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2020-08-16

ゴア元副大統領、ディッカーソン氏、ケリー氏がサステナビリティを語る SEMICON West 2020基調講演ハイライト

SEMICON West 2020で登壇した元米国副大統領であり、環境活動家としてノーベル平和賞を受賞したアル・ゴア氏が、世界は「サステナビリティ革命」の真っただ中にあるとコメントしました。その言葉の意味するところ、そしてそのメッセージが私たちに向けられた理由は何なのでしょうか。その答えは、デジタルトランスフォーメーションが農業革命や産業革命を拡大していますが、その急激なスピードは半導体産業が源泉となって可能にしているとゴア氏が考えているということです。そうです、ゴア氏が語るべき場所、それがSEMICON Westなのです。

 

このイベントの50周年、そして情報化時代のイノベーションを促進してきた半導体産業の50周年を記念して、ゴア氏を含む各界著名人がバーチャルステージに登壇し、基調講演を繰り広げました。それぞれの講演は、世界の様々な重要課題を解決するために、マイクロチップの進歩が不可欠であることを示しました。

 

会議の主催者として、私はゴア氏、Applied Materialsの社長兼CEOであるゲイリー・ディッカーソン氏、IBM Researchのエグゼクティブ・バイス・プレジデント兼ディレクターであるジョン・ケリー3世博士をはじめとする著名な講演者を紹介する機会に恵まれました。彼らの洞察は、持続可能な未来を構築するために、半導体のグローバルサプライチェーンがどのように貢献できるかを示すという点で、正に時宜を得たものでした。以下に、お三方の講演ハイライトをご紹介します。

 

アル・ゴア氏 - 地球は存亡の危機に直面している

Al Gore sharpenedSEMICON West 2020の開幕を飾った、ゴア元副大統領の基調講演は、Greenbiz誌編集長ヘザー・クランシー氏との対談形式で行われました。その中でゴア氏は、デジタル技術の進歩、特にマイクロチップのイノベーションは、世界の最も壮大なチャレンジを克服するための最大の機会を提供するだろうと強調しました。マイクロチップのブレークスルーは、彼が「サステナビリティ革命」と呼ぶ変化の最先端にあって、エネルギー効率の向上、化石燃料依存からの脱却、太陽光、風力、電気電池などの再生可能エネルギーの効率最適化を実現するでしょう。

 

「私たちは、データや通信技術への依存度を、特にクラウドコンピューティングや人工知能などの分野で強めており、ひとつの転換点に直面しています」とゴア氏は述べました。「業界はこのことを認識し、取り組んでいますが、皆さんがリードする今回の会議(SEMICON West 2020)は、真の転換点を刻むものです。これは誇りに思うべきことであり、称えられるべきことです。そして私に希望を与えてくれるものです。」

 

ゴア氏は、ムーアの法則、またマイクロチップの効率と効果の大きな進歩を引き合いに出し、2年以内にスマートチップによって、ソーラーパネルやバッテリーから再生可能発電所や電気自動車に至るまで、あらゆるものが従来のエネルギー源に対してコスト的にも性能的にも競争力のあるものになるだろうと述べました。その後には、再生可能エネルギーの方が、より魅力的なものになるでしょう。

 

ゴア氏は、エネルギー集約型の半導体製造を、再生可能エネルギーにシフトするよう促しました。この課題に対応するため、ゴア氏は業界に次のような「大変革」のための戦略をとるよう提案しました。

 

  • 1に、マイクロエレクトロニクスのバリューチェーン全体で、より透明性をもってコラボレーションとベストプラクティスの共有をすることです。「最先端のアプリ、AI、ディープラーニングによって、ハードウェアを変更することなく、データサーバのエネルギー使用量を大幅削減した例は、すでに数多く存在している」とゴア氏は指摘しました。
  • 2に、小型でスマートな半導体を製造するための電力を削減することです。ゴア氏は「すべての装置メーカーが協力して、先進的な半導体の製造で排出される二酸化炭素量を削減する」ことを奨励しました。
  • 3に、データセンターが使用する電源の脱炭素化を進める企業が増えており、これに続くことだとゴア氏は述べました。
  • 4に、地球温暖化を産業革命以前の水準から2℃以内に抑える脱炭素化の限界を設定した、政府の「科学的根拠に基づく目標」に協力することです。
  • 最後に、デジタルの未来に向けてイノベーションを起こす際には、「思考の多様性」と「集団的思考」に頼りましょう。異なる視点からの意見がより良い意思決定につながることは、研究や経験から明らかです。テクノロジー産業は、人材の多様性の面で進歩を遂げてきましたが、まだこれからだとゴア氏は述べています。この最後のポイントは、SEMIのメンバーとして、また業界として協力をする我々の強みを活かすことができると言えるでしょう。

