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Custer Consulting Group ウォルト・カスター 2019年11月14日

世界のエレクトロニクス産業は通常、夏中頃から12月のホリデーシーズンまで季節的に好転しますが、今年の秋はそれほど堅調ではありません。

 

IMF:世界経済は同時減速し見通しも不安定

10月半ば、IMFは最新の世界経済見通しを発表し、以下のように述べました。

世界経済は同時減速しており、IMFは2019年の成長率予測を3.0%再び下方修正した。これは世界金融危機以降で最も低いペースだ。貿易障壁と地政学的緊張の高まりが成長を損ない続けている。米中貿易摩擦によって、世界GDPの水準が2020年までに累積で0.8%引き下げられるだろう。

詳細はIMFの見解書をお読みください。

https://www.imf.org/ja/News/Articles/2019/10/15/blog-weo-the-world-economy-synchronized-slowdown-precarious-outlook

 

世界経済の成長減速 最新の「世界経済の見通し(WEO)」による予測

図1 世界経済の成長減速

 

電子機器の成長は鈍化

図2は世界電子機器の月別の出荷額を示しています。米国(商務省)、欧州(ユーロスタット)、日本(JEITA)の月次情報に、台湾/中国および韓国の企業の売上総計を加えた基準年を使用しています。2019年9月は部分的なデータに基づいて推定されています。

 

図1

図2. 世界電子機器の出荷額推移

 

季節的回復の鈍化が顕著です。2019年と2018年を比較してみると、2019年は8月に6.4%、9月に6.1%それぞれ減少しており、すべての地域で成長が鈍化しています。

米国では、8月に電子機器の受注出荷の伸びがゼロに低下しました。(図3)

 

図3

図3. 米国電子機器の受注出荷額推移

 

半導体―縮小率は改善するも依然として縮小傾向

図4は半導体出荷の地域別の3ヵ月移動平均成長率を示しています。1.0線未満の値は縮小を示しています。8月に発表されたデータによると、縮小率は底を打ちましたが、実際の成長に戻るにはさらに6ヵ月かかる可能性が高いと思われます。

 

図4

図4. 半導体出荷の地域別成長率(3ヵ月移動平均ベース)

 

半導体製造装置―売上向上もピーク時には及ばず

図5は世界の半導体製造装置の出荷(3ヵ月移動平均ベース)を示しています。売上は向上していますが、1998年5月のピーク時の売上には到底及んでいません。

 

図5

図5. 世界半導体製造装置出荷額(3ヵ月移動平均ベース)

 

PMIは上向き

世界の製造業PMI(購買担当者指数)は9月に損益分岐点まで回復し、世界の製造業活動が縮小しなかったことを示しています(図6)。しかし、IMFが指摘しているように、世界の景況は非常に不安定です。

 

図5

図6. 世界製造業PMI(購買担当者指数)

 

図7は世界の半導体及び半導体製造装置の出荷とPMIの成長率を比較したものです。回復基調にあるものの、今後の課題が残されています。

 

図7

図7. 世界半導体・半導体製造装置出荷額・PMI成長率の比較

 

今後の動向を注視しましょう。貿易戦争や世界規模の内紛に足を引っ張られなければ、2020年はより良い年になるでしょう。

Custer Consulting Groupのウォルト・カスターは、世界のエレクトロニクス産業に特化したアナリストです。