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2021-01-27

携帯型IoTデバイスの電池寿命を延長するAspinityの械学習チップ

SEMIは、Aspinityの創業者兼CEOであるTom Doyle氏に、携帯型IoTデバイスのバッテリーを大量消費せずに知能化するための課題について話を聞きました。Doyle氏はSEMI Technology Unites Global Summit2021215日~19日、オンライン開催)で提供されるSEMI MEMS & Imaging Sensors Technology Showcase218日)に登壇しますが、これに先立ち、アナログで機械学習を実行することで電力問題の解決を図るAspinityのシステムレベルでのアプローチを説明しました。

このGlobal Summitは現在申し込みを受け付け中です。Aspinity他の業界をリードする専門家が皆様をお待ちしております。

 

SEMIIoTデバイスにとって電力効率が重要なのはなぜですか?

Doyle氏:何億というIoTデバイスが、私たちの生活や仕事を改善しています。常時オン状態で環境のデータをセンシングするこれらスマートデバイスは、従来は壁から電源をとり、データ処理をクラウドに依存していましたが、ネットワークの渋滞やプライバシー、パフォーマンスの問題から、エッジ処理への移行が必要になっています。

Aspinity logo民生用、医療用、産業用にまたがるこれらのIoTデバイスは、小型化、ポータブル化が進んでいます。それらの一部は、アクセスしにくい場所で遠隔操作される場合もあります。そこで、私たちは多くの機能を詰め込んだデバイスをバッテリー駆動する方向に進んでおり、またバッテリーを長持ちさせる必要があります。これは大変なチャレンジであり、それに応えるためには、常時オンのセンシング機能をIoTデバイスに統合するにあたり、最も電力効率の良い方法を見つける必要があります。

 

SEMI:低消費電力の常時オンソリューションはなぜ難しいのでしょうか。またセンサーサプライヤーはシステムの消費電力をどうすれば改善できるのでしょうか。

 

Doyle氏:今日の常時オンの IoT デバイスでは、すべてのセンサー・データ(アナログ)が即座に高解像度でデジタル化され、次にウェイクワード(OK Googleといったシステム起動の掛け声)が発せられたかどうか、特定の動作が行われたかどうか、または何らかの異常が発生したかどうかを判断するために分析されます。しかし、収集されたデータのほとんどはデバイスが待ち受けている情報とは無関係な、この最初に全てをデジタル化するアプローチでは、ADCとデジタルプロセッサに無関係なデータを継続的に処理させることで、バッテリーを大幅に浪費します。

Aspinity TUGS logoセンサーのサプライヤーには、消費電力を削減するために考慮すべきいくつかのオプションがあります。センサーとデジタルプロセッサのサプライヤーは、バッテリー寿命の段階的な改善で十分なら、システム内の個々のコンポーネントの電力削減を続ければよいでしょう。しかし、革命的な省電力を実現するためには、総合的なシステムソリューションを検討する必要があります。

根本的な問題は、システム中のデータ移動には電力がかかるということです。だからこそ、電力を節約する最も効率的な方法は、物理的な世界がデータになるシグナルチェーンの最初の段階で、できるだけ早く、実際に重要なものだけにデータ量を減らすことなのです。ダウンストリーム処理が必要なデータ量を最小限に抑えることができれば、バッテリーの寿命を最大限に延ばすことができます。

 

SEMI:Aspinityは、IoTデバイスのバッテリー寿命を、新しいシステム構成を導入することで伸ばそうとしています。デジタル化を最初にするアプローチとどのように異なるのでしょうか?

 

Doyle氏:Aspinityのソリューションは、アナログ機械学習 (analogML™) とアナログ圧縮を組み合わせたアナログ処理技術で、Reconfigurable Analog Modular Processor (RAMP) と呼んでいます。正確で超低消費電力のアナログイベント検出とシステムのウェイクアップが可能になます。RAMPを常時オンのシステムに適用すると、最初にセンサー部分でアナログ電力を少しだけ消費して、感知したデータが手元のタスクに関連するかどうかを判断してから、デジタル・システムをウェイクアップして処理を進めることができます。このアナライズ・ファースト・アーキテクチャは、重要なデータがデジタル化と分析を必要とする場合以外は、電力消費量が大きいデジタル・コンポーネントをスリープ状態に保つため、最初に全てをデジタル化するデジタイズ・ファースト・アーキテクチャと比較して、ボイスファーストのシステムなど起動がまれなデバイスでは、バッテリー寿命を数ヶ月から数年延ばすことができます。

 

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SEMI:何か例をあげていただけますか?

