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2023-09-18

SEMI会員企業のサステナビリティ取り組みに関する調査結果報告

はじめに

近年、社会において気候変動・SDGsへの取り組みの重要性が高まる中、SEMIジャパンでは2019年、SDGs&サステナビリティ委員会を発足させ、会員企業のパートナーシップにより、半導体事業を通じた社会の課題解決や発展に向けた活動を展開し、その成果をSEMICON JapanをはじめとするSEMIのイベントや会議を通じて発信してきました。また、昨年6月には、「SDGs・サステナビリティ活動の推進宣言」を発表し、業界内コミュニケーションの活性化や課題解決により、業界、そして社会のサステナビリティの実現に努め、新たな価値創造に取り組んでいます。

そのような中、本年3月、半導体製造装置・部品・材料業界の実態・ニーズを把握し、サプライチェーン全体の課題解決に向けたより具体的な活動につなげるべく、SDGs&サステナビリティ委員会が中心となり、日本の全SEMI会員企業386社(本年2月末時点)を対象としたサステナビリティ活動(環境面に限定)に関する調査を実施しました。

ここでは、サステナビリティ取り組み調査結果をご報告させていただくとともに、SEMI会員企業のサステナビリティ活動の一助としてご活用いただける情報についてもご紹介します。また、本調査にご協力いただきましたSEMI会員企業のみなさま、この場を借りまして心より御礼申し上げます。

 

調査概要

サステナビリティ取り組み(環境)調査は本年3月1~31日の期間に実施しました。アンケート送付企業386社に対し、回答企業は100社(回答率26%)でした。以下に、回答企業のプロファイルをご紹介します。

図1

図1  業種

図2、3

図2  従業員数(連結)/図3  年間売上(連結)

 

図4

図4  SDGsの認知度

 

環境への取り組み

「SDGsの具体的なゴールをかかげ、自社の事業に関連付けて活動している」企業が全回答企業の半数を占め、またSDGsに対する認識が浸透する中、具体的にどのような課題に取り組んでいるかについて質問したところ、エネルギー問題(SDGs7)、ゴミ問題(SDGs12)、気候変動(SDGs13)水・大気汚染(SDGs14)等環境への取り組みに回答が集中しました。

図5

図5  取り組んでいる課題

 

気候変動への取り組み

昨年11月、SEMIは半導体気候関連コンソーシアム(Semiconductor Climate Consortium, SCC)の設立をCOP1) 27(エジプト、シャルム・エル・シェイク)で発表し、半導体およびエレクトロニクスのグローバルサプライチェーンを代表する65社が参画・協調して、温室効果ガス2) 排出量の把握、目標設定、削減に向けた活動を開始しました。9月現在、参画企業は88社(うち21社が日本企業)に拡大し、個社だけではなし得ない業界が協力して行う取り組みを加速させています。そのようなSCCの活動に注目が集まる中、COP21(2015年)において採択されたパリ協定を知っているか」との質問にはほぼ100%が「知っている」と回答しています。また、自社の方針や目標を設定している企業は半数に上り、設定を検討している企業を併せると75%ほどとなります。一方で、社外への開示までは実施していない企業も一定数見受けられました。

図6

図6  気候変動に関する自社の方針設定

図7

図7  気候変動に関する自社の目標設定

 

自社の目標を設定している企業では、中期目標を設定している企業が多く、カーボンニュートラル/ネットゼロ等の長期目標を設定している企業もありました。

図8

図8  どのようなスパンでの目標設定をしているか

 

気候変動の大きな要因の一つとされている温室効果ガスの削減については、75%の企業が取り組んでおり、まだ取り組めていなくても今年中には取り組みたいと考える企業を含めると、全体の約85%が取り組みに前向きです。

図9

図9  温室効果ガス削減への取り組み

 

そして、「温室効果ガス削減に取り組んでいる」と回答した企業の多くは、Scope 23) の削減、次いで、Scope 14) の削減に取り組んでいます。

図10

図10  温室効果ガス削減のための具体的な取り組み内容

 

図11

図11 サプライチェーン排出量のスコープ(環境省より)

 

