世界銀行が2020年および2021年のGlobal Outlook(世界見通し)をアップデートしました。
Global Outlookでは、現在のパンデミックの経済影響、そして世界主要地域の2020年と2021年のGDP成長率予測が論じられています(Chart 1)。
今年は全主要国の経済が縮小することが予測されています。例外は中国ですが、正常時の6%以上の成長予測が、2020年はプラスとはいえ、わずか1%へと下降しています。
PMI指標は世界の製造業の縮小を示す
前回のSEMIブログで指摘したように、購買担当者景気指数(PMI)の急落が2020年初頭から始まっています。5月の世界PMI(Chart 2)は4月の39.6%からはわずかに改善していますが、それでも縮小を示す50未満の領域深くにあります。PMIが50を超えるまでは、製造業の確かなプラス成長にはつながりません。
この製造業の下降は広範囲にわたるものです。Chart 3に示したように、中国を除く全主要国の製造業が5月(紫色)に縮小しています。中国の5月のPMIも、ぎりぎりで50を超えたに過ぎません。
世界の電子機器売上が第1四半期に減少
世界213社の電子機器メーカーの総売上(ドル集計)は、2020年第1四半期に前期比6.7%減少しました(Chart 4)。世界的に、電子機器サプライチェーンのほとんどの分野で、第1四半期に減収となっています(Chart 5)。
半導体の成長率は減速か?
半導体および半導体製造装置は第1四半期にプラス成長をしました(Char 5)が、減速の兆候が見られます。WSTSの春季予測結果では、2010年の半導体世界出荷額が3.3%成長するとしています(Chart 6)が、月次のチップ出荷額データは最近軟化の兆候が見受けられます。
Chart 7は、1984年以降の16の世界半導体ビジネスサイクル(3ヵ月移動平均成長率)を示しています。4月の成長率はピークのはじまりである可能性があり、その場合は以降に下降がやってきます。
ファウンドリの先行指標も減速の始まりを示唆
Chart 8では、半導体チップ、半導体製造装置、台湾のファウンドリの3ヵ月移動平均成長率を比較します。ファウンドリは、半導体産業の成長率が減速することを、少なくとも短期的には示唆しています。
Custer Consulting GroupのPMIベースの半導体先行指標は、チップの出荷額がこの先減速することを示しています(Chart 9)。
最終的な考え
半導体産業の縮小は現在の世界的パンデミック、またChart 1にし江下GDPの下降と一致した動きです。状況は変わるかもしれませんが、2020年の見通しは厳しいものです。