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2022-03-02

人材不足下に求められる公平な採用活動

半導体産業は、米国で数千億ドル規模の投資が発表されるなど、未曾有の成長に突入しました。製品を製造するための原材料や機械・装置などの不足をめぐる競争がいかに厄介なものか、私たちはようやく気付きはじめたところです。「The Great Resignation(大退職時代)」が盛んに報道されていることからも明らかなように、人材不足は急速にこうしたリスクの上位に上がってきています。

 

採用の困難はこれからも続く

人材争奪戦は、パンデミックだけが原因ではありません。DeloitteとSEMIの調査によると、77%の経営者が早くも2017年に人材不足を認識しています。新型コロナウイルスはこの問題を危機的状況にまで悪化させました。米国だけでも、政府や企業が投資する新たな半導体製造工場のために、2020年から2025年までの間に最大30万人の人材が必要とされます。大学新卒者の半導体製造業への関心が低下していることも、この問題をさらに深刻にしています。

さらに悪いことに、理数系教育の履修者が減少しています。ある調査によると、2019年の電気工学位取得者は31,000人ですが、これは前年から1.9%減となります。一方で良いニュースは、学歴や業界経験のない人が半導体業界で職を得る機会が生じていることです。初心者レベルの職種の需要が高く、企業は生産現場で人材争奪戦を繰り広げています。

 

人材問題解決の要となるDEI

このように半導体業界が克服しなければならない課題を抱える中、DEI(多様性・公平性・受容性)の取り組みは、雇用を埋めるためのもう一つの要素として捉えられるかもしれません。EMD Electronicsでは、DEIへの取り組みが解決を助けると確信しており、その理由を以下にご紹介します。性別、世代、民族、学歴、業界、性的指向の異なるあらゆる人を受け入れてこそ、半導体産業の素晴らしい成長見通しを実現するために必要な人材パイプラインを確保する可能性が広がるのです。これは長距離レースになるでしょうが、挑む価値があります。

今日半導体産業がかかえる多くの厄介な問題と同様に、人材不足とDEIを解決する魔法の杖は存在しません。そこで、EMD Electronicsでは、従来の人材プールの外にある多様なグループへの働きかけに焦点を絞り、多様な人材が活躍できる受容性の高い企業文化を構築しています。

 

多様性を考えた人材への働きかけ

300採用候補者にアプローチするための雇用としてのブランディングの重要性がニュースになることはあまりありません。それでも、人材プールを拡大するためには、雇用主のブランドをできるだけ受容性のあるものにすることは重要です。2021年4月にMerkのElectronicsブランドを立ち上げたとき、私たちはまさにこれを実践し、DEIに焦点を置いて働きかける範囲を広げ、すべての従業員に「本物の自分」のままで毎日仕事をすることを奨励しました。

半導体業界のDEI運動は、個々の企業の取り組みをはるかに超えて拡大する必要があります。そのため、SEMIとManufacturing InstituteのHeroes MAKE America(HMA)プログラムでのパートナーシップは非常に重要です。HMAは、退役軍人と半導体業界のキャリアを結びつけるもので、業界として採用範囲を広げるための取り組みの好例です。

半導体業界の報道が相次いでいる今は、幅広い年齢や経歴の人々にこの業界のキャリア機会を知っていただくチャンスです。高卒者など従来とは異なるグループからの採用を求めるには、業界が新人教育やトレーニングを再構築して受容性を高め、より多くの候補者にアプローチする方法を開発すべきです。ドイツの複線型教育制度は、仕事と実地研修を組み合わせたソリューションのひとつです。産業界として採用を働きかける範囲を拡大できれば、新しい人材プールへのアクセスが可能になります。

 

受容性と公平性のある企業文化づくり

多様な人材の採用は重要ですが、受容性と定着性の鍵を握るのは職場文化です。インクルーシブな(受容性の高い)職場文化を育てるためには、組織と従業員の行動を変える必要があります。この変革は、目的を明確にしてDEIに注力することで初めて可能になります。当社では最近、DEIへのコミットメントを明確にするように、インパクトのある文化に変えました。

当社の多様性最高責任者のRenee Connollyは次のように宣言しました。「今日から、はっきりさせましょう。DEIは話の種ではありません。課題でも、趣味でもありません。人とビジネスの義務なのです。私たちが一緒に進めるものです。66カ国にまたがるすべてのリーダー、チーム・マネージャー、そして全社員が、この旅の大義のために力を合わせなければならないのです。インクルーシブな職場を育むための旅に。」

Inclusion当社のインクルーシブな文化は、ヒューマン・ライツ・キャンペーン財団の企業公平性指数で100%のスコアを獲得したことを誇りに思っています。これが、さらなる前進のモチベーションになっています。これを受けてMerck KGaA(ドイツ、ダルムシュタット)は、2030年までにリーダー職の男女均衡達成と、米法人リーダー職に占める人種・民族の過小評価グループ比率を21%から30%に引き上げることを公約しました。公約を果たすため、私たちは無意識の偏見を見つけ対処するためのトレーニングを管理職ならびに従業員に実施しています。

この科学的基礎に基づいたトレーニングは「Brain@Work」と呼ばれ、DEIを促進しインクルーシブな判断を行えるように作られています。業界や企業に合わせたトレーニングを提供することで、職場文化を再構築し、コラボレーションや生産性を向上します。業界としても、同様の取り組みを行うことで利益を得られるのではないでしょうか。

この先に見える半導体の成長機会はまさに胸躍らせるものです。人材問題は脅威に感じられますが、DEIが流れを変える鍵になります。教育や経歴の異なる従業員をひとつにし、真に包括的な職場文化の構築を目指す人材開発活動は、新しい人材プールを開き、より多くの人々に半導体産業でキャリアを築く希望を与えます。業界の成長を目指すのと同様に、DEIにも熱意をもって取り組んで行く必要があるのです。

 

執筆者について

Philip MatthesPhilip Matthes氏は、Merck KGaA(ドイツ、ダルムシュタット)(米国およびカナダではEMD Electronicsとして運営)のエレクトロニクス事業における半導体材料部門人事グローバル責任者兼取締役です。ドイツ・ボン大学にて歴史学博士号を取得しています。