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2022-02-20

SEMICON Westが示した進化する半導体サプライチェーンにおける適者生存

昨年12月に会期を変更したSEMICON West 2021 Hybridでは、2年半振りとなるリアル展示会の会場となったサンフランシスコ モスコーニセンターに、連日何千もの人々が詰めかけました。参加者は、最新のトレンドについて意見を交換し、またスマートマニュファクチャリング、スマートモビリティ、スマートメディテック、人材開発、データAI、フレキシブルエレクトロニクスのイノベーションを語る200人近いエグゼクティブや専門家の講演を聴講し、このイベントを手中にしました。
 

West recap Dave A


SEMI Americasプレジデント David Anderson

 

SEMI AmericasプレジデントのDavid Andersonは、映画「マトリックス」のテーマ曲を背景にした歓迎の挨拶で、「私たちは過去24ヶ月間、かつてない変化に適応してきました。市場は成長と変貌を続けており、変化は常に豊かな機会をもたらします。今が私たちの業界が進化する瞬間かもしれません。ダーウィンは『強い者が生き延びたのではない。変化に適応したものが生き延びたのだ』と言いました。そうです、私たちには優れた適応力があります」。

以下は、グローバルなエレクトロニクス設計・製造サプライチェーンの並外れた適応能力を示す、SEMICON West 2021 Hybridからの収穫です。

 

政府との前例のないパートナーシップにより、520億ドルのCHIPS法成立が目前に

SEMICON Westの基調講演とパネルディスカッションの口火を切ったSEMIプレジデント兼CEOのAjit Manochaは、米国のデジタル経済の未来を守る上で、半導体製造業界が果たすためのリーダーシップが注目されていると述べました。Manochaと米国商務省のDon Graves副長官の対談では、SEMI、政府首脳、マイクロエレクトロニクス設計・製造サプライチェーンとの前例のない提携に焦点が当てられました。

グレイブス副長官は、「今こそ、私たちがコミュニケーションをとって協力することが最も必要な時です。世界経済と半導体産業の発展において、私たちはまさに変曲点にあります。これはファブだけの話ではなく、エコシステム全体が重要なのです。経済的安全保障のためには、半導体業界の今後の発展とイノベーションを支援するために十分な協力をお互いにしなければならないと理解しています」。
 

West recap


SEMIプレジデント兼CEO Ajit Manochaと米国商務省 Don Graves副長官

 

1990年以来、米国の半導体製造世界シェアが37%から12%まで低下したことに注目するGraves副長官は、国内の半導体製造、設計、イノベーションに520億ドルを投入するCHIPS for America Actの資金調達が間もなく承認されることを期待しています。副長官はサプライチェーンのエコシステム全体に向けて、健全かつレジリエントな産業構築への投資目標の優先順位づけとバランス確保に、透明性と機密保護を両立しながら支援して欲しいと要請しました。

Charles Schumer上院多数党院内総務とGary Peters上院議員(ミシガン州選出)もまた、米国にとっての半導体の戦略的重要性を認識しており、CHIPS Actや、インフラ強化、投資減税、製造業刺激策などの法案を優先し、半導体産業の成長を促進するとの力強いメッセージを発しました。

 

業界内の才能の結集

基調講演「イノベーション立国-いかにして我々の最重要課題の解決策を導き加速するか」において、第3代米国最高技術責任者であるshift7 CEOのMegan Smith氏は、半導体産業ならびに社会にとって最も緊急な大気質・水質から持続可能な製造に至るまでの諸課題に対するデジタルソリューションは、恐らく既に存在しており、複製も可能だろうと述べました。ページをめくるロボットを試作したオクラホマ州の小学生から、アマゾン川に浮かぶ水上ファブラボを作った現地技術者まで、問題解決者はさまざまな人、産業、スキルレベルの才能集団に加わることで、ローカルなイノベーションを探し出して、採用し拡大することができるのです。
 

West recap


米国第3代最高技術責任者、Shift7 CEOのMegan Smith氏

 

「AIの時代にあって、私たちは人間の英知についてもっと語る必要があり」、アルゴリズムに組み込まれた無意識の偏見を新たな視点から見直し、多様性に富んだチームの意義を語る必要があります」とスミス氏は述べました。「創業者だけを英雄視するのではなく、チーム全体のストーリーをもっと上手に伝えなければなりません。Macの開発では、スティーブ・ジョブズだけでなく、チーム全体が協力したのです」。

 

サプライチェーンセキュリティの将来的なリスクと脅威

The Next Solutions Group のCEOであるRaymond Kerings氏の司会で行われた討論会のパネリストは、チップメーカーとその多層なエコシステムは透明性、協調性、多様性を進んで拡大し、サプライチェーンを脅かすリスクの増大に対して助け合うべきだと強調しました。また、多くのコンテナ船が沖合で停泊し、店頭に商品がない状態が続いている今、業界のリーダーは、サイバーセキュリティ、生産および配送能力、規制コンプライアンス、サステナビリティ、価格、財務安定性など、サプライチェーンの健全性の要点を総合的に見直す必要があると述べました。

RapidRatingsの会長兼CEOであるJames Gellert氏は、次のように述べました。「(メーカーが)サプライヤーと協力して(リスクを)克服する方法はたくさんありますが、出発点となるのは透明性と協調性です。透明性はこの5年間の3大テーマの1つです。」

「サプライヤーが倒産を告げたら、もう手遅れです。しかし、サプライヤーの健全性を知ることができれば、リスク軽減の可能性が広がります」とResilincの創設者兼CEOであるBindiya Vakil氏は付け加えました。
 

