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2021-07-06

新型コロナの出口でリードする:McKinsey & Companyの見解

米国は新型コロナワクチンの入手で世界をリードしており、7月までに全人口への接種に必要なワクチンが集まるペースであり、一方で、欧州連合(EU)は、経済の完全再開を目指す国が増える中、人口の70%に接種できるだけのワクチンを確保しようとしていると、SEMIが最近行ったウェビナーでMcKinsey& Companyは述べました。

この進捗は、過去100年で最大級の被害をもたらしたウイルスに対する、僅かずつの弛まぬ前進から得られたものです。米国疾病予防管理センターによると、米国の成人の約65%がワクチンを少なくとも1回は接種しているとのことで、米国は経済再開とマスク着用の緩和に突き進んでいます。まもなく満席のフットボールスタジアムなど、年初には想像もできなかった光景が見られることでしょう。

McKinsey Global Instituteの会長兼ディレクターであり、アルムテルダムのMcKinsey &Companyのシニア・パートナーでもあるSven Smit氏は、「アジア諸国はパンデミックとの初期の戦いで成功を収めましたが、集団免疫の獲得に向けた大規模なワクチン接種を開始しようとしても、ワクチンの供給不足に悩まされています」と述べています。さらに、中国、台湾、日本、韓国、シンガポール、マレーシアなどは、コロナウイルスの感染クラスター発生がここ数か月続いており、社会的制約や旅行制限の復活を余儀なくされています。

Smit氏は、「アジアはウイルスの抑制ではリードしたものの、ワクチン接種の展開では少々後れをとっていましたが、追いついてきました。しかし、ラテンアメリカやインドなどでは大流行が続いています」と述べました。

McKinsey & Company logo北米、チリ、欧州の大部分、韓国、日本、オーストラリア、ニュージーランドなどのOECD加盟38カ国の経済について、Smit氏は「今年の夏は昨年の夏よりも良くなる」と予想しています。

OECD加盟国全体では死亡率が低下するにつれ、2020年4月に底を打った小売業、娯楽業、公共交通機関などへの消費者支出は、パンデミック前以来の高水準に上昇しており、そのトレンドラインは死亡率の低下と鏡写しのようになっているとSmit氏は述べています。新たな感染数と死亡率が減少し続ける中、今年の夏には買い物客の消費が正常化することが予想され、各地域の経済にとって重要な突破口となるでしょう。

世界中でロックダウンが実施され、個人支出が大幅に減少したにもかかわらず、OECD加盟国は、ウイルスへの対処法を素晴らしい速度で学んでおり、感染流行の発生から6カ月間で、経済を高いレベルで運営する方法を学んだとSmit氏は述べました。

 

個人消費の回復

消費者もまた、急速な回復を支えています。政府の景気刺激策で財布が膨らみ、数ヶ月間におよぶ外出禁止期間中はお金をつかうことができなかったため、多くの消費者がふんだんに現金を持っており、個人消費の水門が開きはじめました。個人破産件数は、雇用が大幅に減少した分野があるにもかかわらず、前年よりも減少しており、消費者は貯蓄を維持できているとSmit氏は述べています。

Sven Smit

Smit氏によると、ある大手航空会社のCEOが、最近の同業社グループの会合で、同社のフライトの座席が「年末まで完売」していると語り、個人消費の復活を強調したことを紹介しました。これは、グループ内の景気の早期回復に対する懐疑的な考え、また「消費者は今後何ヶ月も引きこもってしまい、収益を悪化させるのではないか」との恐れを受けての発言でした。そのCEOは、ビジネストラベルが回復していないことを認めた上で、「しかし、人々が旅行を躊躇しているからではない」と反論しました。

確かに、パンデミックの影響で長い間飛行機に乗れなかった世界中の旅行者は、休暇へと飛び立つことを熱望しています。航空旅客の増加は、レストランやホテルなどの旅行関連サービスにも恩恵をもたらし、波及効果として、これらの分野で失われた雇用を回復させ、経済を立て直すことにつながるでしょう。

