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2020-08-06

SEMI SMT-ELS(SMT Equipment Link Standards)スタンダード・セット開発状況

SEMIによると、世界に約80,000の表面実装技術(SMT)とプリント基板アセンブリ(PCBA)の製造ラインがあると推計されています。 これだけ多くのラインが存在すると、効率と生産性の追求の中で、アップグレードを追加・実装し、ライン上の設備に出入りするデータのパワーを活用するために、標準規格は非常に重要です。 標準化された通信システムのバックボーンにより、各ラインは最新の装置やソフトウェアを統合し、ROIを向上させることができます。

SEMI®は、SMTやPCBAなどの組立ラインのシナリオに対応した標準規格群を開発しています。新しいSMT Equipment Link Standards(SEMI SMT-ELS)は、ライン上の異なる装置間の水平通信(HC)と、装置と上位ホスト(例えば、ライン・コントローラ/装置ホスト、もしくはファクトリー・オートメーション・ホスト)間の垂直通信(VC)に対応しています。

Standards

半導体前工程処理とフロー指向処理

 

SMTのようなフロー指向のプロセスは典型的な半導体前工程のプロセスとは異なるので、SMT-ELS規格群が必要になりました。

  • SECS/GEMが最初に利用された半導体前工程の領域では、工場のホストは装置の制御に非常に関与しており、プロセスは非常にジョブ中心です。ホストは、情報の設定やロギングに加えて、装置の実行を制御し、多くのジョブやレシピのシナリオを処理しなければなりません。SMTの場合、ラインはオペレーターとのやりとりが多く、工場ホストは現在のところ制御の側面にはあまり関与しておらず、最小限のデータ収集の要件しか受けていません。
  • 前工程の領域では、自動マテリアル・ハンドリング・システム(AMHS)が、材料を、以前あったツールに戻すことも含めて工場内のどこにでも運ぶことができます。SMTの場合は、材料の行き先は非常に固定された流れになっています。SEMI A1インターフェースは、隣接する装置に受け渡されようとしている材料と材料データの情報を同時に転送する方法を提供します。
  • 前工程の装置は、キャリアと内部保管場所を使用して、処理すべき材料をバッファリングすることができます。組立ラインでは、製品は最小限の待ち行列で、入って来て、処理され、出て行きます。装置もまた非常にシンプルです。往々にして装置にはPCさえなく、PLC(プログラマブル・ロジック・コントローラー)などの専用リアルタイム・システムで制御されている場合があります。これらの場合、SECS/GEMは、必要とされる機能に対して過度のオーバーヘッドとインフラストラクチャを課します。

他にもいくつか考慮すべき点があります。

  • ジョブ・ベースであるため、前工程の装置は、より多くの実行順列をサポートすることができます。例えば、以下のようなものです。
    • ジョブは、材料がツールに到着する前でも後でも作成することができます。
    • 正しい材料が装置にあることを確認するために、多くの異なるキャリア検証シナリオがあります(ホスト・ベースまたは装置ベースの検証を使用)。
    • ジョブ自体が、一時停止、再開、停止、打ち切りを持つ多くのシナリオをサポートします。
  • SMTラインでは、
    • ライン上には最大10本のトラックを配置することができます(通常は1~2本のトラックしかなく、一方向に流れますが)。
    • レシピは事前にダウンロードされており、製品が装置に到着した時に、製品に添付された材料データによって自動的に選択されます。

SMT-ELSスタンダード・セットは以下のように構成されています。

  • SEMI A1 - Specification for Production Equipment Smart Connection Interface (PESCI)
    • この規格は、装置のラインに沿ってのポイント・ツー・ポイントの通信やメッセージの伝搬(バケット・リレーのような)と、隣り合った2つの装置間での材料と材料データの同時転送を扱います。SEMI A1.1 - Specification for TCP/IP Interface for PESCIは、SEMI A1をTCP/IPで実装する方法を概説しています。
  • SEMI A2 - Specification for Surface Mount Assembler Smart Hookup (SMASH)
    • この規格は、SEMI A1/A1.1を装置ホスト(装置サプライヤ提供)と装置の通信と、装置間通信に適用する方法を規定したものです。

F-GEMタスク・フォース(Automation Technology技術委員会日本支部傘下)は、ライン装置と通信したいファクトリー・オートメーション・ホストなどの上位ホストをサポートするために、SEMI A1を用いた(SEMI A2と共存する)垂直通信をサポートするための新規格を策定中です。将来的に、この規格はSMT以外の他のフロー指向の産業をサポートするよう拡張されるかも知れません(SEMI A1のみを使用)。

 

システムとベンダーは、相互に適切に通信するために、同じバージョンの標準で動く必要があります。互換性を確保するために、SEMIはSMT-ELSスタンダード・セットにFreeze Version管理を適用しています。 2019年10月に発表され、SMT-ELSスタンダード群の1019バージョンを指定したFreeze Version 0が実装され、Automation Technology技術委員会のメンバーはFreeze Version 1に向けてアップデートとプロトタイピングに取り組んでいます。

SMT-ELSスタンダードの詳細については、SEMI SMT-ELSのウェブサイトをご覧ください。(https://www.semi.org/jp/SEMI_SMT-ELS

SEMIスタンダードの活動には誰でも参加できますが、会議に参加するには、SEMIスタンダード・プログラムのメンバーとして登録していただく必要があります(https://www.semi.org/jp/Standards/CommiteeInfo/ctr_028435)。SEMIスタンダード・プログラムのメンバーシップは、SEMIのコーポレート、アソシエイト、アフィリエートのメンバーシップ(SEMI会員)とは異なりますが、業界の継続的な発展のために、この重要な活動を支援するために参加することが奨励されています。

 

著者について:

Terry Asakawa氏(VistaIdeal Consulting代表)は、25年以上にわたりSEMIスタンダードの開発に携わり、半導体工場向けの装置物理インターフェースや通信を中心に活動してきました。近年は、フロー・ショップ製造のための通信プロトコル規格に焦点を当て活躍されています。現在、日本Automation Technology技術委員会の共同委員長、F-GEMタスク・フォースのリーダーを務めています。

Albert Fuchigami氏は、PEER Group Inc.のシニア・ソフトウェア開発者です。氏はデータ収集や工場ホスト・システムとの通信において、前工程処理とフロー・ベースの組立ラインの違いを考慮した取り組みになるようSMT-ELSのSEMIスタンダード開発に携わっています。Albert氏は、異なるユース・ケースと制御シナリオを識別し、ユーザーがどのような場合にSECS/GEMとSMT-ELSスタンダードが適切かわかるように、その違いの理解を支援したいと考えています。

 

本件についての問合せ:

SEMIジャパン スタンダード&EHS部 菅野博史(hkanno@semi.org )

 

初出:2020年6月8日、SEMI Blog

※本稿は、SEMI Blogに掲載されました記事を日本語訳にしたものです。