downloadGroupGroupnoun_press release_995423_000000 copyGroupnoun_Feed_96767_000000Group 19noun_pictures_1817522_000000Member company iconResource item iconStore item iconGroup 19Group 19noun_Photo_2085192_000000 Copynoun_presentation_2096081_000000Group 19Group Copy 7noun_webinar_692730_000000Path
メインコンテンツに移動
2021-07-20

Wells Fargo銀行が語るチップ需要急増、DX、新型コロナウイルス

米国の消費者が現金を手にし、米国経済がパンデミックのどん底から猛烈な勢いで復活する中、半導体業界は急増するチップ需要を受けて素晴らしい業績を収めています。半導体関連の株価も2020年初めの感染拡大の第一波から、急上昇を続けています。これは世界全体のウイルス流行が、工場からホームオフィスにいたるまで、あらゆるもののデジタルトランスフォーメーションを加速したためです。

「1年間でこれほどの変化があるとは驚きです」と、Wells Fargoの半導体・電子機器投資銀行部門のグローバルヘッドであるJenni Raubacher氏は、SEMIが6月2日に主催したウェビナーで語りました。

2020年と2021年の2度にわたる米国政府の現金給付により、多くの世帯はパンデミックの大打撃に耐えるセーフティネットを手に入れ、その結果活発化した個人消費が、低迷した経済を回復させました。米国の耐久財支出も急激に回復し、2020年4月の底から60%以上も上昇したとRaubacher氏は述べています。この両輪の力で、米国経済は2020年第2四半期にGDPが約10%縮小した後の回復をけん引し、2021年第1四半期には約19兆ドルに反発して、2019年末の水準まで回復しました。

米国経済が好調を維持する中、予想されたインフレ率の上昇が見られ、特に中古車市場や木材市場で価格が顕著に上昇しています。しかし、耐久消費財の需要が減速していることから、インフレ率の上昇は抑制され、金利の上昇圧力は緩和するとWells Fargoは見ているとRaubacher氏は述べました。

 

株価バリュエーションが過去最高に

半導体の株価が高騰するのは、初めてではありません。S&P 500に含まれる半導体銘柄の、過去15年間の株価上昇率は460%を超えており、S&P 500指数全体の230%を上回っているとRaubacher氏は述べています。半導体株の輝きはこれからも減じることはないでしょう。新型コロナウイルスの感染が急速に拡大した2020年初頭以降、世界経済における半導体の重要性への認識が、爆発的に広まったのです。この動きは、自動運転車の開発、産業・工場の自動化、5Gのインフラ構築、データセンターの拡張、IoTが促進するスマートシティやスマートホームのイノベーション等の長期的な技術トレンドと結びつき、半導体株のバリュエーションを高める重要な要因となっています。  

Wells Fargo logoS&P 500の株価収益率(PER)は21倍以上となり、過去の平均である15倍を大きく上回っています。「S&P 500のバリュエーションは、どのように見ても過去最高水準です。全体の評価倍率は、次の12か月間の収益見通しが現在3倍となっており、過去の平均から大幅に上昇しています」とRaubacher氏は述べました。

半導体株の評価も同様の傾向にあり、SOXX指数は次の12ヶ月間のEBITDA(金利、税金、償却前利益)見通しが15倍となっています。

Raubacher氏は、「半導体株は過去の水準に比べて高評価に見えますが、半導体産業はS&P 500企業よりも急速に成長し、より大きな利益率で収益性を拡大しています」と言います。このような差があるため、「半導体株は一見すると思えるほど割高ではありません。」

半導体企業は、過去15年間の収益拡大と評価倍率の上昇により、時価総額が500%以上増加したのに対し、半導体企業を除くS&P500の時価総額は300%の増加にとどまっています。

Raubacher氏は、2021年第1四半期の半導体企業の収益成長率は、季節変動性のため予想通り低く、2.4%減となりましたが、過去の平均値よりも下げ幅は小幅だったと述べました。第2四半期の売上高成長率は、過去の平均値である6%に近い値になると予想しています。また、市場アナリストによる2021年の半導体成長率の予測は、前年比6%から17%と幅広い範囲にわたっていることにも言及しました。

 

半導体企業が記録的ペースで資金を調達

2020年と2021年に、半導体企業は返済期限をむかえる債務や買収のための資金として、前例のない820億ドルを調達しており、この波は「半導体業界のさらなる企業統合を促進するでしょう」とRaubacher氏は述べました。これらの資金調達はいずれも、資金流動性の低下に起因するものではありません。10年前に半導体部門の責任者としてWells Fargo社に入社して以来、同グループは半導体業界の顧客に対して、400億ドル規模のM&Aや3600億ドル規模の資金調達を含む175件以上の取引を行っています。

