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SMC 2012レポート:

OLED、エネルギーストレージ、パワー半導体に大きなチャンス

SEMIエマージングマーケット担当 ポーラ・ドー

SMCOLEDやGaN-on-Siパワー半導体が市場に登場し、グラフェンやカーボンナノチューブ、自己組織化ポリマー材料の製品応用が始まろうとしているなか、10月に米国サンノゼで開催された材料戦略会議(SMC)で、サプライチェーンのあらゆるステージから参加した材料専門家たちが、メインストリームのCMOS以外で電子デバイス製造に必要とされる重要材料について意見を交わしました。SMCを主催するのはSEMIのケミカル・ガス・マニュファクチャラ・グループ(CGMG)です。

大型OLEDディスプレイは、材料のブレークスルーが頼み

OLEDの大型ディスプレイへの採用は、ビジネスが求めることであり、確実に到来する、とPlextronicsのJames Dietz氏は主張しました。大手ディスプレイメーカーのほとんどが、LCDビジネスで損失を出しており、OLEDは製品の価値を高め、差別化し、利幅を増やすための最善の選択肢のように見えるでしょう。OLEDディスプレイは著しく優れているように思われ、より軽い、フレキシブル、より丈夫など、新しい市場を生み出す可能性があります。また、OLEDの超高速スイッチングスピードは、別のメガネを装着した2人が、ひとつのディスプレイで別々の番組を同時に鑑賞できるデュアル・ディスプレイ製品も可能にします。さらに現在は高価なOLEDの価格も、第8世代のラインで55インチOLED テレビが製造されるようになると、液晶テレビと比較可能な価格帯に下がってくるでしょう。OLEDのコストは、その先もどんどん下げられる可能性があります。積層をシンプルにする、ウェットプロセスを導入して装置コストを下げ、高価な材料の使用効率を上げるなどの開発がすすめられています。

市場の本質から生じる問題もサプライヤにはあります。液晶のコモディティ化による経験を繰り返したくないディスプレイメーカー各社は、製造プロセスや複雑なOLED材料の積層を自社内に閉じ込めておこうとしています。そのため、異なる材料や装置のプロセ統合が困難になっているのです。デバイスメーカーは独自材料の開発に投資し、装置および材料メーカーと独占契約を結び、独自のプロセス統合を進めています。DuPont Displayのような材料サプライヤによって進められているプロセス統合もありますが、半導体では普通に行われている、材料サプライヤと装置サプライヤが共同してひとつのプロセスを顧客に提供するということは、ここではないのです。「全てが蒸着されていた薄膜が、徐々に溶液に移り変わりつつある」とDietz氏は言います。「OLEDはこれからの3年間でテレビ市場に参入し、溶液プロセスは2015年までに導入されるだろう。」

2012年に発表された55インチOLEDテレビは、どうやら2012年中には数千台という非常に少量の販売となりそうで、初期の約9千ドルという価格も販売を抑制するでしょう。しかし、NPD DisplaySearchの新ディスプレイ技術担当副社長 Jennifer Colegrove氏によると、OLEDは2014~2015年までには本物の成長を開始し、2017年までには250億ドル市場へとOLEDディスプレイを押し上げるでしょう。Colegrove氏は、今後3年間にAMOLEDファブ建設およびアップグレード計画が10件あると語りました。OLED材料は、現在約3億5千万ドル市場(基板を除くOLED有機材料)だが、40%近い年間成長率をとげて2014年には10~20億ドルに到達すると予測されます。しかし、酸化物やアモルファスのバックプレーン、カラーパターニング技術、青色材料のライフタイム、封止材料、材料使用料削減、そして当然ながらこれらの統合、均一性、そして歩留り向上におけるブレークスルーが依然として求められています。

OLED Display Revenues

   Source: NPD DisplaySearch, Q3’12 Quarterly OLED Shipment and Forecast Report

大型OLEDスクリーンのコスト低減のためには、溶液プロセスが極めて重要になると、DuPont Displays社長のJohn Richard氏は主張します。現在の微細メタルマスクを使った蒸着プロセスによる製造方法では、第8世代の基板になるとコストがかかりすぎるためです。「当社では溶液材料を使用する新たなプロセスを開発し、コストを低減しました」と氏は述べました。ウェットプロセスは、設備投資を減らし、材料の無駄も減るので、コストが大幅に下がりますが、まだまだライフタイムの改善と効率の向上が、特に青色について必要です。アジアのある大手ディスプレイメーカーが、DuPontの技術をライセンス契約し、これを第8世代に拡大する計画です。このプロセスは、既存の装置を主に使用して、正孔注入層・輸送層をコーティングし、次に表面をウェットレーンと非ウェットレーンにパターニングし、その上に、大日本スクリーン製造が開発したノズルプリンティング法の専用装置で、赤、緑、青の発光層のラインを形成します。