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(左から)Next Solution GroupのCEO Raymond Kerins氏、Resilinc創業者兼CEO Bindiya Vakil氏、RapidRatings会長兼CEO James Gellert氏

 

Gellert氏はこれに同意して、「サプライチェーンにおけるリスク軽減とは、リスクの発生源を限定したり排除したりすることではなく、協力してリスク管理を改善することです」と指摘しました。小規模な、あるいは少数民族や女性が経営するサプライヤーは、「ビジネスに飢えている」ため、協力的な信頼を示す傾向があり、機密情報を共有し、創造的に業務を調整する傾向があるとVakilは述べています。「(小規模なサプライヤーと提携することは)短期的には大きなリスクに見えるかもしれませんが、長期的には大きな成功を収めることができます」。

大手メーカーから小規模のサプライヤーまで、エコシステム全体がサプライヤーと二次サプライヤーの事業を隅々まで正確にマッピングし、パートナーや顧客と情報を共有する必要があるのです。また、Vakil氏とGellert氏は、特に小規模なサプライヤーは、無数のコンプライアンスに関する情報要求の津波が押し寄せ、対応に追われている点に注意を促しました。しかし、Vakil氏は、この問題は情報要求の標準化と簡素化のために「SEMIが両者を代表する大きなチャンス」でもあると述べました。

 

つながりの深化:コラボレーションの未来

この2年間、新型コロナウイルスが多くの不確実性と混乱をもたらす中、KLAは長年の理念と価値を守りながら、パンデミックの変化に迅速に対応し、過去最高の成長を記録しました。

「これまでやってきたことに変わりはありませんが、やり方が変わりました」と述べるKLA社長兼CEOのRick Wallace氏は、そこからの学びを語りました。KLAの5つの経営モデル、「Perseverance」「Drive to Be Better」「High Performance Teams」「Honest, Forthright and Consist」「Indispensable to Customers」が、社員、事業、施設を守るための非常措置実施の指針になったのです。
 

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KLA社長兼CEO Rick Wallance

 

例えば、世界規模での製造や研究開発への投資は滞りなく行われ、一部は加速しました。同時に、KLAは出張予算をリモート勤務者のための技術サポートやホームオフィスの強化、サイバーセキュリティの強化、3Dバーチャルモデルやゴーグルを使って製品開発をするノータッチオンラインラボ創りに振り替えました。Wallace氏はまた、オンライン共同作業ツールや、経営トップからの「頻繁で透明なコミュニケーション」による最善の安全対策実施、また特に家庭を持つ女性のための新たな柔軟性のあるワークプランの導入、ビジネスの最新情報の提供が効果的であったと述べました。

 

2つのビジネス要件:DEIとサステナビリティ

グローバルな半導体サプライチェーンの中で企業が将来的に成功を収めるためには、多様な人材を育成すると同時に、資源保護やカーボン排出量の削減により持続可能なオペレーションを志向する必要があり、この二つの要請は密接に関係しています。複数の基調講演者とパネリストが強調したのは、政府の政策立案者や顧客、金融機関などマイクロエレクトロニクス業界の広範なステークホルダーが、多様性、公平性、受容性(DEI)と持続可能性の両面における有意な進展を求めていることを強調しました。マイクロエレクトロニクス産業が人材育成のターゲットとしているミレニアル世代は、2025年までに米国の労働人口の約75%を占めるようになり、その大多数が多様性とサステナビリティを重視した環境で働くことを希望しています。

Lam Researchの社長兼CEOであるTim Archer氏は、DEIを重視する文化は、理数系人材の不足をより大きなタレントプールから採用することによって埋めることにつながり、また新たなイノベーションを生み出す点でも効果的だという研究が増えていると述べました。
 

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Lam Research社長兼CEO Tim Archerが司会した「未来の人材構築:DEIの要請」

 

「未来の人材構築:DEIの要請」をテーマとしたパネル討論会の土台として、Archer氏は、Lamでは学費の還付、奨学金の支払い、育児休暇の延長といった新しい福利厚生を、高学歴社員のジョブローテーションを実施するこれまでのDEIプログラムに追加することで、多様な人材を確保したいと考えていると述べました。

パネリストたちは企業に対し、多様な考えを歓迎し評価する職場の育成、社員それぞれの強みとニーズに合わせたワークプラン作り、昇進経路の明示、無意識の偏見に対する認識向上、あらゆる階層のスキルアップ研修の提供を要請しました。パネリストとして、EMD Electronicsのデリバリーシステム&サービス部門SVP兼グローバルヘッドであるKatherine Dei Cas氏、Lam ResearchのInclusion & DiversityグローバルヘッドであるAntoinette Hamilton氏、National GEM ConsortiumのCEO Brennon Marcano氏、McKinsey & CompanyのシニアパートナーLareina Yee氏が登壇しました。

マイクロエレクトロニクス業界の気候変動への対応を促進するためSEMI会員は新たなサステナビリティ活動によって、環境問題に取り組むための共通フレームワークを提供しています。SEMI国際スタンダードおよびEHS担当シニアディレクターのJames Amanoは、「今こそ、サステナビリティに真剣に取り組み、業界が問題の一部ではなく、解決策の一部であることを示す時です」と述べています。

SEMIがMcKinsey & Companyと共同で設立したサステナビリティ諮問委員会では、現在のスタンダードワーキンググループを拡大して、加熱、冷却、排出、廃棄、節水、省エネ、脱炭素などの分野について、半導体製造のサステナビリティロードマップを開発する予定です。また、SEMI プレジデント兼CEOのAjit Manochaは、展示会で収録した3D InCitesポッドキャストで、サステナビリティの重要性を訴えています。

Julie RogersはSEMI Americasのマーケティングディレクターです。