SEMIでスマートモビリティ・イニシアチブのリーダーを務めている私は、先日、Automotive Logistics Magazineのインタビューに応え、半導体サプライチェーンと自動車産業とのつながりの重要性が高まっていることや、世界の自動車生産を妨げる半導体不足について話しました。以下に、インタビューの抜粋をご紹介します。
Automotive Logistics:なぜ今、世界的に半導体の供給がひっ迫しているのでしょうか?また、これはいつまで続くのでしょう?
ワイス:現在の車載用チップ不足は、COVID-19の影響で昨年第2四半期に自動車の生産がほぼ停止したときの需要の急速な落ち込みが原因です。同年第4四半期には自動車市場は大きく回復しましたが、これによって現在のサプライチェーンの問題は引き起こされました。
自動車産業の停止と同時に、パンデミックはホームコンピューティングとネットワーク機器の需要拡大を加速し、半導体ファブはこれらの成長市場にラインを転換し、稼働率を上げて、経済的な逆風に対処しました。半導体ファブは稼働率が下がりラインが遊んでいると急速に売上が落ちてしまうので、各社のラインは数週間から数か月前に予約されるのです。
こうした背景から、今回の車載半導体の不足は構造的なものではなく、大きな地政学的あるいはマクロ経済上の問題がなければ、今後2四半期で徐々に回復をすると予想しています。
Automotive Logistics:現在の車載半導体の不足には、どんな手を打つべきでしょうか。
ワイス:自動車産業は、半導体製造サプライチェーンとのコネクションを持続的に強化する必要があります。長年にわたり、自動車産業は半導体サプライチェーンとの連携を、Tier1サプライヤー(一次請け)に依存していました。これが大きく変わっています。自動車に使用するチップ数が増えた(世界で製造されるチップのおよそ1割が自動車に使用される)だけでなく、先進運転支援システム、電動化、安全、コネクティビティ、消費者志向の諸機能を実現するものとして戦略的重要性が増しているのです。
このような動きの中で、自動車メーカーは、半導体サプライチェーンとより密接に交流し、協力することの価値を認めるに至ったのです。これにより、自動車メーカーはイノベーションにアクセスし、技術進歩の方向性やスピードに影響を与えることができるだけでなく、グローバルなサプライチェーンの動向をより明確に把握することができるようになります。SEMIスマートモビリティ・イニシアチブは、このような変化の証拠です。アウディ、BMW、フォード、ウーバー、フォルクスワーゲンなどの自動車メーカーや、コンチネンタル、ボッシュなどのTier1サプライヤーが、SEMIの車載エレクトロニクスおよびモビリティ分野での活動に積極的に参画し、SEMI会員のエレクトロニクスのグローバル設計・製造サプライチェーンに影響を与え、提携し、加速させ、導いているのです。
Automotive Logistics:半導体全体の何パーセントが自動車産業向けですか?割合は近年増えているでしょうか?
ワイス:全世界で製造される半導体の10%強が自動車産業に販売されています。この割合は、今後数年にわたり、電動化、コネクティビティ、自動運転の普及に連れて増加することが予想されます。
Automotive Logistics:自動車産業が部品供給をより明確に見通し、サプライチェーンのリスクを的確に管理するために、SEMIはどんな取り組みをしていのでしょうか?
ワイス:SEMIスマートモビリティ・イニシアチブは、自動車メーカー、半導体デバイスメーカー、デザインハウス、装置・材料メーカーなどを対象に、サプライチェーン全体の連携を促進し、共通の課題を共同で解決することを目的としています。この取り組みを促進するために、SEMIは世界自動車諮問委員会(GAAC)を設立し、欧州、米国、中国、日本、台湾に支部を設けて活動しています。フォルクスワーゲンとアウディはすでにSEMIのメンバーであり、GAACヨーロッパ支部の創設メンバーでもあります。すべてのステークホルダーが一丸となって取り組めば、自動車とモビリティの未来は明るいものになると確信しています。
この話題に興味をお持ちの方は、インタビューのすべてをAutomotive Logistics Magazineの記事「A Fab Future for the Automotive Sector」をご覧ください。また、SEMIのスマートモビリティ・イニシアチブ、GAACについてのご質問はメールにてご連絡ください。
原文はこちら:https://blog.semi.org/semi-news/semi-smart-mobility-lead-weighs-in-on-chip-shortage