2014年の半導体前工程ファブの装置投資額は20～30%上昇へ
最新のWorld Fab Forecastレポートが示す2014/2015年のファブ投資額、生産能力、プロセスノード
SEMI市場調査統計部門 クリスチャン・ディーゼルドルフ
SEMI World Fab Forecastレポートの最新版が明らかにしたところによると、半導体前工程ファブの装置投資額が、2014年に20～30%上昇することが予測されます。30%までの上昇は、欧州/中東地域とアジア地域における特定のファブ計画の動向に依存しますが、詳細はレポートで見ることができます。図1にファブ装置投資額とファブ生産能力（ディスクリートを除く）の推移を示しました。2014年については、190以上のファブ計画（建設/装置投資）をレポートは掲載し、2015年については250以上のファブ計画が掲載されています。いずれも、ディスクリート、LED、アナログ、ロジックを含めた数字となります。
図1 ファブ装置投資額とファブ生産能力（ディスクリートを除く）の推移
SEMIのデータによると、ほぼ全ての分野で、装置投資額は二桁成長をします。もっとも成長が著しいのは、MPUで、次がメモリでしょう。アナログ、ロジック、MEMSが第3位を分け合い、2013年のわずかな投資額からそれぞれ30%程度成長するでしょう。ファウンドリ分野の成長率は15%が予測されます。
SEMI World Fab Forecastレポートは、DRAM関連の装置投資計画の増加を示しており、DRAMの装置投資の成長率は2013年の7%から、2014年は30%に上昇するでしょう。DRAMの生産能力は、2013年に縮小しましたが、2014年は横ばい（0%成長）となる見込みです。
オプトおよびLEDファブの装置投資も安定化することが予測されます。2013年は16%のマイナス成長でしたが、2014年はマイナス1%となります。LEDだけを見ると、2013年のマイナス21%から、2014年はマイナス9%となるでしょう。オプト/LEDファブの建設投資は、2014年に60%上昇するでしょう。こうした投資の結果、LEDの生産能力は、2014年に12%、2015年に14%増加すると予測されます。
SEMIはボトムアップのアプローチをとり、1,100以上のファブの生産能力を詳細に観察しています。産業界全体で、ディスクリートを除く生産能力は、2013年にわずか2%しか成長しませんでした。この数字は、2014年に3%へ微増し、2015年は3～5%の成長が予測されます。
SEMI World Fab Forecastレポートは、ファブ建設および装置投資計画を、ディスクリート、LED、アナログ、ロジックを含めると、2014年については190件、2015年については250件収録しています。レポートでは2013年に、7件の新ファブおよびR&D/試作設備建設開始を収録しています。2014年は6件の建設開始が予想されています。
SEMI World Fab Forecastには、約1,160の設備が収録されています。その内56は、2014年以降に操業を開始するものです（ただし、確度はさまざまです）。また、2014年については196の設備について、建設または装置の投資をレポートし、2015年についてはより多くの件数をレポートしています。2013年11月末に前回ファブデータベースレポートを発行して以来、世界各地のSEMIのアナリストは、Opt/LEDファブを含む253のファブについて、282回ものデータ更新をしています。また、17の新しいファブが加わり、10のファブが閉鎖されました。
SEMI World Fab Forecastは、ボトムアップのアプローチをとり、ハイレベルのレポート要約とグラフ、そして、各ファブの設備投資、生産能力、テクノロジー、製品の詳細分析を提供します。さらに、18か月先までの四半期毎の予測も提供します。レポートが提供するこうしたデータは、半導体製造の2014～2015年を見通し、また建屋や装置の設備投資を掌握するためにも有益です。詳細については、次のWebページをご覧ください：
尚、SEMIの半導体製造装置世界統計（WWSEMS）は、装置メーカーから報告される新品の装置に関するデータを集計したものです。ファブが購入する中古や内製を含むあらゆる装置を対象とするWorld Fab Forecastとは、数値が異なりますのでご注意ください。
（初出 SEMI Global Update 2014年3月号）