downloadGroupGroupnoun_press release_995423_000000 copyGroupnoun_Feed_96767_000000Group 19noun_pictures_1817522_000000Member company iconResource item iconStore item iconGroup 19Group 19noun_Photo_2085192_000000 Copynoun_presentation_2096081_000000Group 19Group Copy 7noun_webinar_692730_000000Path
メインコンテンツに移動
2021-04-26

都市型エアモビリティ:Honeywell Aerospaceのエアタクシーへの取り組み

空飛ぶ自動車は、サイエンスフィクションでは何十年も活躍していますが、センサーやセンサーの新技術によって個人用の航空機が実現可能になりそうです。Honeywell Aerospace Advanced TechnologyのフェローであるAlberto Speranzon博士に、同社のエアタクシー実現への挑戦についてお話をうかがいました。Speranzon博士は本インタビューのあと、4月14日にSEMIが主催したMEMS & Sensors Technical Congress 2021において、エアモビリティについて基調講演をされました。

SEMI:空飛ぶ自動車は何十年も夢の存在でした。それが近未来に実現しそうになった背景を教えてください。

Speranzon氏:スタートアップ企業や航空宇宙企業大手が夢の実現に向けて動いているのには、間違いなく複数の要因があります。バッテリー技術の進歩によって、電力飛行の実現は近づきました。バッテリーのエネルギー密度を高めるためにすべきことは残されていますが、しかし現在の技術はすでに、米国の大型都市の郊外とダウンタウンを飛行することが可能です。

その一方で、都市化による密集が進行し、巨大都市の人や貨物の効率的な新輸送手段を見つけることが重要なニーズとなっています。

間違いなく、自動運転車業界は、数十年前には空想もできなかったレベルの自動化や自律化が可能であることの証明に大きな貢献を果たしました。自動運転車を実現させたセンシングやコンピューティングの進歩は、航空産業が空の自動運転開発にも貢献するでしょう。

SEMI:エアタクシーは高度なセンサー技術が必要ですが、どんなセンサーが最も開発が困難でしょうか。

Speranzon氏:現在のバッテリーシステムを使った航空機では、標準的な飛行機に積まれているセンサーのサイズや重さ、必要電力に全く対応することができません。そこで、センサーシステムの寸法・重量・消費電力を減少させる仕事があります。

一例としてHoneywellでは、多目的レーダーを開発しています。このIntuVue RDR-84Kはペーパーバック本ほどの大きさしかありません。これひとつで、交通量や地形、天候までも検知できるよう、エアタクシーや貨物用無人航空機のために特別に設計しました。

しかし、現時点では、非常に複雑な判断を下すのは人間のパイロットであり、人間の目には限界があるにもかかわらず、多くの複雑な状況で人間の目を頼りにしています。

また、自律飛行するエアタクシーや類似の機体にカメラを組み込もうとする動きも高まっています。カメラは、霧や雨、暗所の影響を受けるため単独では使えません。しかし、カメラは軽量かつ安価で、電力もほとんど消費しません。そのため、RDR-84Kのような互換性のあるレーダーシステムと組み合わせれば、非常に有効な手段となるのです。

Honeywell

これらのセンサーは、航空宇宙産業に新たな機会をもたらす一方で、いくつかの大きな課題も抱えています。

例えば、現在の画像処理の最先端のアルゴリズムは、ディープニューラルネットワークと呼ばれる機械学習アルゴリズムで、これにより画素データから高度な情報を抽出することができます。

しかし、航空機の認証という点で、このアルゴリズムに高いハードルが立ちふさがります。認証を受けた航空機で、この種のソフトウェアが搭載された前例はなく、規制当局がニューラルネットワークベースのソフトウェアコンポーネントをどのように認証するかは不明です。

開発者は、これらの新しい機械学習アルゴリズムを使用せず、標準的なコンピュータビジョン手法を使用することもできます。しかし、そうした場合も開発者は、ソフトウェアにバグがないと宣言するために十分な画像の種類と量を決定しなければなりません。

同じ問題がレーダーにも発生します。将来のエアタクシーの自律性モジュールには、レーダーから直接的にデータが供給されるようになるからです。

従って、短期的にはセンサーの小型化・軽量化という課題に取り組む必要があります。しかし、それと並行して、カメラやレーダー使って最高水準の安全性と自律的な意思決定を両立する機械学習の新しい活用方法を開発することも必要なのです。

