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2023-08-20

実績ある人材育成方法:アプレンティスシップ制度

ジョージ・ワシントン、レオナルド・ダ・ヴィンチ、ベンジャミン・フランクリンに共通するものは何でしょうか。三人ともその時代のインフルエンサーであったというほかにも、特殊なキャリアパスを通って大成功へ導かれたという共通点があります。全員が見習いから出発しているのです。

半導体産業が早ければ2030年までに1兆ドル規模に成長するという見通しを実現するためには、ファブオペレーターやエンジニアなど推定100万人を新たに雇用する必要があります。この難題に立ち向かうには業界が一丸となったアプローチと、CHIPS法やこれに類する世界各国の産業支援策による多額の投資が必要です。さらに、業界の革新性や問題可決力、繁栄を維持でするためには、雇用者側のアプローチを根本的に考え直して、幅広い視点や経歴、アイディアを持ったこれまでより格段に多様性に富んだ人材を引き付け、雇用し、定着させることも求められます。

多様性のある人材を育成する戦略は様々ありますが、雇用主にとっても従業員にとっても非常に有効な戦略となるのがアプレンティスシップ(見習いまたは徒弟)制度です。アプレンティスシップ制度はダ・ヴィンチの時代から大きく変化しましたが、ダ・ヴィンチが見習いとして働き後に他の見習いたちの師匠となったことで、今日に至るまで私たちに喜びを与え続けている芸術作品が生み出されただけでなく、その技能が後進に受け継がれることで芸術の世界全体が変わったのです。ジョージ・ワシントンは測量技師見習いとして、ベンジャミン・フランクリンは印刷技師見習いとして学びましたが、制度を全うすることはありませんでした。しかし、二人が得た技能や人脈は、間違いなくその後の職業進路を支えることになりました。
 

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現代のアプレンティスシップ制度の利点は当時のものからさらに増えています。これについて米労働省Apprenticeship USAは、「業界主導型の質の高い職業進路であり、雇用者にとっては将来の人材の育成・準備が可能な、被雇用者にとっては有給の実務経験や教室での講義受講、全国的に認められる資格取得が可能な」制度であると説明しています。アプレンティスシップ制度では企業に訓練のカスタマイズが可能なので、各社が必要とする知識、技能、能力を育成することができます。加えて、アプレンティスシップ制度は生産性の向上、離職率の低減、定着率の向上、多様性の拡大、収益の改善にも貢献します。被雇用者にとってアプレンティスシップ制度は学びながら収入を得て、トレーニングを確実に修了するための支援サービスや制度も利用し、初任給や生涯収入を高めるための絶好の機会となります。 

雇用者であれ被雇用者であれ、アプレンティスシップ制度に関心のある方に向けて豊富な情報が提供されています。米国内の多くの地域では、企業によるアプレンティスシップ制度の要件管理やプログラム開発を支援する仲介機関が組織されています。また、労働力革新・機会法 (WIOA)のような連邦や州レベルの政策により、交通費補助、職業用衣料の入手、託児サービスなど、見習い実習生への支援に対する資金提供がされています。
 

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アプレンティスシップ制度は人材の拡大、多様化、強化を図る上で、十分な支援を受けた実績のある方法であると同時に、他の方法ではアクセスできないような人々やコミュニティに、高収入やキャリアアップの機会を提供する制度でもあります。

米国国立標準技術研究所(NIST)も同じ考えです。NISTのCHIPS奨励金申請者向け労働力開発計画ガイドでは、アプレンティスシップ制度を企業が検討することを強く推奨する重要戦略として挙げています。また、ミシガン州コロラド州アリゾナ州ニューヨーク州マサチューセッツ州など、多くの州がアプレンティスシップ制度の構築に強くコミットしています。カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事は2029年までに50万人の見習い実習生を受け入れることを公約し、真の意味で変革を起こそうとしています。

Adele Burnes氏が副長官を務めるカリフォルニア州アプレンティスシップ制度基準局(DAS)は、実行性のあるキャリアパスによって熟練労働力を育成することで、生産性の向上と経済的強化を目指す雇用者に向けたコンサルティングを提供する州立機関です。カリフォルニア州におけるアプレンティスシップ制度の拡大にむけて、多方面から取り組んでいます。

