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2022-11-24

CHIPS法でイノベーションハブとなる10の候補地

米国のCHIPS and Science Act(CHIPSプラス法)では、国内半導体メーカーに対する527億ドルの補助金支出と240億ドル相当の25%設備投資税額控除が良く知られています。しかし、それと同じくらい重要なのが、商務省が5年間で100億ドルを投じる「地理的に分散した20地域のイノベーションハブ」の設置です。

ハブとなる地域はまだ明らかではありませんが、商務省経済開発局(EDA)が全国を分割して管轄する6区域に少なくとも3カ所ずつが設置され、経済的に困窮している地域に10億ドルが投資される予定です。政府が国内製造業の拡大スケジュールを早めようとするなら、既存の「インフラ」や「エコシステム」、「有能な人材」を有する地域が選考で有利となるでしょう。以下に、私がイノベーションハブに選ばれると予測する地域のトップ10と、それぞれの優位点を挙げます。

 

アリゾナ州 - シリコンデザート

Imageフェニックス大都市圏(Greater Phoenix)は、半導体の先進地です。アリゾナ州は、製造業の雇用成長、半導体・電子部品製造業従業員数、半導体輸出で全米の州の上位5位以内にランクインしています(ACA)。また、Applied Materials、Intel、Moov、NXP、TSMCなどの半導体企業が進出しています。アリゾナ州は全米半導体経済ロードマップ(NSER)を主導し、アリゾナ州立大学では半導体研究、産学連携、人材開発プログラムに拡張しています。州や地域のインセンティブを活用して、過去2年間にTSMCとIntelだけでも320億ドルの資金を集めています。

 

カリフォルニア州 - シリコンバレー

ImageIntel、Nvidia、Skyworks Solutions、Maxim Integrated、 Advanced Micro Devicesには、600以上の半導体事業所がありますが、いずれも本拠地はカリフォルニア州です。同州の半導体製造業雇用者数は、46,000人以上であり全米1位です(SIA)。半導体はカリフォルニア州最大の輸出品で、輸出額は126億ドルにのぼります。このチップ製造活動は261億ドルの賃金を生んでいます。企業立地専門誌Business Facilitiesは、カリフォルニア州をテキサス州に次ぐ全米最優良の半導体企業立地にラインキングしています。半導体業界の協力者として、下院議長のナンシー・ペロシ議員(民主党、カリフォルニア州選出)がおり、彼女は今年8月に台湾でTSMCのマーク・リュウ会長と会談しています。

 

アイダホ州 - シリコンスパッド(じゃがいも)

Imageアイダホ州ボイスに本社をおくMicron Technologyの社長兼CEO、Sanjay Mehrotra氏は、CHIPS+インセンティブを使って2030年までに150億ドルを投資して新しいfabを建設し、州内で現在6000人以上を雇用しているが、さらに17000人を追加雇用すると発表しました。SIA 2019データでは、アイダホ州は、全米の半導体雇用者数ランキングで、8,500人の第5位にランクされています。半導体企業は州内で30億ドルの賃金を生んでいます。半導体はアイダホ州の第1位の輸出品で、9億4300万ドル相当です。

 

インディアナ州 - シリコンハートランド

ImageSkyWater Technologyは7月、インディアナ州経済開発公社から5350万ドルの業績連動型インセンティブを受け、ブルーミントンに18億ドルの研究・生産施設を建設すると発表しました。この新施設では約750人の雇用が創出される予定です。インディアナ州の2つの大学が、半導体部門に必要な熟練労働力を提供するため、半導体およびマイクロエレクトロニクスにおける国家要請に対応するための中西部ネットワーク(Midwest Regional Network to Address National Needs in Semiconductor and Microelectronics)に参加しています。

 

ミネソタ州 - シリコンプレーリーの復活

ImagePolar Semiconductorは8月、CHIPS+を使って2023年に50%以上の生産能力追加をする計画を発表しました。Polar社の社長兼CEOのSurya Iyer氏によると、有能な労働力を確保できるかが計画の最大のハードルだとのことです。SkyWater Technologyも同州でファウンドリを操業しており、国防総省の信頼できるファウンドリプログラム(Trusted Foundry Program)で認定されているほか、国立標準技術研究所(NIST)とGoogleの合弁事業の製造を請け負う予定です。

