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記録的な設備投資で2011年のファブ装置への支出は28%上昇

エキサイティングな日々がやってくる - 450mm時代の幕開けか?

SEMI市場調査統計部門 クリスチャン・ディーゼルドルフ

半導体製造装置産業にエキサイティングな時期が訪れようとしています。2011年の前工程ファブ設備投資が記録的なものになるのは確実です。450mm時代の幕が開きつつある兆候も見られますし、微細化は20nmクラスに突入するでしょう。そして新しいファブが予想もしない場所に出現しています。複数の半導体メーカーが、2010年に過去最高の設備投資を行いましたが、2011年は更にそれを上回る投資を計画しています。

SEMIは半導体メーカーの設備投資発表を分析し、ファブ・データベース製品の情報を更新していますが、その最新結果は、2011年のファブ設備投資の総額は前年比15~20%成長することを示しています。これは過去最高の水準でこそありませんが、その内のほとんどが投資される中古も含むファブ装置購入額は、最高水準となることが確実です。ファブの装置購入費と建設費の推移を表1に示しますので、前回ピークの2007年の状況と比較することができます。

表1: 前工程ファブ装置購入額の推移

 前工程ファブ装置購入額の推移

Source: SEMI World Fab Database Reports (February 25, 2011)

2011年2月25日に発行されたWorld Fab Forecastの最新レポートでは、LEDファブも含めると200以上の工場データが更新されました。ファブ毎に投資計画を追跡し、積み上げて得られたデータから判明したのは、2011年のファブ装置の購入額は前年比28%上昇するということです。2012年については現在のデータは4%の減少を示しています。

2011年に計画される建設投資は13%程度の減少となる見込みです。2012年もこの傾向は継続し、9%減が予測されています。

複数企業が2011年は過去最高額を投資

複数の会社が、過去最高となる目のくらむような金額を、2011年に投資するでしょう。例えば、TSMCは2010年に過去最高の52億ドルの設備投資を行いましたが、2011年にはこれを更新する78億ドルを投資します。インテルの設備投資は、2010年の52億ドルから2011年は90億ドルに拡大します。Globalfoundriesは2010年の設備投資額27億ドルを、2011年に54億ドルと倍増させます。Samsungは研究開発費を含む設備投資額全体を、過去最高だった2010年から2011年は18%増額し新たな記録を作ります。しかし、SamsungはLCD、OELD、研究開発費に資金を集中するため、半導体への投資額は実際には14%減少することになります。その他にも2011年の設備投資を(過去最高水準とまではいかなくても)増やしている企業には、Hynix、Micron、SMIC、東芝、STMicroelectronics、Infineonがなどがあります。

時代は移り変わり、半導体産業のバランスも変化しています。ファウンドリのファブ装置購入額が、はじめてメモリの投資水準に達しようとしています。メモリは、歴史的に半導体産業で最も投資の活発な分野でした。図1に2011年と前回ピークの2007年を比較し、半導体産業分野の投資比重の変化を示します。

図1: 2007年と2011年のファブ装置購入額の半導体産業分野別比較

2007年と2011年のファブ装置購入額の半導体産業分野別比較

Source: SEMI World Fab Database Reports (February 25, 2011)

2011年には、ファウンドリのファブ装置購入額が、過去最高水準に達する見込みです。ファウンドリによる投資の勢いは、2012年にも継続することが予測されます。メモリ・メーカーの設備投資は、2006~2007年ほど活発ではありません。装置購入額は2008年の水準に近いものとなるでしょう。MPU/ロジックの装置購入額も大きな割合を占めています。これをリードするのがIntelで、2011年のMPU分野での投資は過去最高水準に達するでしょう。

生産能力は増加: 「ようそろう」- しかし速度は過去よりも遅い

SEMI World Fab Forecastの最新レポートが予見しているのは、生産能力の安定した増加で、2011年には9%、2012年には7%の成長が見込まれています(ディスクリートを除く)。図2を参照ください。

図2: 世界の半導体生産能力

世界の半導体生産能力

活発な投資水準に呼応して、ファウンドリの生産能力が2011年に最も大きく拡大し、これに続くのがMPU/ロジック(合計)、そしてメモリとなるでしょう。ファウンドリは2012年も引き続き生産能力伸び率をリードすることが予測されます。こうしたプラス成長率は心強くはありますが、世界同時不況の前と比較するとかなり低水準と言わざるをえません。2004~2007年にかけての生産能力の成長率は年間14~23%もあったのです。

2年以上先を予測することは、マクロ経済の変動に大きく影響される半導体産業では極めて困難です。SEMI World Fab Forecastは、2012~2016年に生産を開始を予定する45のファブ計画を登録しています。このデータから推定すると、2013~2014年の生産能力年間成長率は7%前後となります。各社が過剰設備・過剰供給を防止しようとして、投資の大部分を既存設備のアップグレードに向けるためです。

建設計画: 「ファブ・タイト」とは、どれだけタイトなのか?

