Custer Consulting Group ウォルト・カスター 2020年1月21日
世界の製造業、2020年は横ばいで年明け
2019年12月の世界の製造業PMI(購買担当者指数)はゼロ成長(PMI=50)でしたが、各国の指数は大きく異なっています。主要なエレクトロニクス製造国/地域の2019年末の製造活動の状況をIHS MarkitのPMIデータを用いて以下に示します。
| 2019年12月 | 2019年11月 | 動向 |
米国 | 52.4 | 52.6 | 成長が鈍化 |
中国 | 51.5 | 51.8 | 緩やかに成長 |
ユーロ圏 | 46.3 | 46.9 | 引き続き縮小 |
ドイツ | 43.7 | 44.1 | 引き続き大幅に縮小 |
日本 | 48.9 | 48.4 | 引き続き緩やかに縮小 |
東南アジア | 49.8 | 49.2 | 縮小が鈍化 |
台湾 | 50.8 | 49.8 | 緩やかに成長 |
韓国 | 50.1 | 49.4 | 緩やかに成長 |
HIS Markitのチーフビジネスエコノミストのクリス・ウィリアムソン氏は以下のようにコメントしています。
- 世界の製造業PMIは12月に過去8カ月間の最高値に上昇
- サービス業と貿易停滞の緩和が成長をけん引
- 雇用、新規受注、景気予測はすべて上昇
- 米国が先進国の成長をけん引し、英国と日本は縮小、ユーロ圏は引き続き緩やかに成長
- インドを中心とした新興市場が大幅に拡大
図1 世界の製造業PMI
2019年第4四半期の世界電子機器出荷額―冬季の季節的下降は進行中
予測どおり冬季の季節的下降が進行しています。
2019年12月の世界の電子機器の販売額は、同年11月から4%減少し、2018年12月と比較しても6%減少しました。
この季節的下降は毎冬に見られる傾向ですが、今年の下降は業界のさらなる縮小と重なっていると考えられます。
(出典:Custer Consulting Groupが分析した地域ごとの国別・産業別データ)
図2 世界電子機器出荷額
世界銀行:世界のGDP成長率見通しを下方修正
世界銀行によると、世界経済は投資と貿易が昨年の大幅な落ち込みから徐々に回復しており、2020年の成長率は2.5%になる見通しです。しかし、下降リスクは残っているとも述べています。
負債の増加と生産性の成長鈍化が懸念されます。
2020年1月の経済見通しはこちらからダウンロードできます。
図3 地域別GDP成長率
電子機器産業のビジネスサイクル―半導体製造装置が上昇
図4は、半導体、半導体資本設備、製造業PMIの3カ月移動平均の現在の世界成長率を示しています。半導体製造装置の成長曲線が現在の上昇をけん引しています。この地平線の先には5Gの離陸など明らかに光が見えていますが、2019年はまだチャレンジングな年です。
図4 半導体、半導体資本設備、製造業PMIの3カ月移動平均の世界成長率
結論
半導体出荷の伸びは、全地域で縮小し続けています(図5)。現在の半導体サイクルの底は近づいていますが、まだ到達していません。図5における半導体出荷の3ヵ月移動平均成長率は数か月で底打ちするも、実成長はこれらの成長曲線が上昇に転じるだけでなく、1.0線を越えるまで実現しないでしょう。
半導体製造装置の市場はすでに成長モードに入っており、現在は景気回復期にあります。しかし、経済的ならびに地政学的な懸念は依然として根強く残っています。
Custer Consulting Groupのウォルト・カスターは、世界のエレクトロニクス産業の専門アナリストです。