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2020-05-29

SEMI Tech Spotlight:COVID-19にビッグデータ/AIで立ち向かう

COVID-19パンデミックの中で、SEMIのグローバルアドボカシーチームは、マイクロエレクトロニクスの製造・設計サプライチェーンが米国の「エッセンシャル・ビジネス」として指定され、米国以外の国でも同様の指定がされるよう懸命に努力してまいりました。SEMI会員企業のビジネスを継続可能にするためです。チームの活動は、米国、欧州、日本、メキシコ、マレーシアの共同体、国、州、自治体政府に対する直接のロビー活動と嘆願書の提出など多方面にわたります。こうした活動が大きな成果を生んだのは、私たちの産業がコロナウイルスとの闘いに不可欠なデジタルインフラとテクノロジーの実現する産業だからです。

 

私たちの産業の、世界の社会と経済の繁栄に貢献するイノベーションのビルディングブロックを提供する役割を強調することは、SEMIにとって大きな誇りです。危機的な状況下ほど、必要が発明の母であることが明らかな時はありません。パンデミックがもたらす無数の問題に対処するため、多様な領域での技術進歩が求められています。SEMI Tech Spotlightブログシリーズでは、パンデミックとの戦いの最前線で活躍している業界および会員企業の技術を紹介してまいります。このシリーズの第1回目は、ビッグデータと人工知能によるプラットフォームに焦点を当てます。

 

COVID-19にビッグデータ/AIで立ち向かう

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COVID-19パンデミックは、前例のない形で人類に試練を与えていますが、同時に、人類を団結させ、最高の武器を手にこの危機に立ち向かわせています。マイクロエレクトロニクスチップとシステムによって、データを生成し、伝達し、保存し、分析するビッグデータと人工知能(AI)は、この長期化する闘いのための武器づくりに大きく貢献しています。ビッグデータ/AI技術によって、データ分析、ロボット、拡張・仮想現実、3Dプリンティング、その他のこの危機の様々な側面に対処するためのプラットフォームが実現しているのです。

 

ビッグデータ分析により政策決定者に情報を提供

COVID-19との闘いにおいて、データ分析プラットフォームは、何よりもまず感染拡大のスピードを抑制し、政策決定者に情報を提供するために使用されています。そのためには、公衆衛生や人の移動に関する膨大なデータを分析する必要があり、これには多くの場合AIアルゴリズムが使用されています。例えば、カリフォルニア州はBlueDot、Esri、Facebookなどの企業と連携し、スマートフォンの位置情報を利用して人の移動を追跡し、病院の必要性を予測するソフトウェアプラットフォームを構築しています。

 

台湾がウイルス拡散の抑制でかなりの成功を収めているのも、ビッグデータ分析を広範に利用して感染者を特定し、追跡したおかげです。GoogleとAppleがけん引役となって、Bluetoothを普及しているiOSやAndroidプラットフォームに接続して、感染者の接触を追跡する取り組みを共同して進めています。インドでは、Bluetoothと位置情報マッピングプラットフォームをベースにしたモバイルアプリ「Aarogya Setu」を開発しました。これはアプリユーザーが別のウイルス陽性のアプリユーザーとすれ違うと警告を発するものです。このアプリは11カ国語で発売され、完全に自主的なものであるにもかかわらず、13日間で5000万人がダウンロードしました。これは世界最速の記録です。

 

現在、少なくとも26カ国このような接触追跡アプリが展開されていますが、個人の機密データにアクセスするため、プライバシーやセキュリティ上の問題が内在します。厳格なデータ匿名性やオプトイン手続きのような緩和策が実装されていますが、今後さらに改善していく必要があるでしょう。

 

最前線の闘士を守るロボット

今日の堅牢なロボットプラットフォームは、センサーからの膨大なデータと予測AIアルゴリズムからのガイダンスによって実現したものです。これらのロボットは、仕事中に学習し、環境に適応し、人間と安全に作業することができます。今回のパンデミックでは、人と感染環境の接触を最小限に抑えるのに最適なソリューションです。Boston Dynamics、Akara Robotics、UBTECH Robotics、CloudMindsなど、世界中の企業がすでに感染との闘いの最前線にロボットを配備し、患者の健康状態を評価したり、病院の建物や機材の表面を消毒したり、医療従事者の個人用保護具(PPE)の着用を支援したりしています。

 

