーンはまだ成長過程にあり、そのビジネス価値の立証もこれからです。しかし、製造コストや模造を削減し、カスタマーに迅速で安全な納品と、透明性の向上、一貫性を提供する用意は整っています。

 

ブロックチェーンと製造業に関する情報源

TIBCOはSEMIのSmart Manufacturing Technology Communityのメンバーとして、今回ご紹介したトピックやそのほかの議事に関する、定期的に開催される会合に参加しています。スマート製造の未来を方向付けるこの活動にぜひ皆様もご参加ください。

ブロックチェーンの製造業へのユースケースについては、以下をご参照ください。

 

(初出 SEMI Blog 2019年3月21日)