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セリーナ・ブリスチェット 2020年4月9日

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3月後半になり、新型コロナウイルス(COVID-19)による中国での深刻な人的・経済的被害は徐々に改善しつつあります。発端となった武漢での新たな感染は報告されておらず、全国的なロックダウン解除への第一歩として、中国では国内旅行の制限解除が始まりした。

 

3月下旬、コンサルティング企業McKinsey & CompanyとSEMIはウェビナーを共同開催しました。McKinseyからは、3名のエグゼクティブ並びにエキスパートが登壇し、中国の足元状況やサプライチェーンへの影響、今後の展望について語りました。本稿ではそのウェビナーの内容をご紹介いたします。

 

同社サプライチェーンプラクティス担当パートナーのDidier Chenneveau氏は、まず、武漢地域における工場の現状から説明を始めました。同氏によると、現在、新たな回復の兆しとして、武漢地域では操業停止していた工場の再稼働の準備が進んでいます。武漢のある湖北省以外の地域では、多くの製造業労働者が4月末までに職場復帰し、武漢以外の湖北省の都市で職場復帰する製造業労働者の割合は月末までに70%に達するとみられます。

 

また、中国の需要に関しては、消費者の信頼感の高まりや在宅勤務人気の急増がノートパソコンへの支出増に拍車をかけており、「中国のオンライン販売に牽引されて需要が回復していることが判明した」と指摘されました。

 

この回復は、今年初めに中国で小売商品や耐久消費財の需要がかつてないほど落ち込んだことを示すMcKinseyの調査結果とは対照的です。1月と2月の2カ月間で、乗用車販売は90%、スマートフォンの売上高は40%、小売販売は21%減少していました。これにより、製造業者や運送会社が景気回復後にキャッチアップしようと実需以上に奮闘してしまう、いわゆる「ブルウィップ効果」が生じることになり、サプライチェーンが混乱する可能性があるとChenneveau氏は述べています。

 

中国の工場とサプライヤーの見通しが明るくなるにつれ、懸念は、欧米における製造面での大幅な後退がどの程度製品需要に波及するかというものに移行しています。また、人手不足や物流の複雑化によるグローバルなサプライチェーンの寸断も懸念されています。中国は、労働力と製造力が正常化する見通しですが、部品不足が生産のボトルネックとなっています。航空貨物の60%が旅客機で輸送されている欧米では、大幅な減便や飛行禁止により、物流面での懸念が広がっています。

 

「物流は大きな問題であるため、いかなる危機対策の場面においても優先事項となる必要があります」とChenneveau氏は述べています。

 

アジアの半導体サプライチェーンへの影響

今回のウェビナーで、McKinsey & Companyのシニアパートナー兼半導体プラクティスリードであるMark Patel氏は、COVID-19によりもたらされた課題を克服するための取り組みとして、アジアの半導体サプライチェーンは半導体製造用の原材料調達や組立・テストに関するオペレーション業務の継続に努めていると述べています。こうした問題は、ファブのオペレーターやエンジニアの不足という複合的な問題に直面しているファウンドリーやIDMにも波及しています。川下では、製品の包装、テスト、適合性評価ができないため、供給制限が悪化するリスクがあります。

 

もう1つの深刻な問題は、ほとんどの半導体メーカーとサプライヤーが制限された状況下で操業しているため、新製品の導入や新プロセスの開発、設備拡張に不可欠なエンジニアリング活動の維持が難しくなっていることです。長期的には、サプライチェーンの影響は、製品のライフサイクルや、性能や次世代技術への投資にも余波を及ぼします。アナリストは、経済的影響を評価する際にこれらの要因に注意する必要があります。

 

景気回復の鍵は労働者の職場復帰

外出禁止令の発令はCOVID-19の蔓延に対する効果的な対策ですが、世界各国が経済的打撃を受けるため、両刃の剣となっています。McKinsey Global Instituteの会長兼ディレクターのSven Smit氏は、「消費者の自動車などへの支出は今年に入ってから世界で45%減少し、企業投資も減り、貿易は急激に減速している」と述べました。

 

わずか1カ月のロックダウンにより、2020年第2四半期に世界全体のGDPが10%も減少する可能性があるとMcKinseyは予測しています。この減少幅は、第二次世界大戦以降最大で、大恐慌の最初の3カ月の減少よりも大きく、政府が労働者の外出を長期的に禁じる余裕があるのかという疑問も生じています。

 

「前例のないレベルの経済的打撃です。人々が外出禁止になり、仕事ができなくなったことは過去に一度もありません。第二次世界大戦中でさえ、前線の隣では人々が食料を収穫していました」とSmit氏は述べました。

 

中国は、景気回復の青写真を示しています。McKinseyは、中国の厳格なウイルス抑制策により、早ければ6カ月以内に景気がV字回復する可能性があると予測しています。欧米諸国は、一般的に中国ほど強硬なウイルス抑制策を講じていないため、ウイルスとの闘いが長引き、経済的被害が深刻化する可能性があります。

 

最善の感染防御措置を講じたとしても、新たな課題が生じます。ウイルス拡散防止策として外出禁止令の実施期間が長引くほど、経済的な影響も長期化します。「職場復帰への道筋がはっきりするまで、人々は支出を抑えるでしょう。」とSmit氏は述べています。

 

このような現実に直面して、各国政府は、生活と経済の両立についてうまくバランスをとる必要があります。ウイルスの収束が早いほど、世界経済への影響は弱まります。COVID-19の収束後、職場復帰支援が強化されるほど、労働者は早く仕事に戻ることができます。Smit氏は、両方の問題を同時に解決することが可能であり、正常に戻るために「不可欠である」と述べています。

 

McKinseyによるCOVID-19の最新情報については、毎日更新される同社のウェブサイトをご覧ください。

COVID-19およびSEMIイベントの最新情報については、Coronavirus Resourcesのページで把握していただけます。

 

マイケル・ホールはSEMIのマーケティングコミュニケーションズマネージャーです。