ロボットドローンによる血液等の検査サンプルの配送も行われています。例えば、ノースカロライナ州のWakeMed病院では、UPSが運営するMatternetのドローンを使って、米国連邦航空局が承認した初のドローン配送プログラムを開始しました。日本のTerra Droneも同様の配送を深刻な感染が広がった中国の武漢省で実施しています。

 

3Dプリンティングで製造を加速

ビッグデータ/AI技術により3Dプリンティングのプラットフォームも実用化しています。3Dプリンティング用に最適化された設計と欠陥のない製造のための正確な3Dモデルがビッグデータ/AI技術で提供されています。低コストでサイクルタイムの早い3Dプリンティングによって、医療機器不足を少なくとも部分的に緩和されています。例えば、米国食品医薬品局(FDA)は、医療従事者向けのSARS-CoV-2コロナウイルスからの液バリア保護具としてはじめて3Dプリント「ストップギャップ・フェイスマスク」を承認しました。これは、米国退役軍人保健局が、オープンソースのデータベースである国立衛生研究所の3D Print Exchangeを使用して、America Makesと共同で開発したものです。

 

その他にも、Formlabsは、ニューヨーク最大の医療提供者であるNorthwell Health、および南フロリダ大学(USF)Healthと協力して、2日の週末の間に鼻腔スワブのプロトタイプを開発しテストを行いました。サウスカロライナ州のPrisma Health社は、1台の人工呼吸器で2人、場合によっては4人までの患者をサポートできる3Dプリント装置「VESper」の緊急FDA承認を受けています。

 

遠隔医療が「ニューノーマル」に

遠隔医療は新しいコンセプトではありませんが、最新のマイクロエレクトロニクスのプラットフォームにより豊富なデータセットを遅延なく収集・伝達できるようになったおかげで、大幅に強化されました。さらに、データ分析の高速化のためのAIシステム導入増えています。遠隔医療は診察においても求められるソーシャルディスタンスの完璧なソリューションといえるでしょう。米国政府のデータによると、上気道感染症に対する民間保険からの遠隔医療1日平均請求額は、3月14日から4月1日までの間に前月の12倍近く増加しました。また米国の遠隔医療会社 Teladoc Healthは、3月8日の週に10万人の患者の「テレビジット」を提供しましたが、これは前週比50%の急増となっており、医療システムへの圧迫を軽減しています。

 

次世代のテレヘルスは、AR/VRプラットフォームを使用することになるでしょう。そうすれば、より情報量の多いデータセットとAIを使用して、基礎となるモデルの精度と予測能力を向上させることができます。その結果、遠隔医療はより現実的な体験と改善された結果を提供するようになります。米国の少なくとも11の州では、初期医療他の多くの医療分野でXRHealthやAppliedVR等のAR/VR企業と連携を始めています。

 

ワクチンや治療法の探索を加速

このパンデミックから抜け出すためには、ワクチンと治療法を迅速に見つける必要があり、さらに伝統的に時間のかかる医薬品開発プロセスを短縮することが望まれます。ビッグデータ/AI技術は、全世界でのこうした取り組みの最前線にあり、多くの場合、最も強力なスーパーコンピュータが投入されています。例えば、カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)の研究者は、Fronteraスーパーコンピュータを使ってSARS-CoV-2コロナウイルスエンベロープの完全なモデルを構築しています。これは2億個の原子の相互作用を分析しなければならない作業です。

 

アルゴンヌ国立研究所の研究者たちは、AIと物理モデルを組み合わせて、治療法につながるであろうウイルスの活性を破壊する分子を探索しています。その他にも、イギリスのBenevolentAI、シンガポールのGero、ドイツ・インドのInnoplexus、米国・香港のInsilico Medicineなど、世界中の複数の企業がAIプラットフォームを利用して、治療法の探索を加速させています。

 

最後に

テクノロジーの最終的な成功は、ビットやバイトの数やアルゴリズムのスピードで測れるものではありません。それを測るのは、ロボットが掃除をしたおかげで危険な清掃から開放されたビル管理人の数、3Dプリンティングでつくられたマスクに守られている医師や看護師の数、ワクチンや治療法の早期発見によって命を救われるだろう人の数です。ビッグデータ/AI技術とそれによって実現する時代は今到来したところですが、今後進化していく中で、より弾力性のある社会と経済を構築する力を与えてくれるという希望を、私たちに抱かせてくれるのです。

 

注:上記で引用した例は、純粋に説明のためのものであり、包括的なものではありませんし、特定の製品やソリューションを推奨するものでもありません。