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2019年12月19日

2019年は半導体製造装置市場にとって「思ったより良かった」年となりそうです。2018年の史上最高額からは減少するものの、2017年を上回る歴代二番目の売上記録という着地点は、昨年後半からの急激なメモリー価格の下落を考えると、僥倖とすら言えるでしょう。

そもそも2019年は、2016年からの装置市場の成長サイクルが4年目に突入する素晴らしい年だと考えられていました。社会や産業のデジタル化を背景に、半導体はあらゆるモノやシステムに浸透し、それらが生成する莫大なデータを処理するデータセンターが次々と建設されるという好循環はいつまでも続くかに思われました。SEMIは2018年7月の時点で、2019年の装置市場を前年比8%増の676億ドルと予測しました。

しかし、2018年の後半からメモリー在庫が増大し、価格の下落が始まると、メモリーメーカーの設備投資にブレーキがかかりました。この傾向が2019年の前半まで続くとの観測に基づき、SEMIは2018年12月には一転して2019年の装置市場を4%のマイナス成長と予測しました。ところが2019年中頃になっても在庫調整は遅々として進まず、2019年7月には18%減へ予測をさらに下方修正したのです。

ここまでは、成長が見込まれた年が、状況の悪化によりマイナス成長に転じ、市場の減速がさらに強まっていくという前例のあるシナリオだといえますが、ここで再逆転があり、今年12月のSEMICON Japanで予測が-10.5%へ上方修正されるというジェットコースターのような動きとなったのです。(予測結果のプレスリリースはこちら

図1

今回の上方修正について、SEMIのアナリストは2019年後半に改善が見られたと述べています。メモリー投資の大幅減(DRAMは20%減、NANDフラッシュは40%減)をある程度相殺したのが、ファウンドリとロジックの先端プロセスに対する活発な投資です。TSMCはスマートフォン用CPUに代表される5G向けサブ10nmプロセスへの旺盛な需要を背景に、またIntelも14/10nmプロセス品の供給ショートを背景に、それぞれ巨額の投資を進めており、その結果、2019年の地域別成長率では台湾と北米の2地域が突出する結果になりました。

また、第4四半期に向けたTSMCとSamsungの大型投資計画も大きな要因となったでしょう。報道によると、両社の第4四半期は第1四半期の投資額の倍以上に膨らんでおり、四半期の投資としてはどちらも記録的な金額となります。

図2

しかし、かくも大きく2019年の市場評価が上下動した背景には、市場のダイナミズムに大きな変化があったとも考えられます。2017年~2018年の装置市場の爆発的な伸長は、スーパーサイクルという市場に対する新たな見方も生み出しました。冒頭でも書きましたが、あらゆるモノがデジタル化し、大量のデータが産出され、それを処理するためのデータセンターが続々と建築され、さらに半導体を消費するという構造は、これまでの市場のダイナミズムでは捉えきれない動きをしているかもしれません。こうした変化が引き起こした歪が2019年の調整を導いたという見方もできるでしょう。

特に検討が必要なのはICメーカーの設備投資に対するセンチメントのパターンが変わっている可能性です。例えば、スーパーサイクルという言葉で表現されたような、これまでの成長イメージを超えた長期的な成長感が主要デバイスメーカーに共有され、足元の景況感よりも将来の利益追求により大きな意味を感じるようなセンチメントが市場を動かす可能性があるかもしれません。

2019年はアナリストにとって予測を頻繁に修正することになった年でした。もちろん、装置市場の予測は、半導体市場の動きやICメーカーの投資計画をつぶさに分析することが基本となります。しかし、今後の市場の大局を動かすセンチメント形成についても、改めて検討することが必要ではないでしょうか。

2019年12月発表のSEMI半導体製造装置市場予測では、2020年をプラス成長が回復する年として捉え、翌2021年には2018年の記録を更新する年としています。その後の成長のシナリオは、今までとは全く異なるダイナミズムに支配されるかもしれません。