残りの層(電子輸送層、電子注入層、金属陰電極)は、ウェットプロセスの後で蒸着されます。Richard氏はコーティングおよび印刷プロセスは、蒸着よりも大幅に材料を節減できると言います。チャンバ、マスクへの付着分や、荒い面とおよびアイドリング中の無駄がないからです。DuPontは、印刷による青色発光層の輝度が半減するまでのライフタイムが30,000時間(1日8時間使用した場合15年間)に達したと報告しています。これからの課題は、合成材料と出発材料のコストの最適化、動作電圧減少によるデバイス効率向上などがあります。

グラフェンとカーボンナノチューブの商用利用はすぐそこ

次世代エネルギーストレージもまた、材料サプライヤにチャンスを提示します。スーパーキャパシタと電池の改良でキーとなる材料のひとつに、グラフェンがあげられるでしょう。特に、品質が安定し適正な価格の材料の原料として期待されます。Angstron MaterialsのCEO、Bor Jang氏は、アジアの請負製造企業が、同社が構造および特性を良好に制御すると主張する技術を使用して、30トンのグラフェン量産を来年から開始すると報告しました。「これによってコストは一桁下がるだろう」とJang氏は言います。最初のアプリケーションはおそらく、リチウムイオン電池の電極材料の性能向上材料となり、次いでスーパーキャパシタの電極改善が考えられています。Angstronは、グラフェンベースのスーパーキャパシタでニッケルハイブリッド電池に匹敵するエネルギー密度のものを発表しています。

「スーパーキャパシタは投資すべき市場だと考えています。近い将来に10億ドル市場に成長するでしょう」と、Pangaea VenturesのジェネラルパートナーであるChris Ericksonは言いました。同社は材料および環境技術に投資をする特殊なベンチャーファンドです。Erickson氏はまた、蒸着コーティングとITO使用した窓ガラスの将来性にも着目しています。米再生可能エネルギー研究所によると、窓ガラスの透明度を調整することにより、ビルディングのエネルギー消費を最大30%節約できるとのことです。米国では全エネルギーの49%がビルで消費されていると報道されています。

Nanteroは、同社で長期間にわたって続けられているカーボンナノチューブ(CNT)薄膜のプロセスと性能の制御について、大きな前進があったと報告しました。そのターゲットは低コスト、低パワーの不揮発性メモリです。CTOおよび共同創立者であるThomas Reuckes氏は、同社のカーボンナノチューブ水溶液をスピンコートした薄膜は、ラフネス、密着性、欠陥密度が、半導体プロセスに対応できるものであり、同社では現在、これにリソグラフィによるパターニングをしていると述べました。金属不純物は液状で1ppb未満、トレースメタルはウェーハレベルで1E11 atoms/cm2未満です。Reuckes氏は4MビットCNTメモリアレイの製造について報告し、その信頼性データを提示しました。Nanteroは最近にimecと共同開発プロジェクトを発表したところです。これはimecの研究所で、次世代の20nm未満のメモリアプリケーションとして、CNTメモリアレイの製造、テスト、特性評価を行うプロジェクトです。

パワー半導体用GaNはLED用途よりも高純度が求められる

GaN-on-Siでつくられるパワー半導体が現在発売されたところですが、International Rectifier Corporation(IR)の新技術担当副社長 Tim McDonald氏は、IMS Researchが予測する2016年のMOSFETおよびIBGTのパワー半導体(Siベース)市場規模250億ドルのおよそ90%に対応する可能性を秘めていると示唆しました。GaNは理論的にはSiやSiCよりもオン抵抗と絶縁破壊電圧のトレードオフがはるかに優れています。GaN-on-Siの利用拡大の鍵となるのは、シリコンに比べて2倍~4倍の性能/コスト比が達成できるかでしょう。

コストダウンを達成するために、IRは組成的に傾斜したAlyGaxN層をシリコン上に成長させて、GaN膜とシリコンウェーハの熱膨張係数と結晶格子定数の不整合を緩和しています。IRは80%の歩留りで、ワープとバウは150mm CMOSラインに流せるレベルに制御されていると主張しています。GaN-on-SiはLEDよりもパワー半導体の方が速いスピードで市場へと向かっています。単に価格が下げられるというだけではなく、性能もよくなるからです。貫通転位が性能に及ぼす影響が異なることも好都合です。また、IRはこの技術をすでに6年~7年にわたり開発しているということもあります。

パワー半導体市場は、LED市場と比較するとダイが大きく、歩留りを高めるためには、より高純度の材料と清浄な装置が必要です。またコストを下げるためには大口径化が望まれます。ガスソースとMOCVD装置の需要は生産量に比例しますが、MOCVD装置はより大口径のウェーハに最適化し自動化を進めるべきで、今後20年間に業界全体でおそらくは2,000~3,000台程度が必要とされるでしょう。パッケージングはワイヤボンディングからはんだコンタクトや焼結コンタクトへと変わって行き、パッケージングに由来する浮遊インダクタンスや抵抗値を減らすための他の手法も採用されて行くでしょう。

