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2020-08-26

ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョン SEMICON West 2020からの緊急行動要請

長年にわたりくすぶり続けてきた職場におけるダイバーシティ(多様性)、エクイティ(公平性)、インクルージョン(包括)(DEI)の問題が、ここ数ヶ月で沸騰点に達しました。社会的不公正に対する抗議運動が活発化すると同時に、COVID-19危機によって、社会的立場や民族が異なるコミュニティ間でのデジタル的・経済的格差が浮き彫りになったのです。

 

DEIの改善は、もはや議論の対象ではなく、米国企業の戦略的プライオリティ、コアバリューとして急速に拡大しており、緊急に行動を起こすべき課題となっています。Virtual SEMICON West 2020では、SEMI FoundationSEMI Americasチームが企業リーダーを集め、各社および半導体サプライチェーン全体でのDEIトランスフォーメーションを議論しました。

 

本稿ではSEMICON West 2020の人材開発セッションにおいて共有された重要な洞察をご紹介します。

 

Creating a Culture of Inclusivityセッション

なぜダイバーシティとインクルージョンが重要なのでしょうか。従業員の多様性が高い企業は、競合他社よりも優れた業績を上げていることが、研究や経験から明らかになっています。こうした企業は概して、収益性、革新性、生産性において競合を上回っているのです。それにもかかわらず、テクノロジー産業全体、特に半導体産業は、人材のダイバーシティで他産業に遅れをとっています。

 

Lam Researchの戦略・イノベーション担当副社長であるLubab Sheet-Davis氏は、「ダイバーシティとインクルージョンは、私たちの業界が直面している最大のリスクだと本当に信じています」と述べました。「それは大きなチャンスでもあります。私たち全員がD&Iを受け入れれば、次の50年に向けてこの業界を前進させることができます。」

 

DI Sheet Davis 2

Lam ResearchのLubab Sheet-Davis氏がダイバーシティとインクルージョンについて講演

 

Energetiq TechnologyのCEOであるDebbie Gustafson氏は、多様な視点を持つ組織ほど、市場や顧客の変化を予測しやすく、より価値のあるイノベーションを開発し、明確な競争上の優位性を提供できると述べました。異なる背景を持つ人々がテーブルを囲んで集まれば、「自分たちの会社に変化をもたらすことができる」ような「新鮮なアイデア」が出てくるとGustafson氏は述べました。

 

両講演者は、ダイバーシティは性別や民族だけではなく、年齢、教育、文化、社会経済、地理、性的指向、仕事の経験などの違いを含むものであることを強調しました。

 

「ダイバーシティは尺度であり、インクルージョンは実践なのです」とSheet-Davis氏は説明しました。

 

彼女は、インクルージョンとは、お互いの信頼、尊敬、公平なキャリア機会を築くことで、「ダイバーシティの恩恵を解き放つ」ことだと述べました。企業のD&Iは、CEOの強いコミットメント、進捗についての透明なコミュニケーション、無意識の偏見に対する教育、従業員リソースグループ[i]、多様な採用担当者が存在することで改善されるのです。

 

Attracting and Retaining a Diverse Workforceセッション

Glassdoorによると、今日では求職者の67%が、企業からの雇用オファーを検討する際に、人材の多様性を重視すると答えています。さらに、既存の従業員の57%が、従業員の多様性を高めるために企業にもっと努力してほしいと考えています。

 

その結果、企業は今、「従業員だけでなく採用候補者に対しても、ダイバーシティとインクルージョンへのコミットメントを示す」ことが不可欠だと、Lam Researchのインクルージョン&ダイバーシティ部門責任者であるAntoinette Hamilton氏は述べました。多様な人材を擁する企業は、従業員のエンゲージメントと財務的な成功をより高いレベルで達成しているという証拠も出てきています。

 

WFD

「ダイバーシティとインクルージョンは単なる流行ではありません。職場におけるD&Iを改善するよう、社内外から大きな圧力がかかっています」とHamilton氏は言いました。1995年以降、世界中の国々で法制化が進められていること、ステークホルダーや顧客からのD&Iへの取り組みに対する要求が高まっていること、そして、世界人口の多様化が進み、将来的には職場における多様性をより高める必要があることを彼女は指摘しました。

 

より多様な人材を惹きつけるためには、企業はマイノリティへの教育機関に対する採用戦略上の優先度を見直すべきだとHamilton氏は述べました。また、特定の職種に関する従来の大学学位、見習いプログラム、関連業界での経験を再評価することを推奨しています。企業はまた、新しいソーシャルメディアプラットフォーム、キャンパスの就職フェア、またキャリアサイトでの募集活動を展開して、より広く網を投げかけ、通常のキャリアサイトであるMonsterIndeedに加えて女性向けのFairygodbossも試してみることを提案しました。