さらに、半数以上の企業では、再生可能エネルギーを導入していることが分かりました。

図11

図12  再生可能エネルギーの導入

 

環境テーマに取り組むうえでの課題

以上のように、各社の環境への取り組み状況が見えてきましたが、一方で、環境テーマに取り組むうえでの費用の問題、取り組むのに充分な人的リソースの配分の問題等も明らかになってきました。また、取り組もうにもどこから取り組んだらよいのか分からない等必要な情報が不足しているケースやリソースを振り分ける経営層の理解が不足していると感じておられるケース等もあるようです。

図12

図13 課題や問題意識

 

SEMIへ期待すること

既に環境対策を進めている企業にとっては、さらにその動きを加速させるために、また必要性を感じながらもまだ取り組めていない企業にとっては、その足掛かりを掴むために、SEMIには次のようなことを求めるご意見が寄せられました。

  • 定期的な情報提供、業界での風土醸成、啓蒙活動
  • 勉強会、セミナー等情報交換の場(特にScope 35) の算定方法や削減貢献度について)
  • 業界としての目標や方向性の設定
  • 業界内での動きの共有や事例紹介
  • 中小企業レベルの取組状況の共有
     

SDGs&サステナビリティ委員会での検討

この調査結果を受け、SDGs&サステナビリティ委員会では、 

  • 回答企業の半分程度が方針や目標設定ができていない状況。カーボンニュートラル対応の進捗度合いは、企業規模と相関がありそう。中小規模の会員企業に対して、SEMIとして働きかけるべき取り組みの検討が必要。
  • Scope 3カテゴリ16) に対する業界の捉え方を議論する必要がある。それはまた、中小企業に関連がありそうな上流部分でもあるので、業界全体として温室効果ガス排出の削減を進める上で、啓発と教育が必要ではないか。
  • 経済的・人的リソースを環境対策に向けてもらうため、経営層のマインドを変えてもらう必要がある。
  • 業界としてのステートメント(例えば、気候変動に関する目標等)が出せると良い。
  • この調査結果に対してのフィードバックをSEMICON Japanを通じて示すことができるのではないか。

等、活発な議論がありました。

Scope 3の定義や、気候変動に対する業界としてのステートメントは、SCCのWGで検討が進められているところでもあります。この動きを分かりやすく伝えていくことも含めて、当該委員会とSEMIジャパンで今後の活動に活かしていきたいと考えています。

 

SEMICON Japan 2023「サステナビリティフォーラム」

SEMICON Japan 2023では、業界全体の環境対策への意識の底上げ、社会の半導体業界への期待・要請の理解促進、国内外の脱炭素化に向けた具体的な取り組みを共有・議論することを目的に「サステナビリティフォーラム」を開催いたします。サステナビリティ調査結果を受けて、業界の課題解決のために具体的に何ができるかを考えてきたSDGs&サステナビリティ委員会、また上述のSCCに参画する日本企業の有志が中心となって企画してきたものであり、各界からの有識者(有力デバイスメーカー、コンサルティング企業、環境省、経産省、産業技術総合研究所、SEMI SCC)を招き、地球環境の保全と世界経済の発展を支える半導体産業の果たすべき役割と道筋を議論します。各社のサステナビリティ活動の推進の一助としてご活用いただけますと幸いです。詳細は、SEMICON Japan 2023のウェブサイトで後日公開します。

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1) 国連気候変動枠組条約締約国会議
2) 二酸化炭素(CO₂)、メタン(CH₄)等の地球温暖化への影響度が大きいガス。
3) 自社の電気使用量を減らす等、他社から供給を受けた温室効果ガス。
4) 自社内で直接排出する燃料・ガス、工業プロセスによる温室効果ガス。
5) Scope 1、2以外(例えば、資材調達、輸送、販売した製品等)で、自社の外で発生する温室効果ガス。
6) Scope 3を構成する15カテゴリの1つ。カテゴリ1は購入した製品・サービス。

 

本件についての問合せおよび、SDGs&サステナビリティ委員会やSCCの活動への参加をご希望される場合は、以下にお問合せください。

お問合せ窓口
SEMIジャパン Standards&EHS部 吉田
Email : jstandards@semi.org