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2021-01-06

半導体製造と技術革新に必須のフッ素化化学物質

半導体は画期的な技術進歩をもたらすことで、現代社会に必要不可欠な役割を果たしています。高度な半導体の量産には、PFASとして総称されるフッ素化化学物質が必要です。私はSEMI会員を代表して、2020123日に開催された産業界と欧州連合(EU)の意思決定者を対象とした英Chemical Watchの会議で、これらの物質の重要な役割と半導体製造のサプライチェーンにおける「必須用途」について説明しました(発表資料)。

有害物質のない環境を目指した欧州グリーンディールのゼロ汚染の野望を達成するために、欧州委員会は最近発表した「Chemical Strategy for Sustainability(持続可能性のための化学物質戦略)」の中で、最も有害な化学物質の使用を、社会にとって不可欠とみなされる場合を除いて制限する意向を発表しました。PFASの略称で知られるパーフルオロアルキルおよびポリフルオロアルキル物質は、この意向に基づいて規制上の精査を受ける最初の化学物質群となります。

ここで問題となるのは、どのような化学物質を社会に必要不可欠なもの見なすべきか、また、どのような用途を網羅しているかということです。

 

現代生活における半導体の重要な役割

半導体は私たちの生活に必要不可欠であり、いたる所に浸透しています。半導体は現代社会が機能するために欠かせません。スマートフォンやコンピュータのモバイル通信技術は半導体によって進歩し、私たちは効率よく仕事をし、大切な人たちと連絡をとれるのです。2020年には、何十億もの人々が自宅から安全にリモートワーク、リモート学習を行ったことで、半導体の恩恵がこれまで以上に明白になりました。

同時に、半導体を使用した技術は、COVID-19対策の取り組みにおいても、人工呼吸器、医療用画像機器、デジタル医療ソリューション等、重要な役割を果たしています。さらに、半導体は今後、社会のインダストリー4.0への飛躍を可能にし、またコネクテッドカーや電気自動車、人工知能(AI)、量子コンピューティングの不可欠な要素技術としても活用されて行くでしょう。

域内市場担当のThierry Breton欧州委員は、Hannover Messe Digital Daysにおける講演等で、欧州のデジタル主権を達成する上での半導体の戦略的重要性を強調しており、またEU新産業戦略においても半導体とマイクロエレクトロニクス・システムの重要性が指摘されています。

また、このような重要技術を生産するための莫大なコストと複雑さにも目をむけなければなりません。数百台の製造装置を備えた最先端の半導体工場を建てるには、150億ユーロ(1.9兆円)かかるとも言われます。1台の半導体製造装置は、通常数百万点の成形品から構成され、こうした装置がひとつの半導体ファブに数百台設置されます。さらに、SEMIの推定によると、半導体ウェーハの加工には、約500種類の高度に専門化されたプロセスケミカルが必要とされます。こうしたプロセス、製造装置、設備は、PFASだけが持つ特性に依存しています。

EU LaithSEMI Europeのプレジデントであるレイス・アルティマイムは次のように述べています。「SEMIは、欧州のデジタル主権を確立するためには、半導体が戦略的に重要であることを懸命に強調してきましたが、マイクロエレクトロニクスの重要性についてEUと加盟国に十分認識されたことを嬉しく思います。フッ素化化学物質は半導体製造に必要不可欠です。これらの特殊な化学物質は、その他にはない特性のために必要とされており、半導体製造が求める機能特性を十分に提供できる代替物質は現時点では存在しません。したがって、PFASの必須用途の概念は、技術革新を可能にし、サプライチェーン全体に適用され、EUの重要なインフラと戦略的目標達成を可能にするものなのです」

 

 

PFASとは何か、また半導体製造のどこで何のために使われるのか

PFASは、固有の特性と特徴を有する広範かつ高度に多様な物質群です。経済協力開発機構(OECD)はPFAS約4,700種の物質リストを作成していますが、半導体製造産業で使用されているのは、その内ほんの一握りの物質です。これらの非常に特異的な化学物質は、半導体製造の厳しい条件下で使用することを可能にする、独特で比類のない特性のために必要とされるのです。

