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2020-08-16

単結晶技術が開く新たな世界

KRYSTAL株式会社は山口県宇部市に拠点を構えるベンチャー企業であり、センサー、アクチュエーターとして広く使用されているMEMSMicro Electro Mechanical Systems)の素材開発を行っております。これまでDLC(ダイヤモンドライクカーボン)成膜で培った独自のプラズマ制御技術を基盤として、圧電体の一種としてよく知られているPZT(ジルコン酸チタン酸鉛)の単結晶薄膜の工業化に成功して以来、各種圧電材料の単結晶化に基づいた技術の進化に挑み続けています。

 

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弊社技術のキーワードは「単結晶」です。原子配列の向きが全く同一である物質は単結晶と呼ばれ、その代表例としてダイヤモンドが挙げられます。硬くて透明なダイヤモンドも、柔らかくて黒い鉛筆の芯も、構成元素(もしくは原子)は同じカーボン(炭素)であり、その結晶構造の違いによって物性が大きく変わることが知られています。これは上記のPZTも例外ではなく、単結晶化によって特性面が大きく改善されるため、利用シーンの拡大や、コストダウンの効果が期待されます。 

 

semi-blog-japan-Nov-3現在、商品化しているのはPZT薄膜であり、成膜品のご提供だけでなく、お客様からのご支給基板への成膜サービスも行っております。成膜されたPZT薄膜は前述の通り単結晶となっており、低い誘電率を持ちながら、高い圧電性や変位におけるリニアリティー、温度特性を実現している面白い材料となっています。また初めから分極されているため、お客様の工程でポーリングの必要がないというのも、特徴の一つです。弊社では現在2種類のPZT単結晶薄膜を標準仕様製品としてラインナップしており、お客様のニーズに応じて提供しております。

 

①センサー仕様

高いc軸配向性を持ち、誘電率を140以下まで下げることで、歪みによる出力電荷量を向上させた仕様です。圧電効果の利用に合わせた設計をしています。

②アクチュエーター仕様

高いd定数と耐電圧を持ちながら、誘電率を下げてバランスを取った仕様です。逆圧電効果の利用に合わせた設計をしています。

これら標準仕様膜に限らず、お客様からのご要望に合わせて膜特性をカスタマイズすることも可能です。弊社では高い技術力と豊富な経験に基づき、お客様にとってのオンリーワンの圧電膜を提供致します。 

 

semi-blog-japan-Nov-4さて、一般的には単結晶膜の成膜というのは、難易度が高いことで知られております。それにも関わらず、弊社が比較的幅広くカスタマイズできる理由は、独自の単結晶化技術の懐の広さにあります。圧電膜を単結晶化するにあたり、結晶格子整合層(バッファー層)としてジルコニア(ZrO2)を使用しており、その表面には極めて緻密かつ微小なピラミッド構造が形成されています。弊社はこのピラミッド構造が上部の薄膜の結晶格子に応じて動くことで、自然に配向が生じるといったメカニズムを世界で初めて発見。実際にこのメカニズムに基づいて、様々な材料の単結晶化に成功しています。

 

 具体例としては、鉛フリー材料の代表格であるKNN(ニオブ酸カリウムナトリウム)やBaTiO3(チタン酸バリウム)、RFフィルターの材料であるLT(タンタル酸リチウム)、LN(ニオブ酸リチウム)の単結晶化が挙げられます。また、強相関系材料として注目されているBFO(ビスマスフェライト)にBLT(ランタン酸タンタル酸ビスマス)の単結晶化にも成功しました。

 

全く格子定数の異なる様々な材料が同じバッファー層上で単結晶化していることは、まさに驚くべき事実です。この技術を応用することによって、新たな機能性材料が出現する可能性を目の当たりにして、一人の技術者としてもどこまでも夢が膨らむばかりです。

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弊社ではこのバッファー層も商品として、皆様にご提供しております。大学との共同研究の中で、このバッファー層を使うことによって、弊社の外でも単結晶化に成功されており、特性向上の一助となっております。基礎的な研究分野から、製品の応用開発まで、様々なお客様にご使用頂いております。

 

 semi-blog-japan-Nov-6ベースとなる材料の性能が上がれば、自ずと製品の性能も向上します。様々な場所・用途で弊社の技術は必要とされると信じております。常に柔軟な発想と実直な姿勢で技術を磨き続け、「小さな巨人」の気概を持ってお客様の期待とニーズに応えて参ります。

 そして「あらゆるものを単結晶化する」をスローガンに、光学素子やパワーデバイスといった新たな領域にも常に挑戦し続け、安心・安全かつ快適な社会の実現に取り組んで参ります。