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LED装置市場は、2014年に回復へ

SEMI 副社長兼最高マーケティング責任者 トム・モロー

LED産業は、生産能力過剰問題に取り組み、2014年には設備投資を再開し、生産能力を拡大しようとしています。SEMI Opto/LED Fab Forecastレポートの高輝度LED前工程工場のデータによると、LED前工程装置への支出は、2011年にマイナス45%、2012年にマイナス30%の減少をしてきましたが、2014年は17%上昇し、12億ドル近くになることが予測されます。装置支出のトレンドは、LED産業の新たな時代の到来も明らかにしました。装置支出は、以前は多くの新規参入企業が担っていましたが、現在はリーディング企業と意欲的な生き残り企業に集中しているのです。

液晶TVバックライトへの採用で火がついたLEDブームで、固体照明の長期的成長に対する熱狂的な楽観が広がり、LED産業は過去3年間にわたり、世界の生産能力を劇的に拡大しました。このひとつの理由は、中国の有利な政府補助金による後押しでした。世界の総生産能力は、2011年に49%、2012年に39%拡大し、今年も19%の増加が見込まれています。中国では、国および省の補助金制度によって、2010年には4インチウェーハ換算で月産約10万枚だったLED生産能力が、今年はなんと62万枚へと拡大しています。

LED Equipment Spendingこの生産能力拡大の多くは、2010年~2011年にみられた、LED市場は年平均が2015年に200億ドルを超えるという極めて楽観的な予測が引き起こしたものです。最新の予測では、2015年のLED市場は150億ドル、年平均成長率は5%未満です。成長率予測が下がった主要な理由としては、ディスプレイの光ガイドが改良され、LEDを効率的に使用できるようになったこと、LEDパッケージの発光効率が向上したこと、LEDランプの置換え市場が小さかったことが挙げられます。Strategies Unlimited社によると、キロルーメン当たりの平均コストは、2011年に13ドルだったのが現在は3.65ドルまで下がっています。1台の液晶TVが使用するLEDの数は3分の1に減少し、固体照明が必要とするLEDの数も数年前の半分以下になっています。また、モバイル機器やノートパソコンに使われるLEDも減っています。自動車はまだ成長市場に留まっていますが、LED市場全体の中では10%程度を占めるに過ぎません。

大量の生産能力、多数の新規参入、大幅な成長率の低下により、LEDパッケージの価格は、ここ数年で劇的に下落し、新規参入企業と、中~低出力の利幅の低いセグメントにある企業を中心に、多数のメーカーが厳しい経済的苦境に陥っています。工場稼働率は、全世界で低下し、特に中国では顕著です。LEDのエピ工程に不可欠なMOCVD装置の売上は急落しました。MOCVD装置のトップメーカーであるVeecoとAixtronの売上は、2010年に3倍増となりましたが、ほぼ同じ額が2012年に失われました。

LEDパッケージの価格下落をいくらか埋め合わせるのが、LED産業の80%が使用するサファイア基板の大幅な値下げです。4インチのサファイア基板価格は、2011年の130ドルという高値から、現在は32ドル前後まで下がっています。6インチ基板も、18か月前は450ドルでしたが、今は300ドルを下回っています。パターン化サファイア基板(PSS)が、急速に2インチおよび4インチで標準となり、6インチでもその方向です。サファイア基板の価格下落と、SiCとの競争力の持続から、LEDにGaN-on-Si基板が浸透する見込みは減っています。かつては必須とは言えなくても、高いと思われていましたのですが。Lux Researchの新しいレポート「Dimming the Hype: GaN-on-Si Fails to Outshine Sapphire by 2020」では、SiCとサファイア基板が、生産能力の拡大と技術改良の継続によって、今後もLED市場を支配すると見ています。レポートは「ハイドライド気相成長法:(HVPE)によって、スループットはさらに高まり、コストが削減されるので、サファイア基板は2010年代の残りの期間も、高い競争力を維持するだろう」と述べています。

LED産業は、リーディングメーカーが6インチ基板での製造に投資を行い、歩留りとスループット向上のために関連装置を購入するなど、世界的に安定を取り戻してきました。最近のLED製造投資の中心は、Cree(SiC)、Philips(サファイア)、OSRAM(サファイア)による6インチ化投資です。日亜化学は生産能力拡大と技術改良の投資を継続し、台湾のEpistar、Formosa Epitaxy、Genesis Photonicsも今年はかなりの製造投資をしています。主要メーカーの多くが、計測システム、自動化、エッチング、リソグラフィの投資を増額して、生産システムの最新化を図っていると思われます。

中国は、2014年になると、政府の補助金なしにMOCVDの購入を再開するでしょう。2013年には、150台のMOCVD装置が購入されていますが、2014年は50%近く増えるとSEMIは予想しています。同時に、中国では市場の整理統合と競争力のないプレイヤーが消え去る結果、多くのLED工場が閉鎖され、また転用されることになるでしょう。MOCVDを120台所有するSan’anと、90台所有するETi(Elec-Tech)は、工場稼働率を上げており、新たな主要なプレイヤーとなりそうです。中規模LED工場の中には、Canyang OptoやHC Semitekなど、ほぼフル操業しているところもあり、将来を有望視しています。中国の2014年の装置支出額は、前年比で33%の上昇をして、世界の支出額の44%を占めることが予測されます。さらに詳細な情報が、9月4日~6日にSEMICON Taiwanと同時開催されるLED Taiwan 2013で提供されます。

以上をまとめると、世界のLED製造市場は、安定化をしており、2010年~2012年に急拡大した生産能力問題を乗り越えつつあります。LEDパッケージ価格の大幅な下落は、基板のコストダウン、歩留り向上、基板サイズ大型化によって、部分的にはオフセットされています。日亜化学、Cree、Philips、Osram、LG Innotekといった世界的なリーディング企業は、生産設備を最新化を継続し、歩留りとスループットの向上を進めています。中国市場における淘汰が始まっており、生き残った企業は、長期的な競争力に向けた持久力をつけようとしています。

LED市場全体は、今後5年間に穏やかな成長を続ける模様であり、多くのメーカーは垂直統合された照明メーカーであることから、大型製造投資によって、コストの優位性や市場シェア拡大することは、大きな動機とはなりません。さらに、中程度の出力のLEDパッケージが、かつては最新の高出力製品のものと考えられていた照明用途に流入しており、中国企業に市場機会を提供しています。しかし、多くの照明メーカーは、パーツ数(ダイサイズ、パッケージ、蛍光体の種類)を減らして、何年にもわたるダイナミックな技術変化の後は、製品ラインを安定化させようとしており、その結果、新しいサプライヤや製品タイプへの需要は抑制されるでしょう。LED市場での成功への掛け金は明らかになってきたようですが、競争によって、今後数年間の製造投資がどのようになるかは、まだ見えていません。

本稿の寄稿者トム・モローは、10月28日~29日にボストンで開催されるLEDs Conferenceで講演をします。今年のテーマは「LEDs & the SSL Ecosystem 2013: Phase 2, the Path to Profit」と題され、OSRAM、Philips、Acuity、Cree、Canaccord Genuity、Rensselaer Polytechnic Institute他から講演があります。SEMI会員には、9月27日まで750ドルの特別料金が設定されています。この料金で登録するには、www.ledsconference.com にログインし「Regtister Now」をクリックしてください。最初の画面に、SEMI membersの表示がありますので、そこをクリックし、割引コード「SEMIVIP」を入力してください。登録についてのご質問は、Jennifer Carter (jcarter@smithers.com / 207-781-9130)までご連絡ください。

(初出 SEMI Global Update 2013年8月号)