Nexperiaは、5年前にNXP Semiconductorから売却され独立した企業です。2019年より、当社のアジアにある後工程工場のスマート製造化に着手し、スマート化を正しい方向に導くため、ロードマップを開発しています。
スマート製造ロードマップを信憑性のある実行可能なものとするために、まずNexperiaにとってのスマート製造とは何かを定義しました。スマート製造の定義はさまざまあるので、当社では異なる2つの注目すべき技術適応点に着目しました。
- 物理的自動化
- データ駆動型製造、つまり機械学習およびAIモデルの開発のコアに分析を使用すること
導入時の非効率性を回避するためには、物理的自動化とデータ駆動型製造の間で適切な投資バランスを見出すことが重要です。この2つを連結したソリューションでなければ十分な価値は提供できないからです。当社のアプローチには、以下のようなおおまかなステップがありました。
- 社内の管理チームとのミーティングで意見を聞き、工場のニーズと成熟度を検討する。
- 他の半導体工場のオペレーター、サブコン、パートナーとのミーティングを行い、彼らのスマート製造へのアプローチと課題を検討する。
- Singapore Smart Industry Readiness Indexモデルに対する当社のニーズとステータスの評価をする。
物理的自動化
利用可能なソリューションと製造業および自社の製造現場への適用の成熟度を評価することが、思考プロセスをシンプルにする上で大いに役立ちました。
- 物流の自動化は目新しいことではありません。ソリューションは非常に成熟しており、カスタムレイアウトや嗜好も簡単です。
- 製造現場は物流よりも、単純に変動性が非常に大きいので、遥かに困難です。
- 従来型の製造現場への投資は、品質あるいはOEE(設備総合効率)の観点から行われますが、両者はかならずしも連結していません。
当社では、物流自動化をまず実施し、それから製造現場へと進める、外側から内側へのアプローチをとりました。
データ駆動型製造
スマート製造がどうなるかは、工場がどの程度データ駆動型であるかにかかっています。データ駆動型の製造を実現するには、トレーサビリティ、コネクティビティ、リアルタイムオペレーションの改善のための基礎投資が必要です。当社は、リアルタイムの状況認識が、現場の予測的、認知的な制御に不可欠な、マシンレベルおよびクローズドループのプロセス制御を推進できると考えています。
リアルタイムの状況認識システムを開発するためには、広範囲の製造プロトコルが必要となります。次にあげた重点領域が、課題の整理に役立ちました。
- コネクティビティ
- 製造実行システム(MES)、品質、SAP等のエリアのコアシステム
- 分析およびAI
- 単一のオペレータインタフェースとリアルタイム制御システムを備えたデジタル作業現場
- エンジニア、テクニシャン、マネージャの対応準備
それぞれの重点領域の複雑性は、旧来の装置やシステムやプロセス、また自動化になじまないエンジニア等によって異なります。そのため、データ駆動型のオペレーションは、複雑な難題です。それぞれの領域に対して、当社では異なるプロジェクトアプローチを検討しました。
- コアシステム―ほかにも複数の実現技術(テクノロジーイネーブラー)を構築し、優先順位計画に沿って展開
- 分析―自動化された根本原因分析と予測アプローチで、主にOEEと歩留まりに焦点を当てる
- リアルタイム制御―工場全体の計画と統合し、生産性と品質を向上
強力なスマートマニュファクチャリングのロードマップがあれば、次の課題は、経営陣から計画に対する長期的な賛同と必要な投資を得ることです。そのためには、すでにスマート製造のインフラを導入している同業他社の工場を訪問し、交流することが重要です。SEMIのメンバーの協力を得て、経営陣と一緒に工場を訪問して見学することができました。また、当社の経営陣は、この変革的な取り組みの価値をより深く理解するために、サブコンやベンダーとも面談しました。
スマート製造のロードマップを成功させるためには、長期的な展望が必要であり、その成功を確実にするためには経営陣のコミットが必要です。当社はスマート製造への旅に興奮しており、それが工場のゲームチェンジャーになると信じています。