 

企業はオープンでお互いを尊重しあう、インクルーシブな職場をつくることで、多様な人材を維持することができます。そのためには、全社イベントで異文化を称賛し、多様なコミュニティが結成したグループにマッチしたリソース、指導者、ネットワーク、ボランティアプロジェクトを提供することなどができるでしょう。

 

Supplier Diversity: We Hear You and Stand Togetherセッション

半導体業界を牽引しているのは激しい競争ですが、サプライチェーン全体でサプライヤの多様性を高めるには、熱烈な協力が必要です。

 

「このサプライヤの多様性は業界内だけの問題ではありません。この種の問題を克服するにはコミュニティ全体の力が必要です」と、Applied Materialsの最高情報責任者兼エンタープライズ・イネーブルメント・グループ副社長であるJay Kerley氏は述べました。

 

この点は、マイノリティ・グループが所有、経営、管理するサプライヤ企業との取引増加を目指すコミットメントとベストプラクティスを討議したパネリストたちも意見を同じくするところです。

 

「多様なサプライヤを選択するためのプラットフォームとパイプラインを開発するには、SEMI MOD (製造オーナーシップ・ダイバーシティ) タスクフォースのような工業会のエネルギーが頼りだということも重要です」とKerley氏は付け加えました。

 

サプライヤの多様性が求められるのは社会的な要請だけではありません。それは「競争力と革新性、そしてCOVID-19以前からの混乱も含めたサプライチェーンの安定性を高めるビジネスドライバーなのです」と、パネルディスカッションの司会を務めた全国マイノリティサプライヤ開発協議会 (NMSDC)の社長兼CEOであるAdrienne Trimble氏は述べました。

 

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Intelにおいては、サプライヤの多様性は、すべてのコミュニティに対するダイバーシティとインクルージョンを受け入れるという同社のコアバリューに則ったものだと、サプライチェーン担当上級副社長兼ファブ・テクノロジー・ソーシング担当ディレクタであるShaheen Dayal氏は述べました。

 

「当社は社会的不公正を容認せず、サプライヤが事業においてダイバーシティを推進することを期待しています」とDayal氏は言います。

 

Intelは多様なサプライヤからの調達額を2030年までに倍額の20億ドルまでひきあげ、4億ドルのベンチャー基金を多様なサプライヤに集中させる計画です。

 

2011年の東日本大震災後、東京エレクトロンは、装置製造のギャップを埋めるためにサプライヤの多様性を高めてきましたが、その柔軟な体制が、COVID-19による混乱への対応に役立っていると、Tokyo Electron America社長のLarry Smith氏は述べました。

 

「多様なサプライヤとの協力によって、競争上の優位をもたらしました。これは社内外に向けて世界中に当社が発信しているメッセージです」と同社の上級購買マネージャであるMary Champagne氏は捕捉しました。

 

「安全で持続可能な建物を建てるということは、安全装置、新技術、HVACシステムに多様なサプライヤを利用するこということです」と、Johnson Controlsのサステナビリティおよびサプライヤ・ダイバーシティ担当副社長であるReginald Layton氏は述べました。同社は最近、主要サプライヤ1,500社を対象に、サプライチェーンの多様性をサポートしているかどうかを評価するための調査を実施しました。

 

「ビジネスが社会変革のためのプラットフォームであるという観点では、サプライヤの多様性こそ、アメリカの企業が社会変革を実現する最も有効な方法の一つになります」と、Salesforceの上級副社長兼最高調達責任者であるCraig Cuffie氏は述べました。例えば、購買部門で、多様なサプライヤからの調達額を年間25%増やすといった計画です。

 

SEMI、NMSDCWorld Wide Technology (WWT)などのネットワークを活用するだけでなく、その資格を持つサプライヤは、第三者機関からダイバーシティ認証[ii]を取得して、より多くのビジネスチャンスの扉を開くべきだと、米国最大の黒人企業の一つであるWWTのビジネス開発担当副社長、Dicran Arnold氏はアドバイスしました。

 

Diversity Certifications: Eligibility & Benefitセッション

製品やサービスのサプライヤがダイバーシティ企業の認証を受けると、民間部門や公共部門で急速に拡大するビジネス機会に参加できるようになり、競争上の大変な優位が得られると、R Mo Diversity Solutionsの社長であるRanjani Mohana氏は述べました。新たな契約、資本、そして企業や連邦・州・地方政府機関とのコネクションの機会です。

