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2021-01-26

半導体による医療診断へのファストトラック

医療診断と個別化治療の最新動向について、Robert Bosch GmbH Stuttgartのリサーチフェロー(シニアチーフエキスパート)であるFranz Laermer博士にお話を伺いました。複雑な分子診断のワークフローを自動化するために最近Robert Boschが開発したオープンプラットフォームは、分子診断を必要な場所で実施できることを証明しています。

これを実現するためには、マイクロエレクトロニクスだけでなく、微細化、マイクロシステム、マイクロ流体技術が不可欠です。これは、かなり短い期間でSARS-CoV-2感染症の検出法を開発する上で重要となります。

Laermer氏は、SEMI Technology Unites Global Summit(2021年2月15-19日、オンライン開催)の中で2月19日に提供されるSEMI MedTech Forumの講演者です。本イベントは現在登録受付中です。

 

SEMI:何が診断法のイノベーションを推進しており、半導体業界はどんな役割を担うのでしょうか?

 

TUGS Bosch logoLaemer博士:診断法を大きく進展させているのが、DNAを構築する基礎的ブロックであるヌクレオチドのレベルで核酸を分子分解して詳細に分析する技術です。これにより、癌、遺伝子異常、感染症、治療抵抗性などの疾患の根本原因が明らかになります。現在のソリューションは、ポリメラーゼと呼ばれるDNAを合成する酵素の働きを利用したPCR法か、またはDNAの塩基配列を決定するシークエンシング技術によるものがほとんどです。これらの技術を必要とする場所へ近づけるために重要となるのは、自動化、小型化、低コスト化、使いやすさ、柔軟性、信頼性、そしてサンプリングから検査結果が出るまでの時間短縮です。半導体およびマイクロシステム技術は、こうした要求を満たすための実現技術となっています。ムーアの法則が半導体側を後押し、性能が向上の一途をたどっているおかげです。

 

SEMI:BoschのVIVALYTICシステムについて説明いただけますか?

 

Laermer博士:VIVALYTICは、多様な分子診断分析の統合と自動化のためのユニバーサルで柔軟性の高い診断プラットフォームです。VIVALYTICはユニバーサルなラボ分析装置で構成されており、診断アプリケーション専用に作られたカートリッジを使います。このカートリッジには、診断に必要な試薬とバイオコンテンツがすべて、室温で長期的に安定する方法で収められています。ユーザーは患者のサンプルをカートリッジに入れ、カートリッジを分析装置に押し込み、自動ワークフローを開始するだけで、通常1時間以内に診断結果を得ることができます。VIVALYTIC製品は、Bosch Healthcare Solutions GmbH (BHCS)が戦略的診断パートナーやバイオコンテンツの所有者と協力して製造しています。

 

SEMI:パンデミックは、医療産業において自動診断にどのような影響を与えていますか?新しい動きはありますか?

 

Laermer博士:パンデミックによって、必要な場所で自動迅速診断を行う重要性が明白になりました。感染連鎖を可能な限り早期に断ち切るためには、いつでもどこでも信頼性の高い迅速なPCR検査を使えることが必要です。私たちは、SARS-CoV-2の迅速検査に必要な時間を、陽性プローブの場合は30分未満に短縮することに成功しました。ワクチン接種によって免疫レベルが十分に高まるまでは、迅速検査がCOVID-19パンデミックの感染数、入院数、死亡者数を抑制する唯一の方法です。

 

SEMI:感染症診断以外にも、医療のパラダイムシフトを起こすソリューションはありますか?

 

Laemer博士:現在の腫瘍学では、癌の原因と考えられている特定の変異に対処するための、標的薬品や療法の開発が急増しています。これは、腫瘍学が従来のone-drug-fits-allアプローチから個々の患者に合った治療を適時おこなう精密医療へと脱却したことを意味しています。この個別化治療の前提条件として、腫瘍の突然変異の状態を明らかにし、治療中に正確かつ反復的にモニターすることが必要です。後者では、救急車上など分子診断を必要とされる場所で行うことが求められます。ここでキーワードとなるのが液体生検です。個別化治療のもう一つの例は、細菌感染症における細菌の種類と抗生物質の耐性を検出し、最適な抗生物質治療を決定することです。

 

SEMI:こうしたニーズに向けて、Robert Boschはどのようなソリューションを提供していますか?

 

Laermer博士:Robert Bosch GmbH は、マイクロシステム、マイクロセンサー、半導体技術のリーダーです。ドレスデンに新設された12インチ半導体工場は、これらの分野における当社の地位をさらに強固なものにするでしょう。この分野には、AIやIoTも含まれています。テクノロジー・プロバイダーとして、ボッシュは複雑なワークフローの自動化と管理のための優れたソリューションを生み出し、診断パートナーとともにWin-Winのソリューションを提供しています。

 

SEMI:テクノロジーによって私たちはどのように一つになれるのでしょうか?

Laemer博士:技術、特に半導体やマイクロシステムの技術は、医療分野におけるゲームチェンジャーです。医療、診断、半導体という異なる分野が互いに出会い、協力し合うと、イノベーションは強力に加速されます。異なる分野の専門能力の接点で新しいことが起こるのです。

 

TUGS Bosch Laermer headshotFranz Laermer博士は、1990年にドイツのシュトゥットガルトにあるRobert Bosch GmbHのコーポレート・リサーチ・アンド・テクノロジー・センターに入社し、今後のMEMS分野に向けた新しいキーテクノロジーとセンサー機能の開発に着手しました。現在はBoschリサーチフェロー/マイクロシステム、マイクロ流体工学、分子診断学のシニアチーフエキスパートとして活躍しています。