downloadGroupGroupnoun_press release_995423_000000 copyGroupnoun_Feed_96767_000000Group 19noun_pictures_1817522_000000Member company iconResource item iconStore item iconGroup 19Group 19noun_Photo_2085192_000000 Copynoun_presentation_2096081_000000Group 19Group Copy 7noun_webinar_692730_000000Path
メインコンテンツに移動
2024-02-20

半導体が加速するAI革命

5年前、SEMIは人工知能(AI)がすべてを変えることを予測した記事を発表しましたが、それが現実となりました。AIは研究室から飛び出し、人々の想像力をかきたてました。今やAIは、家庭の食卓や企業の役員室、さらには役所の廊下まで、あらゆる場所で話題となっています。

AIはハイプ・サイクルの絶頂期にあるかに見えますが、このテクノロジーはまだ根付いたばかりだとSEMIでは考えています。想像してみてください。もしハリケーンや竜巻の正確な進路を早期に予測し、人々が危険を回避できたらと。もし山火事を察知し、未然に防ぐことができたらと。もし次のパンデミックの動きを封じ、COVID-19のように世界を3年間麻痺させ、何百万人もの人々を殺さないようできたらと。私たちは、AIがそのような未来の実現に貢献すると考えています。

誰もがAIに注目し、スーパーチャージャーのついたレーシングカーであるかのように驚嘆していますが、見落とされがちなのはボンネットの下に隠れた半導体というエンジンです。AIのコンセプトは半世紀前からのものですが、この10年間で技術開発が急加速したのは、半導体チップの驚くべき進歩によるところが大きいのです。なぜでしょう。AIのアルゴリズムは、膨大な量のデータを解析し、例えばイメージや単語の配列などのパターンを認識するようにトレーニングされることで機能します。しかし、AIの性能は、供給されるデータに依存します。データの量と質、そしてデータをいかに迅速に処理し分析できるかにかかっているのです。

ムーアの法則と熾烈なペースの技術革新よって、半導体チップは驚異的なスピードで、前例のない大量のデータの感知、保存、通信、処理を可能にしました。このパワーアップしたエンジンが、AIレーシングカーのスピードをさらに押し上げるのです。

IOT

AIはさまざまな半導体チップを組み合わせることで実現されます。現在150億個以上のIoTデバイスが、現実世界のデータを感知しています。IoTデバイスは、特に産業用アプリケーションにおいては、AIアルゴリズムに投入される大規模なデータセットの供給源となっています。このデータは高帯域通信チップによって、5G/6Gネットワークを通じてワイヤレスで、あるいは最大100Gbpsの帯域幅を持つ大容量光ファイバーケーブルを通じて送信されます。半導体メモリデバイスにこのデータは保存されますが、数ギガビットを圧縮して1つのチップやパッケージに格納します。パワーマネージメントICは、電力消費を最適化しながら、多数のデバイスに効率よく電力を供給します。最後にある重要な半導体がプロセッサで、1秒間に最大1000億命令を処理するスピードでデータを分析し、AIアルゴリズムを実行するのです。

このような進歩は当然のことと思われがちですが、これを可能にした数え切れないほどの半導体技術革新に感謝すべきでしょう。

ムーアの法則が減速し、研究開発費が非常に高額になるにつれ、これまでのように驚異的な技術革新ペースを維持することは次第に困難になってきました。半導体産業は、おそらく他のどの産業よりも多い、売上高の約17%を研究開発に費やしており、総額は年間1,000億ドルという途方もない金額に達しています。私たちが前進すべき道はスマート・イノベーションです。AIによって好循環を生み出せるしょうか。AIを半導体技術開発の加速に活用し、強力なAIアルゴリズムを実行できる優れたチップを作れるようになるでしょうか。

semi SMART DATA-AI

その達成を支援するため、SEMIは2018年にSmart Data-AIイニシアチブを立ち上げました。この取り組みの中のひとつが、コーネル大学の概念実証(POC)プロジェクトです。陸軍研究所の資金提供を受けたこのプロジェクトは、チップ上に形成されるパターンの正確な形状を予測するAIモデルを実証しました。パターン形状をより微細かつ精密にすることで、チップの性能は向上します。これと並行してSEMIは、最先端の技術の促進とPOCの取り組みを指導するためのSmart Dat-AI産業諮問委員会を設立しています。現在、プロジェクトは次の段階へ進もうとしているところで、半導体の進歩の促進を支援するために、プロセスのデジタル・ツインによるバーチャルイノベーション環境の構築という野心的な目標を掲げています。

私たちの知る限り、このようなエコシステム全体にわたる複数の企業、大学、政府機関を巻き込んだPOCプロジェクトは初めてのものです。多様な関係者をまとめることは容易ではありませんが、SEMIのスローガンである「Connect(接続)、Collaborate(協力)、Innovate(革新)」のもと、業界の発展を支援するこのようなプラットフォームを発展させることこそ、SEMIの中核となる強みなのです。

経済的にも大きなインパクトがあります。AIは今やユビキタスであるため、AIによって業界全体の売り上げが数兆ドル増加することが予測され、McKinsey & Companyの分析では、生成AIだけでも金額ベースで4.4兆ドルとなります。世界の半導体産業の売上高は、今後約7年間で倍増し、1兆ドルに達する見通しです。