Burns氏は「企業にとってアプレンティスシップ制度は、収入を得ながら学ぶキャリアパスを用意することでこれまでより幅広い人材プールにアクセスできるようになる機会です。人材の確保と定着に苦労している企業の多くが、アプレンティスシップ制度は人材プールを豊かにし、生産性を向上し、そして人材を定着させる素晴らしい方法であることに気づき始めています。世の中には頭がよく、勤勉で、才覚がありながら、仕事をせずに勉強だけをするわけにはいかない人がたくさんいます。アプレンティスシップ制度は、そのような人にキャリアへの道筋を作るもので、末端の地位で仕事をしながら仕事に特化した訓練を受け、スキルアップしていくことを可能にするのです」と語りました。

Burnes氏、そしてDASは企業にとっても多様な人材にとっても、アプレンティスシップ制度はWin-Winの仕組みだと考えています。
 

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SEMI Foundationもアプレンティスシップ制度に投資をしています。SEMI Career and Apprenticeship Network(SCAN)は、半導体業界の人材の拡大と多様化に向けてカスタマイズした訓練プログラムを雇用者と被雇用者に提供し、企業の人材開発を支援しています。SCANは当初、半導体業界のアプレンティスシップ制度を支援する目的で設立されましたが、現在はブートキャンプやトレーニング認定等の様々なトレーニングを支援しています。

SEMI Foundationが2021年に初めて半導体業界のアプレンティスシップ制度構築に乗り出したときには、アプレンティスシップのモデルに対する大きな抵抗がありました。当時、私たちはバイデン政権の「Good Jobs Challenge」への申請に署名してくれる企業を募集していました。

SEMI Foundation専務理事のShari Lissは、その時のことを次のように語っています。「このモデルは、SEMI Foundationの会員の多くにとって、単に馴染がなかったのです。一部の企業は実習生を雇用していましたが、米国の業界全体が一般的に、この新しい職業進路を受け入れる準備ができているとは言えませんでした。国中の経営幹部と数え切れないほどの時間を費やして、この制度の利点、そして他の産業でいかに成功しているかについて話し合いました」

その時と今では、業界には大きな変化が起きています。アプレンティスシップ制度への投資は州レベルで増加しており、CHIPS法によって認知度も高まりました。人材不足は深刻化し、今後数年間に米国で計画される13の新規ファブで数万人の雇用が必要とされる中、SEMI会員企業にとって、アプレンティスシップ制度は過去とは比較にならないほど魅力を増しています。SEMI Foundationは、そのお手伝いをすることができます。
 

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SCANを通じて、SEMI Foundationではミシガン州とカリフォルニア州で、各州機関の支援と協力のもと、新しいアプレンティスシップ制度のプログラムを立ち上げました。カリフォルニア州では、California Apprenticeship Initiativeからの資金援助により、Applied MaterialsEnablenceInfineraLam Researchに向けたプログラムを構築しており、他にも数社が参加を検討しています。ミシガン州経済開発公社のパートナーは、Calumet ElectronicsPSI Repair Services, Inc.に向けたプログラムの構築を支援しています。

カリフォルニア州とミシガン州では、マイクロエレクトロニクス業界における雇用者と被雇用者のエコシステムの発展段階が大きく異なりますが、SCANはどのような地域にも適応可能です。例えばミシガン州では、取り組みの多くの部分はパートナーシップの構築に向けられました。今年4月、SEMI FoundationはKLAにおいてCHIPS in Michiganフォーラムを開催しました。このイベントには、業界リーダー、労働力・経済開発機関、教育プロバイダー、コミュニティベースの組織が集まり、アプレンティスシップ制度とCHIPS法が提供する機会を活用したミシガン州の半導体産業の発展について議論しました。
 

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KLAにおいて開催したCHIPS in Michiganイベントのパネルディスカッション

 

他にも多くの企業や地域がアプレンティスシップ制度のプログラム構築に関心を示しており、SEMI Foundationは、ニーズと投資があればどこでもSCANを拡大させる考えです。私たちは、このモデルが企業に多様性のある人材の育成機会を提供し、また労働者が急成長する業界で質の高い仕事に就く助けとなることを認識しています。このモデルは、ダ・ヴィンチ、ワシントン、フランクリンの時代から多くの変化を経てきましたが、私たちの生活、地域社会、企業、産業を変革する力は、高まる一方です。

アプレンティスシップ制度やSCANについての詳しい情報は、semifoundation@semi.orgまでお問い合わせください。

Michelle Willianms-VadenはSEMI Foundationの副理事です。