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2022-09-14

高電圧パワーテクノロジーが導く次世代半導体プロセス

世界的なチップ不足に加え、電化やデジタル化の進展により、世界の半導体への依存度が高まっています。McKinsey & Companyは本年4月のレポート「The semiconductor decade: A trillion-dollar industry」において、デジタルトランスフォーメーションの加速を指摘し、2020年代の成長により2030年に半導体市場が1兆ドルに達すると予測しています。

 

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出所:McKinsey & Company

 

将来の需要に対応するために開発される半導体は、これまで以上に高性能な、より多くの機能を統合したものになるでしょう。ムーアの法則が厳密にいつまで適用可能かは議論が続いていますが、この法則は 60 年近くも業界に貢献しており、設計者がチップの機能をこれまでにない高みへと押し上げる上で、今後も意味があると言えるでしょう。高度な設計を製品化するには、何百もの連続した工程からなる革新的な製造プロセスが必要であり、半導体の複雑さと電力消費量が増加して行っても、最大の生産性と最小のダウンタイムによって高い歩留まりを実現することが期待されます。

このような期待に応える上で、正確に制御された信頼性の高い高電圧電源が重要な役割を果たします。

 

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半導体製造プロセスを支える主電源および関連技術

 

最新の半導体では高アスペクト比のパターン形成によりプロセスが複雑になり、エッチングや成膜に単純なスイッチング電源を使用する時代は終わりを告げました。現在では、複数の高周波電源が、プロセスチャンバー内のプラズマ生成と制御を、ウェーハ上のパターンエッチングと同時に実行しています。複数電源とインピーダンス整合ネットワークを組み合わせることで、エッチングや成膜プロセスステップの変化にほぼ瞬時に対応してプラズマに電力を伝達し、プロセス電力をできるだけ低く抑えながらスループットを最大化しているのです。

最新のイオン注入プロセスにおいても、電源とインピーダンス整合ネットワークの組み合わせが必要となります。このプロセスでは、精密な電子ビームやイオンビームの加速、走査、制御に出力が数十kVの電源の組み合わせが利用されると共に、アーク放電の抑制、蒸着速度の向上、膜の平坦度と充填密度の向上のために高電圧パルスDC電源が利用される場合があります。また、イオンビームステアリングには高電圧パワーアンプが利用されます。

静電電圧計(ESVM)は、製造工程中のウェーハ制御において重要な要素となります。静電気系は一般に抵抗が高く電荷量が小さいため、従来の電子計測器では測定が困難です。ESVMは、エッチング、蒸着、イオン注入プロセスにおいて、高精度の非接触表面静電電圧測定を行い、また、静電チャック(ESC)でウェーハを固定した際に、ハンドリングや加工時にかかる力を最適化するためにも使用されています。

ウェーハの検査では、スループットを下げずに微細なパターン寸法を測定することが課題となります。今日の半導体製造では、高アスペクト比のパターンや複雑な三次元構造をサブナノメートルの分解能で迅速に測定することが求められます。そのためには、安定した正確な電力供給ができる高電圧電源と制御技術が必要です。

半導体製造におけるもう 1 つの重要な電力要件は、CVD、PECVD、PEALD装置のプラズマチャンバーの清浄度を可能な限り維持し、ダウンタイムとなる大規模チャンパークリーニングの頻度を最小化あるいは不要とするニーズに起因するものです。清浄度を保つためのインラインクリーニングは、通常、RFプラズマを使用したリモートプラズマ源によってNF3などのガスをプラズマ化して行います。

 

プロセス電力要件への対応

より正確なプロセス制御と、より的を絞った効率的な電力供給に対するニーズが、プロセス電力の技術革新を促しています。 

RF電源を例にとると、最新の電源と整合ネットワークの場合,プラズマへの電力供給において、エッチングまたは蒸着プロセスの変化にほぼ瞬時に対応します。最新の技術革新のひとつに、非対称バイアス波形ジェネレータがあります。これは、高アスペクト比の誘電体構造のパターン形成に必要となる正確なバイアスプラズマを、計測と波形制御を応用して高速に実現するものです。

マイコン制御のステッピングモータードライブと高度なチューニングアルゴリズムを備えた最新型整合ネットワークは、チューニングと整合の応答時間を短縮することにより、RF電力の最適な供給を実現しています。こうしたネットワークの中には、RFセンサーを組み込んで、プロセスの電力とインピーダンスをリアルタイムに分析し、プロセスのばらつきを迅速に低減するものもあります。

イオン注入やイオンビームのアプリケーションでは、バラエディに富んだIGBT ベースの AC-高電圧直流電源の中から選択することで、全動作範囲における高効率かつ高信頼性を保証することができます。半導体検査で使用される走査型電子顕微鏡(SEM)用のラックマウント型およびモジュール型の電子ビーム電源は、様々なショットキー電子銃の構成に対応可能な柔軟性と、直感的なGUIによる操作や診断を提供するデジタル制御を内蔵するものが増えています。

静電チャック用電源も進化しており、高性能なものは高電圧アンプが主流となっています。静電チャックは静電容量方式が主流であるため、ウェーハの吸着時、剥離時に高電圧アンプの高い性能が発揮されます。4象限運転を実現する最新のアンプは、出力電圧に依存しない電流の供給とシンクが可能で、過電流、ウェーハ有無/ウェーハ吸着のしきい値、また吸着電圧、オフセット電圧、内部/外部振幅/オフセットなどのパラメータを制御することができます。

 

高耐圧静電チャックアンプにウェーハの状態情報をリアルタイムに表示

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高電圧の進む道

信頼性が高い高電圧電源は、半導体製造におけるイオン注入、蒸着、エッチング、電子ビーム描画、プロセス計測・検査、テストなどの領域で不可欠となります。さらなる微細化、ワイドバンドギャップ(WBG)、3D技術への移行に伴い、電力の正確な制御の重要性がますます高まっています。電源メーカーは、現在の要件に対応するだけでなく、将来のニーズを予測し対応するための柔軟な電力プラットフォームを提供する必要があるでしょう。

Ray Morgan はAdvanced Energyの高電圧システム担当副社長兼ジェネラル・マネージャーです。