「好調なマクロ経済と需要環境、比較的低い金利、そして半導体企業の強固なビジネス・ファンダメンタルズと高いバリュエーションによって、M&Aが活発化することが予想されます」とRaubacher氏は語りました。

 

大多数の半導体アプリケーションが成長

今後4年間は、無線通信、民生用電子機器、輸送、医療など、ほとんどのアプリケーション分野で半導体産業が成長するでしょう。2020年から2025年にかけては、自動車と産業・航空宇宙がそれぞれ年間14%と10%の成長をし、「この期間の市場拡大のかなりの部分を牽引する」とRaubacher氏は述べています。

すべてのアプリケーションにおいて、半導体産業は2020年から2025年まで年平均成長率6.8%で成長し、予測期間終了時には1,830億ドルの売上が加算されるとRaubacher氏は予測しました。

 

高まるESGの重要性

今の投資家は個々の企業を評価する際に、純粋な業績以上のものを重視しています。企業が環境・社会・ガバナンス(ESG)活動の一環として、CO2排出量削減や職場の多様性促進など、より良い社会の実現に向けた取り組みを行っているかどうかが、評価モデルにおいて重要視されるようになっているのです。

「投資家は、ESGの取り組みやターゲットにますます注目するようになっています。債券面でも、(環境取り組み資金の調達に特化した)グリーンボンドや、ESG目標と連動した低金利債権などが見られます。しかし、ESGを資金調達に取り入れている半導体企業は少数であり、まだこれからと言えます。これは結局、企業が進行を確認可能な測定基準と、どんなゴールやターゲットをコミットするかという所に行き着きます。業界標準というよりも、企業それぞれのアプローチになるでしょう」とRaubacher氏は語ります。

ESG

 

Raubacher氏は、半導体業界では、ESGのターゲットが、サプライチェーン全体におけるファブなどの施設にある製造装置やプロセスだけではなく、チップ自体にも向けられるようになってきていると指摘しました。技術革新に伴い、消費者や事業者の電子機器を動かすチップの開発が進んでいますが、その普及には電力消費の増加という代償を伴います。半導体メーカーはESGへの取り組みを強化するために、これまで以上に電力効率の高い設計に重きをおいているとRaubacher氏は述べます。

Raubacher氏によると、半導体サプライチェーンの多くのプレイヤーが、省エネ装置への切り替えや水の使用量削減により、CO2排出量を削減しています。同時に、ESGのあらゆる面で企業の成果を強調することを、重要だと認識する半導体企業の経営者も増えています。

 

政府も半導体の重要性を認識

パンデミックの発生後、世界中で屋内退避命令が出され、在宅勤務、オンラインショッピング、バーチャル授業、遠隔医療が当たり前のこととなりました。この必要性と利便性の両方から生じたコネクティビティの核となる電子機器と、それを動かすチップは、世界中で非常に重要な意味を持つようになりました。

地政学的な争いが激化したことで、半導体業界全体のサプライチェーンが再考され、再構築されました。各国政府は、半導体製造設備の建設競争で優位に立とうと画策し、チップへの投資を拡大していきました。自動車産業に端を発し、他の業界にも波及していった深刻なチップ不足は、世界が回り続ける上で、半導体がいかに広範かつ重要な役割を果たすようになったかを物語っています。 

 

GeopoliticsRaubacher氏は、「世界中の政府が半導体の戦略的重要性を認識しているように、半導体産業が世界経済や国家経済にとって極めて重要であることは疑う余地がありません」と語りました。

これにより、今後の規制に向けた根回しという点でも、これまでより有利な立場になったと言えるでしょう。

「半導体業界のエグゼクティブにとっては、今後30年間の業界の方向性に影響を与える可能性のあるパブリックポリシーを策定するまたとない機会です」と彼女は述べました。

SEMIが主催し、SEMI会員のBrooks Automation、日立ハイテク、JECT、KLA、東京エレクトロンが協賛したウェビナー「Surging Chip Demand, Digital Transformation, and the Pandemic - What's Next? 」には、750名以上の参加者が集まりました。また、McKinsey & CompanyのSven Smit氏は、このイベントで「新型コロナの出口でリードする」という講演をしています。

Michael HallはSEMIのマーケティング・コミュニケーション・マネージャーです。