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2021-06-09

チップ産業における性的マイノリティの公表と受容

半導体業界で自分がLGBTQIA+(性的マイノリティ)であることを表明することはどういうことなのか?これは興味深い質問ですが、回答することは容易ではありません。私たちは、身体的性と性自認が一致し、異性愛を前提とした世界に生きているので、LGBTQIA+であることを自認していても、公表をしない場合があります。同僚や上司は、自分の同僚や部下がゲイ、レズビアン、トランスジェンダー、あるいはノンバイナリーであることに、まったく気づいていないかもしれません。有色人種のような他のマイノリティとは異なり、LGBTQIA+の人は、自分のアイデンティティを隠す選択をすることができます。

この記事を執筆するために周りの人に話を聞こうとしたのですが、自分の潜在的な弱みを同僚、あるいはSEMI会員という広範囲の人々にさらけ出すことを望まない人もいるだろうと考え、相手に安心してもらう工夫をしました。私自身がレズビアンであることを伝えることにしたのです。また、公開前に内容を彼らに見てもらうことも伝えました。しかし、LGBTQIA+に対する考え方やアイデンティティが、文化的にも法律的にも大きく進歩しているにもかかわらず、それだけでは不十分なことがすぐにわかりました。2020年のギャラップ調査によると、米国の成人の5.6%がLGBTQIA+であると認識しており、わずか3年前の4.5%から増加しています。また、2004年にはマサチューセッツ州が米国で初めて同性婚を合法化し、2015年には連邦最高裁判所が50州すべてで同性婚を合法化しています。それでもです。

 

Diversity Gallup

 

半導体業界は歴史的に保守的です。しかし、時代は変わりつつあります。AMD、Intel、Lam Researchなどの大手企業は、LGBTQIA+を含むダイバーシティ&インクルージョンへ積極的に取り組んでおり、それは良いことだと思います。しかし、それだけでは不十分でしょうか。もしそうでないとしたら、半導体産業の人々がLGBTQIA+であることを安心して公表できる環境づくりのために、SEMI会員はどんな行動を起こせるでしょうか?

400Lam Researchのインクルージョン&ダイバーシティ部門のグローバルヘッドであるAntoinette Hamilton氏によると、LGBTQIA+の従業員の46%以上が職場では公表をしていないとのことです。このことは、Lam社にはまだやるべきことがあることを示しています。同社のプライド従業員リソースグループ(ERG)が先導し、PFLAGOut & Equalなどの組織とのパートナーシップ、oSTEMなどの組織を通じた採用活動により、Lam Researchはヒューマン・ライツ・キャンペーン財団の企業平等指数で100点を獲得し、LGBTQの平等において最高の職場に選ばれました。

「Lamでは、従業員が本来の自分を発揮できるようにすることの重要性を認識しています」とHamiliton氏は言います。「従業員が自分の価値を認められていると感じることで、一人ひとりが潜在能力を最大限に発揮できると信じています。」

1992年、インテルがJudi Goldstein氏とそのパートナー、そして息子をニュージャージー州からオレゴン州に移住するための費用を負担したとき、ゲイやレズビアンに対する文化的な考え方の主流は、今とは大違いでした。1992年6月のギャラップ調査によると、「成人同士が同意したゲイやレズビアンの関係は合法にすべきだ」と考えているアメリカ人はわずか48%で、44%が「違法にすべきだ」と答えていました。2020年5月のギャラップ社の世論調査では、同性間の関係の合法性を肯定する人が72%、反対する人が24%と、意識が大きく変化しています。

1990年代後半になると、インテルは家庭内パートナーの特典を同性カップルにも拡大しました。「私はパートナー(現在の妻)と息子を登録し、これから先、家族全員がインテルを通して健康保険に加入できることを実感しました」とGoldstein氏は言いました。Goldstein氏は女性同性愛者であると認め、「she/her」のジェンダー代名詞を使っています。「家族を移住させたことと、家族に健康保険を提供したことで、当時他社よりも進んでいたIntelの愛着が深まりました。」