また、消費者は自分の経済的な将来について楽観的になっています。McKinsey & Companyの調査によると、OECD加盟国消費者の経済的不安定性は、2020年4月にパンデミック以前の6倍に急上昇した後、その締め付けが次第に緩んでいます。昨年ピークに達した後、経済的不安定性は、数ヶ月間安定していましたが、感染症専門家が新型コロナウイルスについて多くを学び、政府や企業が強力な対策を実施し、マスクをしてソーシャルディスタンスをとる人が増えるにつれて、着実に下がっていったと、Smit氏は述べました。2020年後半から2021年前半にかけて、アストラゼネカ、ジョンソン・エンド・ジョンソン、モデルナ、ファイザーが有効なワクチンを発表したことで、消費者の気持ちはさらに高まりました。

「消費者について私たちが知っていることは、不安定性がなくなった瞬間に、消費は回復するということです」とSmit氏は述べています。

 

長期的な視野で見る

OECD加盟国は、遅くとも来年までには、新型コロナウイルスから脱却し、パンデミック前の水準にGDPが回復するでしょう。Smit氏は、政府、エコノミスト、企業が問うべきことは、2019年のGDP水準を回復するのが、何月か、あるいはどの四半期かということではなく、今後10年間の景気拡大の強度だと述べています。短期的には、多くの国のGDPは、ウイルス感染からの脱却に向けた経済運営のあり方次第で、早ければ2023年にも2019年の水準を回復する可能性があります。

COVID Recovery米国では、歴史的に深刻な経済危機の後、GDPを年率3%から4%増加しながら、時間をかけて回復してきました。このような記録から生じる疑問は、「今が、今後10年間で経済を35%から50%押し上げる力強い回復期なのか、それとも10%から25%の回復にとどまる穏やかな回復期なのか」だとSmit氏は述べました。

企業が景気回復の長期的な持続性を高めつつ、自社の利益を守るためには、10年先の顧客ニーズとそれに伴う投資を予測することが有効であるとSmit氏は述べます。今後10年に予想される急速な技術革新を支える半導体チップについては、資本集約型の産業であり、新しい製造工場の建設と装置搬入には長いリードタイムが必要であるため、このような戦略的計画が一層重要となります。

テクノロジーの開発スピードは、新しい技術をいち早く導入することで業績を改善している企業によっても、加速されることになるでしょう。テクノロジーによって業績が改善できるとなれば、企業がテクノロジーへの投資を継続する強力な動機となり、これがさらにイノベーションを加速するという自給自足の循環が生まれるのです。このサイクルの鍵となるのは、企業が新しいテクノロジーを活かすために、プロセスやオペレーションに必要な変更を加えることであり、「関連業務を見直さなければ、投資が無駄になる恐れがある」とSmit氏は述べました。

「COVID-19からスピードという真のイノベーションが生まれたのを見て、多くの企業が業務の見直しの必要性に気づいたと思います」とSmit氏は言います。「今、あらゆることをより速く行っていますが、それはテクノロジーユーザーが新しい行動様式を学んだからです。例えば、Eコマース市場では、30%の消費者が初めてオンライン食料品店を見つけ、それを気に入り、その結果これは定着したのです。」

 

製薬会社がイノベーションスピードの新基準をつくった

製薬会社は、mRNAベースの新型コロナワクチン開発を迅速に進めたことで、イノベーションのスピードを体現したとSmit氏は言います。製薬会社は、新型コロナワクチンの開発で得た新たな知見をもとに、癌など、その他の疾患に対する効果的な治療法に向けたmRNAベースの医薬品開発期間を短縮しようとしています。

イノベーションの加速のもうひとつの追い風は、半導体等のテクノロジーが国家の経済競争力にとって重要であることを各国政府に気づかせ、関心を高めていることです。最近のテクノロジーをめぐる地政学的な覇権争いや、政府による巨額の予算投下によって、こうした状況が浮き彫りになっています。また、自動車産業をはじめとする多くの産業では、サプライチェーンのレジリエンスが企業の健全性を左右するという認識が深まっていることも、背景にあります。

Smit氏は、「この産業分野の自動車会社等の企業は、事業に欠かせない部品やツール、装置が滞りなく供給されるように、サプライチェーンの3階層先まで目を配ることを続けるでしょう」と述べています。

6月2日に開催されたSEMI CEOウェビナーシリーズ「Surging Chip Demand, Digital Transformation, and the Pandemic – What’s Next?」には、750人以上の方が参加しました。このウェビナーは、SEMI会員のBrooks Automation、日立ハイテク、JECT、KLA、東京エレクトロンがスポンサーとなって提供されました。

Michael HallはSEMIのマーケティング・コミュニケーション・マネージャーです。