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2020-09-14

最先端製造のためのビッグデータトランスファー

新型コロナウィルスは産業レベル、または個人レベルで様々な面で世界を変化させ、情報の使い方や消費するデータのボリュームも変化させています。ビッグデータの需要は予想以上のスピードで増加しており、以前のレベルに戻ることはまずないでしょう。

スマートマニュファクチャリングテキストオーバーレイ

マイクロエレクトロニクス製造のためのスマート製造(インダストリー4.0)とAPC(アドバンスプロセスコントロール)の重要な要件として、近年ビッグデータの需要がますます高まっています。その結果、新型コロナウィルスによる外出制限指示のために作業者が工場の建屋に入ることがでないのにも関わらず、多くの最先端の生産施設が「消灯モード」(無人)で稼働しています。 このような変革は、業界標準に基づく装置の自動化への継続的な投資によって可能となっています。

 

マイクロエレクトロニクス業界の技術専門家は、1,000を超えるSEMI規格を基盤として、ビッグデータの課題に継続的に取り組んでいます。その一つが、製造装置から大量のデータを収集するための高速データ収集フレームワークである装置データ収集(EDA)規格群です。SEMIは、最新のスループット要件を満たすためにEDA機能を強化するための第一歩として、SEMI E179-0320(Specification for Protocol Buffers Common Component)という新しい規格を発行しました。この規格は、SEMI スタンダードInformation & Control技術委員会の下のData Diagnostic Acquisition (DDA) タスクフォースが、EDA Freeze 3の開発の一環として作成したものです。

 

新しい規格

SEMI E179は、プロトコルバッファーズの技術を利用した最初のSEMI規格であり、今後、他の新規格もこの技術をベースにしていくことが期待されています。Protocol Buffersは、プログラミング言語に依存しないインターフェース定義言語であり、異なるシステムやプラットフォーム間で情報を共有するのに適しています。 プロトコルバッファーズは構造化されたデータをエンコードします。プロトコルバッファーズは構造化されたデータを扱えることについてはXMLExtended Markup Language)同様ですが、バイナリプロトコルを使用して必要なデータだけを送ることにより、XMLよりも高速化することができます。

 

プロトコルバッファーズとgRPC® (gRPC Remote Procedure Calls)EDA規格に統合し、HTTP/2技術を活用することで、ネットワークパフォーマンスの向上、データ転送の効率化、コンピュータリソース管理の改善を実現しています。HTTP/2はパフォーマンスを向上させるためにHTTP/1.1からバージョンアップされたものです。 HTTP/2は主要なクラウドベンダーのサービス(Amazon CloudFront®Microsoft Azure® Content Delivery Network (CDN)など)がサポートするなど、その技術の採用が広まっています。

 

パフォーマンスの向上

プロトタイプテストの結果、提案された技術(すなわち、gRPC/プロトコルバッファーズを使用したHTTP/2)は、現在使用されている既存の技術(すなわち、SOAP/XMLを使用したHTTP/1.1)と比較して、大幅なパフォーマンス上の利点があることが実証されました。1つの重要な違いは、SOAP/XMLがチャネル上のすべてのデータを文字列テキストとして送信することに起因しており、これはバイナリ形式で送信するほど効率的ではありません。

 

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gRPCは、プロトコルバッファーズで定義された中立的なインターフェースを利用して、実装に統合できるプログラミング言語固有のコンポーネントを作成します。これらのコンポーネントは、gRPC、プロトコルバッファーズ、HTTP/2プロトコルに従って通信チャネルを介して送信されるメッセージのシリアライズとデシリアライズを行うため、実装者はコア機能に集中することができます。gRPCは主要なプログラミング言語とプラットフォームをサポートしています。主なgRPC採用企業には、SalesForce®Google®などがあり、この技術はすでにいくつかの業界で大規模に導入されています。

 

今後の展開

DDAタスクフォースは、Freeze3の一環として、機能を整理して顧客のユーズケースをよりよく反映するために、gRPCとプロトコルバッファーズの統合に加えてEDA規格群(SEMI E125SEMI E132SEMI E134SEMI E164)中の規格の更新を進めています。

 

10年以上前にEDA Freezeバージョン12が開発されたとき、HTTP/1.1SOAP/XMLは、異なるシステムコンポーネントが相互に通信できる安定した技術でした。それ以来、技術は著しく進歩し、gRPC/プロトコルバッファーズを含むHTTP/2は、マイクロエレクトロニクス業界で大規模な展開が可能な成熟度に達しています。」(Scott Ritchie, Director of Product Engineering, PEER Group® 談)

 

データを転送する際には、セキュリティが重要な要素であることに変わりはありません。暗号化プロトコルのSSLSecure Socket Layers)とTLSTransport Layer Security)は、ネットワーク上で動作するコンポーネント間の認証とデータの暗号化を提供し、悪意のある行為者が転送された情報を読み取ったり変更したりできないようにします。gRPCSSL/TLSをサポートし、装置と工場のデータ通信を保護します。これにより高いレベルのセキュリティ要件を満足させることができ、企業レベルのセキュリティ要件にも合致させることができます。

 

高速、効率的で安全なデータ交換は、データに対する業界の需要の高まりをサポートする基盤となります。 gRPCとプロトコルバッファーズによりHTTP/2を使うことにより、パフォーマンスを大幅に向上させて、ビッグデータの課題に対応することができます。 堅牢な技術に基づいた標準規格の導入は、最先端のマイクロエレクトロニクスメーカーの絶え間なく進化する要件を満たすための鍵となります。

 

 著者について

Albert Fuchigami氏は、PEER Group Inc.のシニアソフトウェア開発者です。SEMI標準化活動に積極的に参加し、北米データ診断収集(DDA)タスクフォースの共同リーダーを務め、Information & Control技術委員会にも貢献しています。Albert氏は、工場のホストシステムとのデータ通信を最大限に活用するための標準化のデモンストレーションに力を注いでいます。彼は、HTTP/2 gRPC およびプロトコルバッファーズ技術を装置データ収集 (EDA) 規格に統合することを支持しています。

 

本件についての問合せ:

SEMIジャパン スタンダード&EHS部 菅野博史(hkanno@semi.org )

 

初出:2020611日、Standards Watch Newsletter

※本稿は、Standards Watch Newsletterに掲載されました記事を日本語訳にしたものです。

元の記事 https://www.semi.org/en/standards-watch-2020June/next-gen-of-SEMI-EDA-standards