 

Doyle氏:これがどのように機能するのか、実際の例を挙げてみましょう。スマートスピーカー、音声起動型テレビリモコン、ヒアラブルデバイスなど、ほとんどの音声起動型システムでは、音声が存在する時間は10%~20%にすぎません。しかし、これらのデバイスが伝統的に使用しているデジタイズ・ファースト・アーキテクチャは、マイクでキャプチャした音を100%デジタイズします。たとえそのほとんどが無関係でウェイクワードが含まれていなくても。

対照的にRAMP ベースのアナライズ・ファースト・アーキテクチャは、デジタル・ウェイク・ワード・エンジンを起動する前に、デバイスへの音の入り口であるマイクの部分で、特徴抽出とニューラル・ネットワークを使用して、まず音に音声が含まれているかどうかを判断しますから非常に高効率です。さらに、ほとんどのウェイクワードエンジンの精度は、起動してからウェイクワードを分析するだけでなく、ウェイクワードが発せられる前の500msの音(プリロール)の分析にも依存しています。ウェイクワードエンジンのパフォーマンスを支えるために、RAMPは500mSのプリロールを圧縮し、わずか2kのメモリに格納して、音声データとともにウェイクワードエンジンに供給もするのです。RAMPテクノロジーを使用したこの新しいアナライズ・ファーストのアプローチは、性能と精度を犠牲にすることなく、旧来のデジタイズ・ファースト設計に比べてバッテリー寿命を10倍延長することができます。

 

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SEMI:Aspinityは現在の市場ニーズに対応したどんなソリューションを提供できますか?

 

Doyle氏:Aspinityは、常時オンIoTデバイスに対して唯一のバッテリー駆動型アナログ機械学習チップであるRAMPチップを提供しています。

RAMPは、アナログ・センサのRAWデータから直接、さまざまなタイプのセンサ・イベントを検出するためのトレーニングやプログラミングが可能です。RAMP チップが有効なアプリケーションのひとつに、音声、ガラスの割れる音、アラーム等の音を常に聞いているデバイスがあります。その他にも、予知保全や予防保全のために産業機器を監視する振動センサーや、ウェアラブルやその他のバイオメディカル・アプリケーションで異常検出に使用される心拍センサーなどがあります。

Aspinity は先日、音声起動評価キットを発表しました。SEMI MEMS & Imaging Sensors Technology Showcase では、当社のRAMPベースのアナログ音声起動ソリューションをご自分の目で確かめてくように、この評価キットのデモンストレーションをご覧いただきます。ハードウェアとソフトウェアの完全なキットにより、次世代音声起動デバイスを開発するお客様に、ウェイクワードの検出精度を落とさずに消費電力を10分の1にするアナログ機械学習とアナログデータ圧縮のメリットを全て体験可能です。

 

SEMI:テクノロジーによって、私たちをどのように団結できるのでしょうか? SEMI Technology Unites Global Summitへの参加で期待されていることはなんでしょうか?

 

Doyle氏:多くの人にとってCOVID-19パンデミックは、経験したなかでも最も大きな困難となりましたが、この1年は、大きな問題を解決するためにはイノベーションが重要であることを示してくれたと思います。マイクロエレクトロニクス産業は、COVID-19検査、人工呼吸器、空気浄化システムなど、医療現場で使用される様々な機器のクリティカル・コンポーネントを提供する重要な役割を果たしてきました。COVID-19はまた、機器表面に付着したウイルスの広がりを防ぐために、システムのインタフェースは音声への移行が加速しました。

バイオテクノロジー産業が開発を加速するワクチンによって、日常生活が正常な状態に戻ることを私たちは願っています。研究開発イノベーターと大手企業の協力によって、様々な市場で新しいデバイスや薬品が生産されようとしていることに感謝しましょう。

パンデミックが緩和されるまで、従来の対面式のカンファレンスは開催できませんが、素晴らしい講演者が興味深い講演を行う産業カンファレンスに参加することは、これまで以上に重要です。SEMI Technology Unites Global Summitはそのような機会を提供してくれるものであり、私も参加することを心から楽しみにしています。

 

Aspinity Tom DoyleTom Doyle氏は、Aspinityの創業者・CEOであり、アナログおよびミクストシグナル半導体技術において30年以上の優れた業績とリーダーシップの経験を持っています。Aspinity入社前は、Cadence Design Systemsのアナログ/ミクストシグナルIC事業のグループディレクターとして、世界有数の半導体企業への同社技術の展開を管理していました。それ以前は、アナログ/ミクストシグナル・ソフトウェア会社であるParagon IC solutionsの創立者兼社長として、営業、マーケティング、グローバル・パートナー/販売代理店、米国およびアジアのエンジニアリング・チームなど、同社のすべての業務を統括していました。ウエストバージニア大学で電気工学の学士号を、カリフォルニア州立大学ロングビーチ校でMBAを取得しています。