 

ゴア氏は次のように述べました。「科学者たちの警告を無視し、この危機を解決できなかったために訪れる結末の中で、未来の世代が暮らすことになるとは想像したくありません。私たちは状況を受け入れ、できる限りのことをしなければなりません。私は、この業界のリーダーシップ、革新性、そして困難に立ち向かい、変化をもたらす精神に触発されました。」

 

ゲイリー・ディッカーソン氏 - より良い未来の実現

これからの50年の成長とイノベーションを加速させるために、今日の半導体業界のリーダーたちは、業界全体でのサプライチェーンの持続可能性と公正さを高める取り組みを共有しなければなりません。

 

ディッカーソン氏は、基調講演の中で「まず実行すべきことは、成長と環境影響を切り離すことです」と述べました。「リーダーとしての私たちの責任は、世界をより良い場所にすることです。」

 

Gary Dickerson1 sharpened

ディッカーソン氏は、データの処理量や保存量の爆発的な増加は「世界を変える可能性を秘めている」と固く信じていますが、その一方で、私たちの業界のカーボンフットプリント(二酸化炭素排出量)が急速に拡大してしまう可能性というマイナス面もあると述べました。劇的な変化がなければ、マシンがより多くのデータを生成、消費、計算し、エッジからクラウドへのワークロードが増大するにつれて、電気使用量は増え続けるでしょう。

 

ディッカーソン氏は、「現在の電力消費率では、(AIを使った)ニューラルネットワークは実現不可能」だと述べ、半導体デバイス、アーキテクチャ、構造、材料、パッケージングの性能と効率をさらに向上させなければならないと指摘しました。

 

ディッカーソン氏は、システムインテグレータ、装置サプライヤ、設計・製造サービスプロバイダ、その他の業界関係者間のコミュニケーションの壁を取り払い、エレクトロニクスエコシステムの「思考と行動を永遠に変える」よう促します。学びとベストプラクティスの共有が、この変化には不可欠であるとディッカーソン氏は述べました。

 

ディッカーソン氏は講演の中で、Applied Materials10年ロードマップSuCCESS2030Supply Chain Certification for Environmental and Social Sustainability)を発表しました。SuCCESS2030の下で、Applied Materialsはサプライヤに対して、再生可能エネルギーや従業員のダイバーシティへの取り組みについて、同社の高い基準に沿った次のような目標を設定しています:

 

  • 航空貨物よりもインターモーダル輸送の利用を増やし、4年間でサプライチェーンの二酸化炭素排出量を15%削減
  • 2023年末までを目標にサプライチェーンの梱包のリサイクル材料を80%に高める
  • 2024年までにリン酸塩による金属表面の前処理を廃止
  • SEMIのような業界団体と協力して、ダイバーシティとインクルージョン戦略を展開し、職場での人口比率に対して小さな割合しかいないマイノリティの人数を増やす

 

ディッカーソン氏は、Applied Materialsと顧客やサプライヤとの間のパートナーシップの深化とオープン化が、多くの有望な成果につながっていると述べています。例えば、ハードウェアとソフトウェアのアップグレード、製品とサービスの最適化、チップアーキテクチャの改善により、電力やケミカルの消費量、コスト、スペースを削減しつつ、スループット密度を高めてシステム性能を向上させたことなどが挙げられます。さらに、Applied Materialsは最近、選択的タングステンプロセス技術を発表しました。この技術は、新材料、原子レベルの設計、超クリーンルームを使用して、消費電力を低減しながら配線されたトランジスタの性能を向上させるものです。

 