 

Mohana氏は、「第三者認証には数ヶ月から半年かかることもあるので、今すぐ取り掛かってください」と忠告しました。

 

ダイバーシティ・サプライヤ認証機関は、約340あります。この認証には、書類作成、審査、面接、場合によっては現地訪問が必要となります。米国でダイバーシティ・サプライヤ認証を受けるためには、まず、営利企業の所有・運営・財務管理に携わる人の51%以上が、以下のカテゴリーの人々によって占められる必要があります:

  • 少数民族(アフリカ系アメリカ人、ラテン系アメリカ人、ネイティブアメリカン、アジア太平洋系アメリカ人、アジア・インド系アメリカ人)
  • 女性
  • 退役軍人
  • LGBTQコミュニティ(レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー、クィアまたはクエスチョニング[iii]
  • 身体障碍者

 

「資格を取得することは、大学に通い、宿題をし、学位を取得し、その後、自分に合った仕事を見つけるために様々な仕事に応募するようなものです」とMohana氏は言いました。

 

認証を受けることでサプライヤの認知度や優位性は増しますが、高い基準を満たし、ブランドを磨き、SEMIIEEEなどの業界ネットワークを介して自らを宣伝することも大切です。

 

Hiring Heroes – Creating a Path from Military to Civilian Workforceセッション

「彼ら(軍人)はチームプレーヤーである彼らは自分たちよりも大義に忠実である彼らは責任ある市民であるつまり私たちが私たちのために働いて欲しいと思う種類の人間である」ジョージ・W・ブッシュ前合衆国大統領

 

この言葉は、マイクロエレクトロニクス業界に就職した退役軍人が、日常のヒーローになっていることの理由を明確に示しています。退役軍人には、この業界に容易に適応できる高い技術力があるからです。

 

しかし、退役軍人という人材に目が向けられないことが多いと、東京エレクトロンのタレントアクイジション&グローバルモビリティ担当マネージャのKathy Garner氏は指摘しました。半導体エコシステム企業の採用担当者や退役軍人自身が、軍人経験によって磨かれたスキルセットやマインドセットの価値を認識していないことが多いと、他の発表者は指摘しています。

 

Talent

 

「ああ、ここはテクノロジー企業だ。私には働く資格がありません」と、元アメリカ陸軍の爆弾専門家がGarner氏との面接で言いました。しかし、その爆弾の専門家は、非常に複雑で高価な機器を扱うチームプレーヤーであり、自ら素早く考え、変化の激しい混沌とした環境とプレッシャーの中で仕事をこなし、一見乗り越えられないように見えるプロジェクトを完成させたのです。

 

様々な分野の出身者がいますが、昇進を重ねたベテランは、リスク評価、分析、トラブルシューティングなどの技術的なトレーニングを豊富に受けています。また、自ら進んで行動し、成熟した判断力を発揮する傾向があります。

 

Lam Researchの試験的材料担当シニア・マネージャーであるShawn Harbert氏は、「これらの資質はすべて、半導体業界における多くの仕事にとって大変有用です」と述べています。彼はまた、米国空軍士官として勤務する傍ら、Lam Researchの従業員リレーショングループを引いて退役軍人を支援しています。

 

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自身の民間企業への転職について語るLam ResearchShawn Harbert

 

最後の感想

以上のセッションは、SEMIが世界中でイベントプログラムに取り入れているダイバーシティ、エクイティ、インクルージョン、スマートワークフォースに関するセッションの代表的な例です。ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョンを優先事項とするために、あなたの組織がどのように行動できるかについて、ぜひSEMI Foundationにご相談ください。

 

米国の故John Lewis下院議員の言葉を最後に引用します。「正しくない、公平でない、公正でない何かを見た時は、声を上げなければならない。何かを言わなければならない、何かをしなければならない。」

 

[i] 職場における共通の特性や経験を持つ従業員の部門を越えたグループ。ボトムアップ型のダイバーシティ推進策であり、フォーチュン500企業の90%以上で導入されています。(訳注)

[ii] 米国大手企業の多くが、サプライチェーン・ダイバーシティ・プログラムを採用し、第三者機関によるダイバーシティ認証取得企業からの調達機会を提供しています。(訳注)

[iii] クイアとは性的マイノリティ全体を包括する呼称。クエスチョニングとは自己の性別や性的思考を決めかねている人(訳注)