LED市場について、IMS Research-HISの照明およびLED担当マネージャ Jamie Fox氏は、大きな成長はあと数年で終わるだろうと主張しました。急成長をしてきたテレビ等のディスプレイからの収益は、市場の成長とともに横ばい状態になり、またLEDの高輝度化と低価格化が同時進行するため、ディスプレイ1台あたりの必要数量の減少と1個あたりの価格が同時に下降しています。LED照明市場は今後数年は急成長を続けて60億ドル近くまで到達するでしょう。しかし、その後は電球ソケットが長寿命のLED(また蛍光灯)に置き換わるため、付け替え需要は減少し、市場は減速するでしょう。短期的に普及が減速したとしても、将来的な飽和が先になるということでしょう。

Creeのマーケティングおよび製品応用担当シニアディレクタ Mike Watson氏は、ソリッドステート技術が照明にもたらす技術革新の可能性を、デジタル技術がいかに電話やカメラをデジタルコミュニケーションやデジタルイメージングという新産業に変貌させたかを例にあげて反論しました。「半導体技術は技術革新によって産業をやすます変化させている」と氏は言います。「なぜ私たちは、これをただの置き換えと考え続けるのだろうか?」

誘導自己組織化技術によるさらなる微細化

もうひとつの革新的なCMOSの代替材料が、誘導自己組織化技術による次世代パターニングであり、急速な進歩を遂げているもようです。AZ Electronic MaterialsのCTO、Ralph Dammel氏は、同種の分子が結合したブロックからなるブロックコポリマーは、同種のブロック同志が一緒に配列する性質があり、都合のよいことに、リソグラフィで形成するコンタクトホールのようなシリンダー構造に整列したり、リソグラフィで形成するライン・アンド・スペースのようにライン構造に配列したりすると説明しました。ウェーハ表面に立体的なパターンまたはケミカルによるパターンを、標準的な193nm液浸リソグラフィの上につけることで、自己組織化によるパターンを誘導することができます。IBM Almaden研究所との研究で、このプロセスがクワッド・パターニングのCD均一性を、スペーサーピッチを分割するプロセスよりも低コストで提供できることが分かってきました。同社はファブでのプロセス評価用に大規模なサンプルを提供しています。導入は早くても2014年ですが、自己組織化技術用の設計は、まだ多くの開発が必要です。

SEMI CGMGについて

Webサイト: www.semi.org/en/About/Communities/CTR_022622
Eメール: cgmg@semi.org

(初出 SEMI Global Update 2012年11月号)

 


セミコン・ジャパン 2012 新材料関連情報

セミコン・ジャパンでは、新たな材料技術が求められる上記新分野について、展示とセミナーで最新情報を提供します。ここでは、その一部をご紹介します。詳しくはセミコン・ジャパンのWebサイト(www.semiconjapan.org)をご覧ください。

  • 次世代技術パビリオン
    次世代技術パビリオン     明日の半導体ビジネスをドライブする技術エリアにスポットライトをあてるパビリオンに、最先端の企業、研究機関、大学等が出展します。パワー半導体エリア、プリンテッドエレクトロニクスエリア、イノベーティブ・ベンチャーエリア、3D ICエリア、MEMSエリアで構成されます。
  • LED/有機デバイスパビリオン
    HBLEDや有機ELなど、最先端発光素子とその製造技術にフォーカスしたパビリオンでは、企業展示に加えて、学界・団体による特別展示エリアも設置します。
  • 学会・協会特別展示
    学会・協会の協力を得て、未来へ向けた情報を発信します。応用物理学会、エレクトロニクス実装学会、LED照明推進協議会、精密工学会プラナリゼーションCMPとその応用技術専門委員会、日本液晶学会、世代プリンテッドエレクトロニクス技術研究組合が展示をします。
  • STS Session 1 先端デバイス 「14nm世代以降のデバイス技術」
    各種トランジスタの専門家を招き、14nm世代以降のMoreMooreに向けた最新の先端デバイス技術についてご紹介いたします。
  • STS Session 5  OLED 「立ち上がる有機EL照明の現状と未来」
    有機EL照明技術の現状にフォーカスを当て、最新の注目技術とともに評価・解析手法、さらにはワールドワイドな市場動向まで、その将来性を見据えて詳細に解説します。
  • STS Session 8 パワー半導体「SiCパワー半導体技術の進展とパワーエレクトロニクス応用」
    近年、パワー半導体として注目されている炭化珪素(SiC)パワーデバイス関連の技術進展には著しいものがあります。今までの技術進展と今後の課題、応用展開等を当該技術分野の第1人者の方々に解説頂きます。