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2020-09-02

COVID-19時代のMEMSとイメージセンサー

COVID-19との闘いで世界中のテクノロジー企業がイノベーションを加速させる中、MEMSおよびイメージセンサーは半導体産業の輝ける星となっています。この小さなデバイスは、サーマルイメージングや診療現場での短時間検査方法から、PCR検査装置やSARS-CoV-2検出技術に至るまで、広範な電子機器の進歩を支えています。

 

SEMIはYole Développementのアナリスト、Dimitrios Damianos氏、Chenmeijing Liang氏に、MEMSおよびセンサー市場の動向とマイクロエレクトロニクスを利用した技術によるCOVID-19感染収束の世界的推進への貢献についてお話をうかがいました。

 

MEMS・センサー技術についてのさらなる情報が、2020年1112-13日にミュンヘンで開催されるSEMICON EuropaSEMI MEMS & Image Sensors Summitで提供されます。ご登録はこちらまで。

 

SEMI:世界的パンデミックにもかかわらず、MEMS・センサー市場の成長は止まらず、ヨーロッパだけではなく世界的にも最も好調な産業のひとつとなっています。この成長をけん引しているのは何でしょうか?

 

DamianosMEMSは、圧力や加速度を計測する最初のセンサーから、回転センシングや可視光管理、さらに可視光を超えた光センシング、超音波やマルチスペクトルへの拡大と、絶えず進化を続けてきました。現在、私たちが向かっているのは、環境のあらゆる側面をセンシングする時代であり、このために、大量のデータ処理、さらには解析によるデータの質向上が進められています。

 

Yole CoronavirusCOVID-19は、世界の各種市場に好悪様々な影響を与えています。自動車、交通機関、民間航空が被害を受けた一方で、電気通信と医療へは好影響をもたらしました。消費市場、モバイル市場、産業市場への影響は中程度です。さらに、COVID-19は製造業における現在のグローバルなサプライチェーンに対する見方を変えつつあり、パンデミックや第一次ロックダウンによってもたらされる同様のリスクを最小限に抑えるために、バリューチェーンの地域課が進展する可能性があります。

 

SEMI:貴社の調査によると主要なMEMSプレーヤーはどこになりますか?

 

DamianosMEMSプレーヤーについては、10年前にはTexas InstrumentsTI)とHewlett-PackardHP)がシーンをリードし、それに続くBoschST Microelectronicsを含めて同程度の収益水準にありましたが、2019年は大きく様変わりしました。現在では、BroadcomBoschがそれぞれ約14億ドルの収益でトップに立っており、それ以外のMEMS主要プライヤーは、4億ドルから6億ドルの収益範囲で競い合っています。MEMSマイクメーカーは、音声インターフェースの採用増加で利益を得ていますが、モビリティやスマートフォン向けのMEMSが主力のプレーヤーは、最終製品の需要が弱く、若干苦戦している状況です。

 

SEMICOVID-19MEMSの各市場に及ぼす影響について、2020年にどんなシナリオが想定されますか?

 

Damianos2020年の消費市場は2.6%の微減、自動車市場は27.5%の縮小、防衛・航空宇宙市場は20.5%の縮小をYole Développementでは予想しています。防衛市場については、今年度の主要計画はすべて継続実施となるため、大きな影響はないでしょう。市場全体では、サプライチェーンや物流の問題により、若干の納入遅延が発生する可能性があります。一方で、商用/民間航空宇宙アプリケーション用センサーは、航空旅行業界のマヒのために苦しむことになるでしょう。好調の可能性があるのは、通信分野の4.7%増、医療分野の10.6%増、産業分野の11.5%増となります。

 

世界的なパンデミックの影響で、需要が急増しているMEMSのタイプもあります。例えば、人の体温を非接触で測る必要性から、ガンタイプ温度計やサーマルカメラに使用されるサーモパイルセンサーやマイクロボロメータの需要が増加しています。また、マイクロ流体デバイスを用いたDNAシーケンサやCOVID-19を検出するPCR検査装置は、細菌やウイルスを分子レベルで高精度に検出する最新の方法として、市場の注目を集めています。さらに、人工呼吸器の圧力・流量計は、病院の集中治療室(ICU)での需要拡大によって、今後成長が期待される分野です。

 

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SEMI:長期的な成長トレンドをどのように予測しますか?

 

Damianos:長期的には、世界のMEMS数量は2019年の244億個から2025年には508億個へとほぼ倍増し、同期間のCAGR13%になると予測しています。世界のMEMS市場は、2025年までに177億ドルの収益に達する可能性があります。

 

多くのセンサーを統合したウェアラブル機器が増加傾向にありますが、費者志向を高めたヘルスケア機器への動きもあります。さらに、音声インターフェースおよび音声/バーチャル・パーソナル・アシスタント(VPA)関連市場が今後も高い成長を見せ、音声キャプチャの品質を高めたMEMSマイクへの需要が増加しています。MEMSデバイスは、高精度化、超低消費電力化、組み込み知能、そして医療アプリケーションのための生体適合化へと向かっています。

 

MEMS のプレーヤーは、コモディティ化を防ぐために、多数のセンサーをグループ化してセンサーハブを形成したり、あるいはデータ処理、アルゴリズム、ソフトウェアを追加したりすることで、より多くの価値の提供を試みるでしょう。業界のプレーヤーは、センサーの近くにプロセッサを追加(例:Knowles)や、クライアントのアプリケーションのユースケースの改善(例:Bosch ST)など、様々な戦略を採用しています。エッジ側のAIは付加価値追加には非常に魅力的であり、すでに多くのスタートアップ企業が取り組んでいます。いくつかの例としては、常時オンセンシング(AspinityInfineonSyntiantと共同開発)、エコーロケーション(IMERAI)、慣性センサーを使った予測メンテナンス(Cartesiam)などがあります。これがMEMS技術の次の焦点になることは間違いないでしょう。

 

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SEMICMOSイメージセンサ(CIS)は、先進運転支援システム(ADAS)のようなアプリケーションにむけたマシンビジョンやAIを搭載したデバイスの開発で要となる技術です。CISは、新しい技術製品やユースケースにおいて、現在進行中の多くの革命の原動力となっています。イメージセンサー業界の現状はどうなっていますか?

