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2020-08-25

クリティカル・サブシステムは、Just in TimeからJust in Caseへ

COVID-19によって、半導体製造サプライチェーンに属するあらゆる企業が、在庫をどれだけ持つべきか再考を強いられることになりました。

 

クリティカル・サブシステムのサプライヤは半導体製造装置サプライチェーンのブルウィップ効果[i]の経験を積んでいますから、現在の状況下でも、生き残りと繁栄に向けた体制が整っています。さらに、彼らの顧客がパニックになって買いだめや二重発注をはじめ、需要の振れを拡大していないかを常に警戒しなければなりません。

 

COVID-19によって、クリティカル・サブシステムのサプライヤ各社の業務管理は、さらに複雑になりました。原材料や部品の供給が乱れたことで、事業の円滑な運営に必要な在庫量を見直すことになったのです。この変化によって、在庫の適正レベルはどの程度にすべきか、また顧客が過剰な在庫を抱えているのをどうすれば察知できるか、という疑問が必然的に生じました。この疑問への回答を見つけることは、特に旺盛な成長期の真っただ中にあって、非常に重要となります。

 

クリティカル・サブシステムのサプライヤからの立場では、原材料や部品の在庫確保が最優先であり、在庫は1ヶ月程度から35ヶ月程度まで増加しています。生産面では、四半期生産量は過去最高に近いレベルにありますが、完成品がすぐに出荷されているため、完成品の在庫レベルは比較的低くなっています。クリティカル・サブシステムのサプライヤは、顧客からの委託分も含め歴史的に売上の17%前後の在庫を保持してきましたが、直近の四半期では、需要への対応に追われ、在庫レベルは13%近くまで下がっています(Figure 1)。

 

VLSI 1

 

2020年上半期のクリティカル・サブシステムの売上成長率は、半導体装置を大幅に上回りました。これは、顧客の過剰注文に対する危険信号となっています。

 

歴史的に、半導体製造装置メーカーはクリティカル・サブシステム/コンポーネントの在庫を売上高の22%程度前後してきました。Figure 2を見ると、2018年の前半に、クリティカル・サブシステム/コンポーネントの在庫が売上高の27%に急増しています。これは、2017年の半導体装置市場のブームにおいて過剰注文が発生したためです。2018年の第1四半期に装置市場が急落すると、過剰在庫を抱えることになり、それが2019年末まで続きました。2019年第4四半期の装置市場の回復により、積みあがった在庫は減少しています。通常の状況であれば、在庫比率は通常レベルに戻ったはずです。しかし、2020年についてはすべてが普通ではなく、COVID-19に対応して装置メーカーは、在庫率を非常に高レベルで維持しています。

 

VLSI 2

 

このような厳しい時代にあって、半導体業界では、Just in Timeのための在庫からJust in Caseのための在庫に移行していることは明らかです。装置メーカーが保有すべき適切な在庫量はまだ明確ではありませんが、今は、総売上高に対する在庫率をモニターすることに意味があるでしょう。もしこの指標が横ばいか下降するならば、健全だと見なすことができます。増加した場合は、懸念とさらなる調査のトリガーとすべきです。

 

クリティカル・サブシステムについて、またVLSI ResearchCritical Subsystemデータベースについては、VLSI ResearchWebサイトをご覧ください。

 

[i] 需要の変動が拡大しながらサプライチェーンをさかのぼる現象で、鞭を手元で小さく揺らすと、先端では大きく振り動くのになぞらえて呼ばれる。