ディッカーソン氏は、COVID-19のパンデミックは世界をデジタル技術の力に目覚めさせたと述べています。これによって人々は在宅のままで、コミュニケーション、コラボレーション、そしてデータの共有を全世界と行えるのです。

 

「世界の壮大な課題を考えると、半導体産業が果たすべき重要な役割があることは明らかです。私は、私たちが未来を形作り、より良い場所にすることができる立場にあると強く信じています」とディッカーソン氏は述べました。

 

ジョン・E・ケリー3世-この50年で世界は変わったが、それはまだ始まりにすぎない

John Kelly3 sharpened過去半世紀の間に、半導体はあらゆる主要技術に進歩をもたらしたとケリー氏は基調講演で述べました。人類を月へと運んだロケットの打ち上げでも、スーパーコンピュータによる核兵器のシミュレーションでも、モバイル機器を介して人々をほぼすべてのモノに接続する時も、ペースメーカー等の電子医療機器で人々を延命させる時も、マイクロチップのイノベーションは中心的な役割を果たしてきました。

 

イノベーションの歩みは目を見張るものがあります。1970年には、半導体チップは数千個の部品で構成されていました。今日では、その数は500億個に達しています。材料、ケミカル、研磨、プロセス、配線に至るまで、あらゆる分野のブレークスルーによって、チップサイズを縮小と電力効率、性能の向上が遂げられました。

 

ムーアの法則は決して死んではありません。ケリー氏は、ウィンストン・チャーチル氏の言葉を言い換えて、今日の半導体イノベーションはこう語りました。「終わりの始まりではなく、始まりの終わりであり、最高のものはまだこれからなのです。世界最大級の危機に打ち勝つための、究極のコラボレーションと究極のイノベーションによって、それはもたらされるでしょう。」

 

ケリー氏は、大気や水質汚染、気候変動、天然資源の枯渇、嵐による災害、食糧不足、COVID-19パンデミックなど、今日の社会と人々に襲い掛かってくる巨大な危機に対する唯一の答えがテクノロジーであると信じていると述べました。

 

ケリー氏は、COVID-19に対する世界の対応は、100年前のスペイン風邪の危機から「あまり変わっていない」と嘆きました。マスクという同じテクノロジーが、相変わらず主たる防御手段となっているのです。

 

「デジタルテクノロジーとコンピューターモデリングを早期から導入していれば、このインフルエンザの広がりも検出できたはずです」とケリー氏は述べました。

 

今日のコンピュータのモデリングと分析能力は、パンデミック、地球温暖化、水質汚染などの複雑な問題に取り組むには、まだ十分とは言えません。しかし、ケリー氏は、最も困難な危機に対する有望な答えとして台頭している画期的な技術は、いずれも半導体が原動力となっていると言います。

 

ケリー氏は、「データがすべてであり、人工知能が進むべき道です。これこそ最強の解析技術であり、AIをこれら諸問題の規模に適用するには、多くの新たなデバイスが必要となるでしょう」と述べました。「次にテクノロジーは、クラウドコンピューティングだけでなく、エッジコンピューティングとエッジでのクラウドで展開されるでしょう。膨大な量のデータが生成されるのはエッジですから、そこにデータを保存したり計算したりする必要が出てくるのです。その次は量子コンピューティングです。率直に言って、最大級の危機に対処するだけの十分なコンピューティング能力が、我々にまだ備わっていないのです。」

 

これらの進歩はすべて、AI内蔵デバイスの潜在能力を最大限に発揮するための新材料、新チップアーキテクチャ、新マッピング構造の開発など、半導体業界に新たな課題を提示するでしょう。

 

これらの破壊的イノベーションの多くは、どの企業も単独で解決するには規模が大きすぎるため、ケリー氏は業界関係者に、これまで以上に「根本的なパートナーシップ」を築くよう提言しました。

 

「究極のコラボレーションと究極のイノベーションが、これらすべての世界的危機を解決へと導くことになるでしょう。最高のものがくるのは、まだこれからです」とケリー氏は述べました。

 

根本的なパートナーシップ...持続可能な進化...究極のイノベーション...SEMICON West50年の歴史がありますが、本物の魔法はまだ始まったばかりのようです。ケリー氏が述べ、他の基調講演者が強調したように、最高のものはまだこれから来るのですから。