 

ニューヨーク州 - テックバレー

Image6月の州議会で承認された、グリーン半導体製造プロジェクトに対する20年間で100億ドルの税額控除は、ニューヨーク州史上最大の特定産業減税措置です。GlobalFoundriesは、150億ドルを投資したマルタ工場を、さらに60億ドルから80億ドルかけて拡張する計画の承認を8月に当局から得ました。Micronは、半導体擁護者であるニューヨーク州知事のキャシー・ホーチュル氏と上院院内総務のチャック・シューマー氏(民主党)の働きかけにより、ニューヨーク州北部に最大1000億ドルを投じて国内最大の工場を建設することを発表しています。

 

オハイオ州 - シリコンハートランド

ImageIntelは1月、リッキング郡に200億ドルを投資して、3,000人を雇用する工場を建設すると発表しました。州と郡から総額20億ドル以上の優遇措置を得て、投資額は州史上最大となりました。この工場は、Amazon、Facebook、GoogleのデータセンターがあるNew Albany International Business Parkに建設されるため、労働力を確保する上では有利に働く可能性があります。さらに、オハイオ州の8つの大学が、半導体およびマイクロエレクトロニクスにおける国家要請に対応するための中西部ネットワークに参加し、技能労働者の提供に努めています。

 

オレゴン州 - シリコンフォレスト

Image米国の半導体産業就業者の15%、40,300人がシリコンフォレストに居住しており、その半数以上がオレゴン州最大の民間雇用主であるIntelの従業員です(SIA)。民主党ロン・ワイデン上院議員、ケイト・ブラウン知事、Portland General Electric社長兼CEOのマリア・ポープ氏が共同議長を務めるオレゴン州半導体競争力タスクフォースは、最近、土地利用、減税等のインセンティブ、人材開発、環境規制の見直しを含む州内の半導体セクター拡大計画のあらましを発表しました。Intelは、オレゴン州に先進リソグラフィ研究センター建設するためにCHIPSプラス法の資金調達を進めています。

 

テキサス州 - シリコンヒルズ

Imageオースチン大都市圏は、半導体産業の温床となっていますが、その一因は同地の強力なインセンティブにあります。Samsungが11月に発表した170億ドルを投資するファブ建設計画の発表を受けて、多くの業界報道が飛び交っています。NXP Semiconductors NVとInfineon Technologies AGが(オースチン周辺の)セントラル・テキサス地域に新しいファブを建設する可能性がある他、Appied MaterialsとLindeもこの地域に施設を建設する可能性に言及しています。テキサス州会計検査院によると、同州は昨年、193億ドルの半導体を輸出しました。半導体企業はテキサス州民を4万人以上雇用し、同州のGDPに153億ドルの貢献をしています。

 

バージニア州 - シリコンコモンウェルス

Image数十億ドル規模の半導体プロジェクトの誘致で他州に敗北したバージニア州当局は、Micron、バージニア・コモンウェルス大学、バージニア工科大学と共同で投資誘致への取り組みを拡大しています。その取り組みには、3カ所のメガサイト(Southern Virginia Megasite at HillMid-Atlantic Advanced Manufacturing CenterSussex Megasite)の他に8カ所の開発中のメガサイトが含まれています。Micronは30億ドルの経済開発契約によって、マナサスのファブを拡張しています。また州立大学6校にはクリーンルーム設備があります。

 

著者について

HSSteven Zhouは、中古半導体製造装置の世界最大のECサイトであるMoovの共同設立者兼CEOです。製造装置の仲介で50年以上の経験を持つチームによって設立されたMoovは、中古装置の取引を迅速、確実、かつ安全に行うことを可能にしています。CEOのSteven ZhouとマネージングディレクターのMaxam Yeungは、2017年にMoovを共同設立しています。Moovは2021年にTiger Globalが主導する4100万ドルのシリーズA資金を調達し、2022年にはECサイトのアクティブなリスティングが30億ドルを超えました。Moovはアリゾナ州テンピに本社を構えています。