Diversity Intel 1995年、Goldstein氏はIntelのLGBTQ+社員のための従業員リソースグループであるIGLOBEの最初のメンバーの一人となりました。それ以来、彼女は、Intelのハラスメント防止ポリシーに性自認とその表現が追加されたことや、全米の主要拠点に性別を問わないトイレを設置するなど、Intelでのさらなる進展を目にしてきました。進化はそれだけではありません。

「現在では、世界にIGLOBE支部があり、6月のプライド月間の開催、平等法やその他の法律への会社の支援、トランスジェンダー向け医療給付の規定、2017年のセルフIDの取り組み開始などへ展開しています。」

32年以上前にソフトウェアエンジニアとして入社したGoldstein氏ですが、現在はオープンソース・オーディオおよびセキュリティ・エンジニアリング・チームのディレクターを務め、新技術の開拓やインテルの他のエンジニアの指導に尽力するとともに、LGBTQIA+の従業員のロールモデルとしても活躍しています。現在、5歳の孫娘を持つ祖母となった彼女は、30年以上連れ添った妻と2匹の犬と一緒にオレゴン州で暮らしています。

 

場所こそが全て

社会的動物である私たち人間は、住む場所に安全で友好的な場所を選ぶ傾向があります。LGBTQIA+の場合は、多様な指向や文化を受け入れやすい都市部に引っ越すことになるかもしれません。

宇宙物理学の修士号を取得したChuck Chung氏は、ある決断を迫られました。宇宙物理学を続けることで住む場所の選択肢を狭めるか、工学博士号を取得して選択肢を広げるかの決断です。

「私がこの選択をした90年代は、今とは状況が大きく違い、どこで働き、どこに住むかによって、自分がどれだけオープンになれるかが全く変わることは分かっていました」とChung氏は言います。「天体物理学の分野でキャリアを積みたいと思っていましたが、都市部で仕事を見つけられる可能性が高いエンジニアの方が現実的な選択であると気づいたのです」。

個人的にも職業的にも、エンジニアという選択はChung氏にとって良いものでした。彼は18年間、サンフランシスコとシリコンバレーに暮らしていますが、ここでは職場でカミングアウトすることはほとんど問題になりません。「例えば、海外にいる同僚が何気ない会話の中で家族の話をするときなど、必要に応じて私生活と仕事を区別しています。しかし、ほとんどの場合、私がゲイであることは問題ではありませんし、私の勤め先も本当に気遣ってくれます。」

Chung氏は自身がパイオニアとなったMEMSと遺伝子配列の研究から、現在のIBMでの次世代マイクロアーキテクチャーの研究まで、エンジニアとして長きにわたり成功を収めています。現在、A.M. Fitzgerald & AssociatesのAlissa FitzgeraldとCarolyn Whiteの両博士との共著で、新著「MEMS Product Development」を出版したChung氏のキャリアの頂点は、まだこれからなのかもしれません。彼は夫と2人の子供と一緒に(サンフランシスコの)ベイエリアに暮らしています。

Kunal Garg氏は、半導体業界に入った当初は、同性愛者であることを自分も他人も気づいていなかったため、性自認がキャリア選択に影響を与えることはありませんでした。しかし、以前の会社でエンジニアとしてのキャリアをスタートさせて数年後、Garg氏は自分が同性愛の男性であることを自覚したのです。その頃は、同性婚に関する全国的な議論が頂点に達していた時期で、職場では居心地の悪い状況が続きました。「同僚や上司の中には、同性婚について公然と議論する人もいましたが、職場にLGBTQIA+の人たちがいることには気づいていないようでした」とGarg氏は言います。「その時、私は思ったのです。このような会話を、この業界に従事する自分の性自認に忠実な私のような人たちが、安心し心地よいと感じられる形でできるようにしたいと。」

家族や友人にカミングアウトした後、特に夫と結婚した後、Garg氏は職場で黙ってはいられなくなりました。「同僚にカミングアウトするには勇気が必要で内なる葛藤もありましたが、私のゲイとしての性自認を、もう隠したり否定したりすることはできませんでした」と彼は言います。「私が夫の話をすると、笑いものにする人もいました。エンジニアであり、インドからの移民であり、男性である同僚の私が、ゲイであり、男性と結婚しているというのは、あまりにも異質であり、滑稽だったのでしょう。幸いなことに、このようなことがあっても、私は職場で自分らしさを保つことができましたし、時が経つにつれ、このような会話はほとんどなくなりました。」

