downloadGroupGroupnoun_press release_995423_000000 copyGroupnoun_Feed_96767_000000Group 19noun_pictures_1817522_000000Member company iconResource item iconStore item iconGroup 19Group 19noun_Photo_2085192_000000 Copynoun_presentation_2096081_000000Group 19Group Copy 7noun_webinar_692730_000000Path
メインコンテンツに移動
2020-12-21

COVID-19のマイクロ流体産業への影響:このチャンスは単発か長期的か?

COVID-19は医療市場全体に影響を及ぼしました。第一波のピーク時には、製造業や自動車産業の企業がセンサーや製造ラインを転用して、人工呼吸器用の圧力センサーや体温計用の温度センサーを供給しました。同時に、ウェアラブル機器など遠隔患者モニタリングに使用するモバイルデバイス用のセンサーを製造する各社は、世界的な遠隔治療の急増もあって、需要の増加を経験しました。

これに加えて、COVID-19検査の強い需要を受けて、診断機器メーカーは既存のシステムをSARS-CoV-2ウイルスやその抗体の検出用途に転用をしました。特に過去6カ月間には、数多くのマイクロ流体技術による臨床現場即時検査や中央検査室における高速大量処理ソリューションが実現しています。

これら呼吸器系検査機器メーカーは、大量の検査装置を既存あるいは新規の施設に設置し、目覚ましい数の検査キットを販売した結果、2020年第1四半期に最初の売上スパイクが訪れ、その後、第2四半期、第3四半期にもさらに高い売り上げを記録しました。2021年初頭以降も、パンデミックが終わらず、インフルエンザ流行期が到来し、医療機関における検査数が数か月前を上回るとなると、この成長は継続することになるでしょう。呼吸器系検査機器メーカーの勝ち組は、Abbott、bioMérieux、Cepheid、GenMark、Luminexです。この中でも、Yoleはマイクロ流体製品市場のうち臨床現場分野が2019年の45億ドルから2020年は63億ドルに急伸し、2019年から2025年にわたり年平均15.1%の成長率を続けて104億ドルに到達すると予測しています。この金額は、2019年の全マイクロ流体製品の売上の40%に相当します。

 

Yole graphic 1

Yoleのマイクロ流体工学に関する調査は、
各社の多様なCOVID-19試験機器を対象としました。
各検査は異なるニーズに対応しています。

 

COVID-19検査の進化

この検査機器の増産がこれからのインフルエンザ流行期に有効であることは間違いありません。しかし、来年に有効なCOVID-19ワクチンが行きわたり、パンデミックが収束したらどうなるでしょうか。診断機器メーカーの売上はパンデミック前の水準に戻り、増産のための設備投資は無駄になってしまうのでしょうか。その心配はありません。これは単発のブームではないのです。パンデミック収束後も検査装置はそのまま残り、医療機関はそれを使ってメーカーが提供する他の検査(通常は他の種類の感染症の検査)を行い、その後も使い捨ての消耗品売上をけん引することになるでしょう。

パンデミックは、より効率のよい診断ツールの必要性を明らかにしました。即時性があり低価格で広範な利用が可能な感染症検査が、このような危機的状況では極めて重要です。診断機器メーカーが苦労したのは、特に最近のプラットフォームが検査メニューを絞っているマイクロ流体分野で、使い捨てカートリッジを使用して結果を読み取る検査装置を病院、緊急治療室、現場検査サイトといった様々な場所に設置することでしたが、これも現在では達成されています。その結果、将来もパンデミック収束後も消耗品の売上は継続し、マイクロ流体工学に基づく臨床現場検査市場を次の段階へと押し上げることになりました。

 

Yole graphic 2

臨床現場即時検査がマイクロ流体検査機器の成長を今後もけん引するでしょう。

 

臨床現場診断機器メーカーには新たな大きなチャンスが訪れており、即時性のある小型マイクロ流体技術がここでの勝者となるかもしれません。空港での乗客の迅速なスクリーニング、職場での従業員や訪問者の迅速なスクリーニングは、ウイルスの拡散を防ぐために不可欠になるでしょう。合計すると、年間数十億回の即時検査が必要となると考えられます。

COVID-19は多くの分野でビジネスの成長を鈍化させてきましたが、マイクロ流体工学に基づく臨床現場診断法が次のレベルに進むことにつながりました。そして、これは成長のはじまりにすぎません。

Yoleのマイクロ流体工学調査の詳細については、レポート「Point of Need 2020 - Including PCR-Based Testing」または「Status of Microfluidics Industry 2020」をご覧いただくか、i-Micronews.comをご覧ください。

Yole SEMI MSIG lockup logo

 

Yole Développementは、SEMIおよびSEMIの技術コミュニティであるMEMS & Sensors Industry GroupMSIG)のメンバーです。MSIGMEMSおよびセンサーのサプライヤーを結び付け、既存市場、新規市場における会員の成長を支援しています。詳細はこちらをご覧ください。

Sébastien Clercは、Yole Développement(Yole)のマイクロフルイディクス、センシング、アクチュエーターの技術・市場アナリストです。Clercはフォトニクス&センシングチームの一員として、医療(診断、製薬、バイオテクノロジー、ドラッグデリバリー、医療機器を含む)や産業(環境、農業食品を含む)などの主要な市場セグメント向けに、マイクロフルイディクスやその他のマイクロデバイスに特化した市場・技術レポートを執筆しています。同時に、戦略的マーケティング、技術スカウト、技術評価などのカスタムプロジェクトにも携わっており、学術・産業界のプレイヤーのイノベーションプロセスを支援しています。

技術と市場に関する専門知識を生かして、過去4年間に世界各地で開催された20以上の業界会議で講演を行っています。Clercは、グルノーブル工科大学(グルノーブルINP-グルノーブル、フランス)でバイオメディカル技術の修士号とイノベーションと技術管理の修士号を取得しています。