ファブ装置への投資は過去最高となる一方で、近い将来の新規ファブ建設はわずかしかありません。皮肉なことに、そのいくつかは予想もつかない場所に出現しています。例えば、アブダビやシベリアです。新しいファブの建設計画を、過去10年間と今後2年間で比較すると、急激な減速に気づきます。特に300mmの新ファブについてです。図3をご覧ください。

図3: 量産ファブの建設開始件数

量産ファブの建設開始件数

2010年には34件の新しい量産ファブの建設が開始されましたが、2011年に建設が開始される可能性が高い計画は7件、2012年に見込まれるのは4件しかありません。比較として、過去5年間は、少なくても年間20件の新規ファブが建設を開始しています。2009年と2010年については、その大半がLEDファブでした。

LEDファブの減速

新規ファブが最も多い分野がLEDです。そのウェーハ・サイズは2インチもしくは4インチです。しかし、2011~2012年には、新規LEDファブの建設開始件数が大幅に減少します。SEMI World Fab Forecastは、新規LEDファブの建設開始を2010年に24件登録していますが、2011年に可能性が高いのは5件に過ぎません。

この減速は、最近の過剰な生産能力増加と、中国政府の補助金政策の変更によるものであると説明できるかもしれません。例えば、これまで中国の地方自治体は、多額の補助金によって国内LED産業を支援してきました。企業はMOCVD装置1台あたり、最高800万~1000万元を受け取っていたのです。こうした補助金の中には、今年終了し、ほかも変更がされると思われます。

新規300mmファブの減速

2010年には、SEMI World Fab Forecastは、7件の300mm量産ファブ(研究開発や試作ラインを除く)を登録しています。しかし2011年には、年半ばにIntelが建設を開始する1件があるだけです。2012年は3件の300mmファブが建設を開始します。1つはファウンドリ、2つはIDM(垂直統合型デバイス・メーカー)によるものです。また2件は450mm対応のクリーンルームとなる可能性があります。

この新規300mmファブ建設の減速には、いくつかの要因が考えられます。ファブ設備は巨大化し、生産能力の立ち上がりに必要な時間も長期化する傾向があります。また、既存ファブのアップグレードによる次のプロセス・ルールへの対応が進められており、一方でIDM各社はファウンドリへの製造アウトソーシングを拡大しています。先ごろの景気後退の後、業界は生産能力過剰を恐れて建設に消極的です。そして、何社かは、450mmウェーハ技術の成熟を待って、新時代に投資ができるまでじっとしている可能性もあります。

需要が停滞せずに拡大を続けると仮定するなら、「ファブ・タイト」の状況が問題となる可能性があります。既存のファブがフル稼働に達した場合、各社はテクノロジーをアップグレードするだけでは、新しい需要に対応しきれなくなる恐れがあります。新しいファブのリード・タイムは非常に長く、建設開始から操業開始、そして量産までに1年から1年半が通常は必要です。2011年の半ば以降に建設を開始しても、量産ができるのは2012年末あるいはプロセス・ルールによってはそれ以降になるでしょう。

450mm時代の夜明け

SEMI World Fab Forecastは、今回のレポートで初めて、7件の設備(研究開発、試作、量産を含む)を近い将来の450mm対応候補として特定しました。最初の設備は2013年に操業を開始することが予測されます。

450mm装置はすでに入手可能なものもあります。計測装置、ウェーハ・ソーター、洗浄装置などです。現時点では、450mm量産ファブを完成するための成熟した装置一式が揃うかは不明です。

大手デバイス・メーカー数社が450mmを推進する一方で、政府もこれに注目しています。欧州委員会が、調査会社Future Horizons Ltd.およびDecision SAと1年間の共同契約を結び、450mmの半導体試作ラインが欧州にできた場合の利益を評価する決断をしたことからも、それが分かります。政府補助金は、最初の300mm試作ライン(SC300)をドレスデンに建造する際にも大きな役割を果たしました。

思いもよらない場所にファブが誕生: 砂漠とシベリア

経済的支援(所得税免除と強力な政府補助金)に主に誘導されて、Advanced Technology Investment Company(ATIC)は、アブダビ国際空港(マスダール・シティ)に隣接するHigh Tech Centerに60~70億ドルを投資する計画を発表しました。アブダビはインフラを無から建設する必要がありますが、同センターには300mmファブの計画も含まれています。生産開始は2014年または2015年と予想されます。

砂漠の中心から対極にある場所に進みましょう。Rusnanoは通信ICをシベリアのファブで生産する計画を発表しました。Micranという名称のこのプロジェクトは、シベリアのトムスクにあるテクノロジー・パークにおいて、2010年末に建設が開始されていると、消息筋は伝えています。

(初出 SEMI Global Update 2011年3月号)


SEMIのファブ・データベースは、あなたに代わってファブ計画情報を収集します。World Fab Forecastには、1,122の設備が収録されており、その中には50件の新規ファブ計画が含まれています。2011年については、同レポートは200件の装置購入計画と、43件の建設計画を追尾しています。

SEMI World Fab Forecastレポートは、ハイレベルの概要やグラフから、ファブ各々についての設備投資、生産能力、テクノロジー、製品情報の詳細と、18ヶ月先までの予測を四半期毎に提供します。2011年、2012年を見通し、設備投資の詳細を知るために絶好のツールとなります。

半導体装置についてデータには、これ以外に半導体製造装置市場統計レポート(WWSEMS)があります。これは、半導体の前工程および後工程の新品の装置の受注出荷金額を装置メーカーから直接収集した情報ですが、World Fab Forecastレポートは、半導体前工程ファブの情報を個別に追跡調査したもので、装置金額には中古装置も含まれています。