それでもGarg氏は、LGBTQIA+のエンジニアのコミュニティに加わる方法を探し回りました。オースティンにあるAMDへの転職に際し、彼は白紙の状態でスタートしたかったのです。「今のマネージャーからAMDに誘われたとき、私は何気なく、夫がオースティンで新しい仕事を探すことになると話しました。すると、上司は何気なく夫の職業を尋ねてきて、オースティンは私たちが住むのに最適な街だという話になったのです」とGarg氏は言いました。「このような普通の会話ができたことが、AMDへの転職を決める大きな要因となったのです。」

AMDで設計エンジニアとして働き始めて間もなく、Garg氏は自分が探し求めていたLGBTQIA+エンジニアのコミュニティを見つけました。彼はAMDのプライドERGに参加し、現在はそのグループの議長を務めています。「このERGの一員であることは、私にとって個人的なレベルでの変化をもたらし、科学技術への共通の嗜好以外のところでも、仲間のエンジニアや業界の人々とつながることができました。」

 

チェンジエージェントになる

LGBTQIA+の従業員を積極的に受け入れ、多様性を促進している半導体企業がある一方で、多くの企業にとってまだ道のりは遠いでしょう。SEMIとSEMI Foundationは、マイクロエレクトロニクス業界におけるLGBTQIA+の公平性の問題を前進させる上で、ユニークな立場にあります。

 

SEMI Foundation logo

 

SEMI Foundationの事務局長 Shari Lissは次のように述べています。「SEMI Foundationは、従業員と会員企業の利益のために、この業界の多様性、公平性、受容性(DEI)の推進に全力を傾けています。私たちは、人事部、企業リーダー、DEI支持者のための活動計画を策定し、より高いDEIの実践によってLGBTQIA+やその他の過小評価グループ(集団の中で人口比率よりも有意に小さな割合しか持たないグループ)の人々を惹きつけ、維持し、昇進させるための主張をしています。近々に発表を予定しているDEIロードマップとDEIツールキットには、企業がLGBTQIA+を含むすべての人が歓迎されていると感じ、最高の仕事ができるような職場文化を育てるためのツールも含まれています。」

「半導体産業が世界レベルで本当の繫栄をするためには、LGPTQIA+やその他のマイノリティ―の従業員が公平に扱われるように後押しをする必要があります」と、Lissは述べます。「SEMIは特に欧米以外において、業界リーダーに対し生産性を維持するためには、企業の方針にダイバーシティ&インクルージョンを取り入れることがいかに大切か啓蒙し、これを支援することができます。そのためのワークショップやトレーニングは、データに基づいたプログラムにして、企業がLGBTQIA+の従業員をより多く雇用し、すべての従業員の幸福を促進するポリシーを作成するよう働きかけるべきです。」

重要なのは、会社や業界団体のレベルだけではありません。女性や有色人種の間で公平性を高めるためには、一人ひとりがチェンジエージェント(変革の担い手)になることが必要ですが、LGBTQIA+の人々を支援する場合も同じです。

「多くの人がそうであるように、私も性同一性や性的指向に基づく差別をなくす魔法の杖があればと思っていますが、文化が変化するのと同様に、ほとんどの変化は大きな飛躍ではなく小さな一歩の積み重ねです」と、カーネギーメロン大学のMetro21: Smart Cities Instituteの事務局長であるKaren Lightman氏は述べています。「幸いなことに、LGBTQIA+を自認する人々の味方になることで、その小さな一歩を助けることは簡単です。不正を目の当たりにしたら、黙っていてはいけません。あなた自身が声をあげてください。それだけでも、力となるのです。私は小さな一歩として、自己紹介の際にジェンダー代名詞を使うようにしています。デジタル署名にもジェンダー代名詞を入れるようにしました。これだけで、LGBTQIA+を自認する人々の味方であることを簡単に表現することができるのです。」

変化を起こすために協力してください。あなたの声を使ってください。仲間になりましょう。LGBTQIA+の多様性と受容を提唱するよう、あなたの会社に働きかけてください。

Vetrano Communicationsのプリンシパル Maria Vetranoは、SEMI FoundationのPRコンサルタントです。