SEMI:エアモビリティの自律飛行は、地上での自律走行よりも難しいでしょうか。

Speranzon氏:どちらもチャレンジングですが、その内容が違います。

地上での自律性は、特に自律走行車のことを考えると、車の「通常」の動きが非常に複雑であるため、困難だと言えます。

私たち人間は、公共の道路網を使ってA地点からB地点まで何の迷いもなく運転することができます。しかし、機械にとっては、道路を運転する人々の多様性、時には予測不可能な行動、変化する天候、移り変わる環境などが大きな困難を引き起こします。私たちにとって通常の運転が、機械にとっては解決困難な問題なのです。

しかし一方で、地上の自律走行における「異常」のシナリオは、複雑ではあるものの、「通常」のシナリオと比べて桁違いとはなりません。自動車は、衝突を回避したり故障に対処するために、ブレーキをかけて停止したり、車線を変更したり、道路の脇に移動したりすることが可能です。

自律飛行の場合は、通常と異常のシナリオが極端に違います。

通常の飛行では、航空管制官と他の航空機との間の通信など、既存の航空インフラの一部を利用することが可能です。エアタクシーは、A地点からB地点へ移動する際に、事前に設定された経路と長年にわたって確立された飛行手順に従うことができるのです。これは、自律性よりも自動化に近いでしょう。そのため、通常の飛行条件は、かなりシンプルなものとなります。

しかし、事故や緊急の場合に航空機が直面する状況は、通常のシナリオとは桁違いに複雑になります。飛行機は簡単には停止できません。1,000~2,000フィートの上空、もしかすると賑やかな都市の上空にいるかもしれないのです。

人間のパイロットは、こうした緊急事態に対処できるように厳しい訓練を積んでいます。2009年の「ハドソン川の奇跡」の着水の裏には、数分の1秒の判断と飛行技術があったのです。自律飛行システムに、正しい判断と緊急時の行動をさせるのは、非常に大きな課題です。また、自律飛行システムは、航空業界の非常に高い基準を満たすが求められます。現在のところ、自律航空機が適合すべき認証ルールすら確立できていません。

SEMI:エアタクシーに乗れるのは、いつ頃だとお考えですか。

Speranzon氏:エアタクシーの配備が始まるのは2025年頃からでしょう。人間のパイロットが搭乗しますが、コックピットは現在のものよりインタフェースがシンプルになります。この第1段階では、離着陸を容易にし、飛行ルートの混雑を回避する技術が搭載されます。これによって、経験豊富なパイロットの必要性が減り、航空業界全体のパイロット不足が解消されると考えています。

完全な自律飛行をするエアタクシーが登場するのは、2030年以降になりそうです。最初のうちは、飛行は好天の日が多い地域に限定されるでしょう。自律航空機業界はこの戦略を採用し、ほとんどの場合、乾燥した晴天の気候地域で計画を進めています。しかし間もなく、「全天候型」のシナリオでの運用が始まり、同じ空域内での航空機の数も増えていくでしょう。

完全に自律した旅客機を実現するための重要な足がかりとなるのが、完全に自律した貨物ドローンの成功です。軽量荷物の輸送は2022年か2023年に初期導入が行われ、2024年から2025年には、重量荷物の輸送が可能な大型エアモビリティが導入されるでしょう。

導入時期はどうあれ、今は非常にエキサイティングな時代です。航空業界は、新しい航空機メーカー、新しい技術、そしておそらく私たちがまだ夢にも見ていないような新しいアプリケーションが起こす革命を、目撃しつつあるのです。

Honeywellの都市型エアモビリティと無人航空機に対する仕事の詳細は、www.aerospace.honeywell.com/uam をご覧ください。

 

Alberto SperanzonAlberto Speranzon氏は、Heneywell Aerospace Advanced Technologyのフェローです。2006年にスウェーデンの王立工科大学(KTH)で電気工学の博士号を取得。Honeywellに入社して以来、都市型エアモビリティの自律システムのさまざまな開発に取り組み、プログラムマネージャーや主任研究員として研究分野をリードしてきました。IEEEシニアメンバーであり、IEEE Control Systems SocietyのBoard of Governorsのメンバーでもあります。

ニシタ・ラオはSEMIのプロダクト・マーケティング・マネージャーです。

 

原文はこちら:https://www.semi.org/en/blogs/technology-trends/Honeywell-Aerospace-urban-air-mobility