グラフ

 

市場では、半導体企業の貢献を評価し始めています。例えば、AIアルゴリズムの実行に広く利用されるGPUメーカーのNvidiaは、売上高が270億ドルですが、株価収益率90という驚異的な株価で、時価総額が1兆ドルを超えた最初のチップ企業となりました。Nvidiaと並行して、創造的な新しいハードウェア・ソリューションを目指す新興勢力も急成長を続けており、現在では何百もの新興企業が十分な資金を得てこの分野に参入しています。

しかし、このような革新的な路線で成長を続けるには、自動操縦にまかせるのではなく、プロアクティブに行動することが必要です。SEMIは、世界のバリューチェーン全体にわたる3,000社以上の企業を代表するグローバルなエレクトロニクス業界団体として、成長の持続に必要とされる活動を推進しています。5年前にこの予測を発表して以来、SEMIは2018年に立ち上げたData-AI、Manufacturing、Mobility、MedTechという4つの業界全体のスマートイニシアチブを皮切りに、その歩みを進めてきました。SEMIがData-AI分野で推進している多面的な活動を以下にあげます:

  • 業界コミュニティの形成:半導体エコシステムの全域にまたがるSmart Data-AI産業諮問委員会を設立し、Data-AIの最先端技術の進展にフォーカスを当てる。
  • 情報共有の促進:技術カンファレンス、ワークショップ、世界各地のSEMICONでData-AIの情報を発信。
  • POCプロジェクトの推進:有意義なかたちで産学官の研究者を結集。
  • 人材の確保:特に未開拓のコミュニティに重点を置いてダイバーシティ促進をはかる包括的な人材開発プログラムによって、人材パイプラインを発展させる。
  • 従業員のトレーニング:SEMI Universityを通じて企業に所属する人材を育成する。SEMIユニバーシティでは、半導体技術者がAI技術を習得するためのコースや、Data-AI技術者が半導体技術の基礎を理解するための半導体入門コースを提供。
SEMI Smart Initiatives
  • サステナビリティの推進:将来の電力消費の大幅削減につながる、SEMIの様々なテクノロジーコミュニティが管理する2,500万ドルの低消費電力化研究開発プロジェクトを通じてサステナビリティの推進をはかる。AIアルゴリズムは、莫大な量のデータを処理するために大電力を消費するが、これを低減する技術が、AIの持続的成長には極めて重要となる。
  • 潜在的障害の克服:業界のイノベーションを妨げる障害となりかねない懸念事項に対処。例えば、企業や国境を越えてデータを安全に共有する手法がある。SEMIがこれまで発行した1,000を超える標準規格開発の経験を活かし、共有方法とデータフォーマットを標準化する。
  • ベストプラクティスの共有:Smart Data-AI産業諮問委員会は、AIプロジェクトの実行に何が効果的であるかを共有し、改善の機会を特定する協議に3年を費やしてきました。また、Smart MedTechイニシアチブを通じたヘルスケア業界との連携など、他業界とのシナジーを模索している。例えば、AIで強化された半導体の研究開発や製造技術がヘルスケア産業にも役立ち、あるいはヘルスケア産業がリードするデータ管理やサイバーセキュリティのプロトコルがこちらに利益をもたらす可能性が考えられる。
  • コンピューティングの未来に向けたリーダーシップの提供:Smart Data-AIイニシアチブのイベントやウェビナー、SEMI展示会やカンファレンスでの講演に、英知を結集。
  • 量子コンピューティングのような破壊的技術を予測:現在はニッチなアプリケーションに限定された技術が、ゲームチェンジャーになることもあり得る。量子コンピュータは、現在、複雑な冷却装置を必要とし、部屋全体を占有しているが、いつの日か私たちの手のひらに収まるようになるかもしれない。部屋を占領していた前世紀のメインフレームコンピューターが、今では携帯電話となって私たちの手の中にあり、10,000倍の速度で計算していることを想起すべきだ。

AIというレーシングカーは、パターン認識からGPT4やBardのような最新の生成AIツールまで、過去10年間颯爽と走り続けてきました。私たちは、AIはまだまだこれからが本番だと考えていますが、強力で変革的なツールであるAIの潜在能力をフルに発揮させるためには、多くの仕事が必要です。AIの安全かつ効果的な利用は、健康で、豊かで、質の高い未来を全ての人にもたらすことにつながり、SEMIはこの未来を平等に実現するために全力で取り組んでいます。

我々は、このAIレーシングカーを安全に運転する方法を習得するために協力しなければなりません。おそらく将来的には量子技術がターボチャージャーとなって加速するでしょう。ぜひ皆さんもこの心躍る旅に加わってください。Smart Data-AIイニシアチブの最新情報は、こちらから入手するか、SEMIのPuskar Apteまでご連絡ください。

Ajit ManochaはSEMIのプレジデント兼CEO、Pushkar Apteは戦略的技術顧問兼SEMI Smart Data-AIイニシアチブリーダー、Melissa Grupen-ShemanskyはSEMIのCTOです。