 

半導体製造用化学物質

半導体製造の核心は、微細な幾何学的パターンをフィルムや基板に転写するフォトリソグラフィープロセスです。このプロセスの様々なステップで、品質を確保し、欠陥の発生を低減するために、フッ素化化合物を含有する特殊材料が使用されています。PFASは、その低い表面張力および他の化学物質との適合性から、使用が必要不可欠となっています。PFASは通常、完成した製品中には残存しません。しかし、一部の半導体製品では、PFASが最終製品に含有されるものがあります。カメラ、ディスプレイ、ある種の医療機器等に使用されるイメージングデバイスがその代表的な例です。

 

半導体製造装置

EU chipmaking equipmentPFASは半導体製造装置や工場インフラにも必要不可欠となっています。比類のない耐熱性と耐薬品性、化学的不活性の組み合わせを有するフルオロポリマーは、装置の部品(配管、ガスケット、容器、フィルター等)や潤滑剤(各種オイルやグリース)に使用されています。こうした特性は、装置を取り囲むインフラの機能を保証するためにも必要となります。また、既に法律(Regulation (EU) No 517/2014, F-Gas Regulation)で規制されているいくつかのフッ素化ガスも、冷媒および洗浄剤として使用されています。

以上はPFASの半導体製造における使用例の一部にすぎません。現時点で、こうしたプロセスの実行や、半導体製造装置を組み立てることは、PFASなしにはできません。必要な機能特性を十分に提供できる代替物はないのです。代替化学物質やテクノロジーが今見つかったとしても、バリューチェーン全体の認定プロセスが極めて複雑なため、それを半導体量産に導入するまでには15年かかるかもしれません。したがって、最先端半導体の量産には、PFASを利用し続けることが前提条件となるのです。さもなければ、半導体製造技術によるEUでの生産と供給ができなくなる可能性もあります。

 

必須用途をどう考えるべきか

規制当局は、PFASのどの用途が必須であるか、またどのような場合に使用を許可すべきかについて、検討を始めています。この概念を策定する際に、次の3点に留意すべきです。

 

必須用途は技術革新を妨げるのではなく可能にしなければならない

第一に、必須用途という概念は、継続的な技術革新を可能すべきものであり、その障害となってはなりません。半導体や製造技術は、社会の要請に応えていくために、絶えず進化多様化しています。私たちが今日革新的だと考えるものも、将来には当たり前になっているかもしれません。将来の革新は現在では想像もつかないものでしょう。したがって、将来の技術革新の可能性を誤って制限しないように注意しなければなりません。

必須用途はサプライチェーン全体に適用されなければならない

第二に、用途を必須と分類することは、サプライチェーン全体に適用されるべきです。例えば、半導体を必須と定義し、それを製造するために使用する半導体製造装置や化学物質を必須ではないと分類することは避けなければなりません。半導体製造サプライチェーンでは、1つのデバイスメーカーに最大16,000のサプライヤーがつながっており、このリスクは明白です。

必須用途は重要なインフラおよびEUの戦略目標を可能にしなければならない

最後に、欧州の社会的優先事項を忘れてはなりません。EUは、その重要なインフラを維持し、保護することができる必要です。同時に、我々は、グリーンでデジタルな欧州というEUの戦略目標も見失うべきではありません。

 

半導体は、それに付随する製造装置や化学物質とともに、日常生活に必要不可欠な技術であり、EUの戦略的バリューチェーンのバックボーンとなります。半導体の製造は非常にコストがかかる複雑なプロセスであり、それを実行するためにはPFAS固有の特性が必要です。そのため、PFASは欧州グリーンディールやデジタル自治といった現在の戦略目標を達成するためにも、また将来においても必要不可欠です。したがって、半導体製造におけるPFASの継続的な使用を可能にする必須用途を確保しなければなりません。