 

Liang:昨年は、旺盛な需要と生産能力の限界による高価格が重なった例外的な年でした。2019年第4四半期は予想を大きく上回り、最終的にCIS業界は通年で193億ドルに達しました。今年は通常に戻りますが、パンデミックの影響があるにもかかわらず、7%から12%の範囲での成長が見込まれると考えています。昨年の前年比25%の成長率は、過去10年間で最も高いものでした。CIS の市場シェアは、モバイルが 69%と依然として市場を支配しています。コンピューティング(8%)とコンシューマ(5%)の2つの市場は、モバイル市場に隣接しているが、スマートフォンの混乱により、徐々に地歩を失っています。

 

セキュリティの市場シェア 6%ですが、今後はおそらく CIS の第 2 位の市場となるでしょう。これは中国の新興プレーヤーにとっては得意分野なのですが、残念ながら現在の貿易戦争で打撃を受ける可能性があります。自動車市場は、ADAS、ビューイングカメラ、インキャビンカメラの新アプリケーションが多数開発され、2018年から2019年にかけて非常に好調に推移しました。最後になりますが、産業用カメラアプリケーションは、特に半導体産業と自動車産業の大規模な自動化投資の恩恵を受けましたが、これらの市場がポストCOVID-19の世界で再編成されるため、多くの不確実性が存在しています。

 

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SEMI:季節性とCOVID-19の影響を最も受けやすいCIS市場はどれですか?

 

Liang:四半期毎に実施している当社のCIS市場観測によると、自動車市場とセキュリティ市場は、季節性の観点から当社の予想以上にパンデミックの影響を受けました。コンピューティング市場については、ロックダウンの直前に状況が改善しました。第1四半期はノートPCやタブレットの販売が好調に推移し、プラスの影響を受けましたが、セキュリティ機器に大きな影響はありませんでした。車載用は通常の季節性通りに第1四半期のカメラ需要が非常に高くなりましたが、その後は自動車出荷台数が減少しました。2020年の自動車用CIS市場は、自動車の生産台数が減少したものの、カメラの装着率が増えたことで、2019年と比較してほぼ横ばいで推移するでしょう。消費部門と産業部門は第1四半期に下落しましたが、これは年明け早々に通常発生する動きです。

 

Yole automotive今後5年は少し伸び悩むかもしれないし、来年の成長を予測していますが、将来的にはモバイル市場のシェアは低くなるでしょう。実際、モバイルCISの成長率はCISの成長平均を下回っており、セキュリティ、自動車、産業分野のシェアの拡大が見込まれます。CIS市場は2025年には280億ドルに達する可能性があります。

 

当初、COVID-19は、中国の工場が正月休みに入る時期にパンデミックが始まったため、生産面への影響は限定的でした。現在は供給が回復していますが、当社では需要面での影響はまだ限定的だと考えています。2020年のスマートフォンの生産台数は6%減となりますが、今年はモバイル向けカメラの出荷台数が10%程度増加するはずです。モバイル市場のもう一つの追い風となるトレンドは、光学式指紋認証の実装です。現在、ハイエンドのAndroidスマホが、この種の技術を採用しています。2023年については、光学式指紋認証からの収益は10億ドル以上になると予測しています。

 

自動車市場のロードマップは、カメラの普及によって推進されています。1台の車に10台のカメラが搭載され、一部の高級車ではそれ以上のカメラが搭載されるようになるでしょう。安全性や利便性に対する需要の高まりは、今後、1台あたりのカメラが増えることを意味します。装着率が高いことから、現在の自動車市場の平均は1台あたり2.0台程度ですが、2025年には1台あたり3.5台になると予想しています。セキュリティ分野でも、現在はCMOS方式のIPカメラが最も重要となり、CCD方式のカメラは市場からほぼ撤退しています。

 

SEMI:現在重要となっている技術トレンドは何でしょうか?

 

Liang3D半導体技術がホットです。CISウェーハ積層技術は、間違いなくCIS技術競争の中心にあります。将来的には、AI分析などの最近開発されたプリケーションを適用した新しいタイプのCISが考えられます。これまで、CISの様々な種類の画素が登場してきました。最近ではグローバルシャッター(GS)や間接TOF方式が登場し、現在ではTOF方式の画素が量産されています。3D半導体技術は、1チップに多くの価値を詰め込むことができるため、業界にとっては大当たりとなりました。シリコンの表面積が増えているのですが、追加分は積層されます。

 

COVID-19はまだ問題視されており、2020年のスマートフォンの終着点はいまだに不透明です。CISへの短期的な影響としては、昨年の前年比25%という成長率が今年は鈍化するでしょう。自動車生産台数の落ち込みは、車載カメラの装着率の上昇で緩和されると考えられます。また、セキュリティ市場もCISの成長をサポートするでしょう。

 

以下のレポートからMEMS/センサー市場のさらなる情報が得られます(外部リンク):