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2021-03-23

ハイテク業界のダイバーシティ推進 - 無意識の偏見を自覚する

人間の脳は、わずか1秒の間に1,100万ビットの情報を処理しています。脳はめまぐるしく回転しているようですが、そうでしょうか?実は、そのうち意識されて脳を通過する情報は、ごく一部の40ビットにすぎません。大部分の情報は、意識下で処理されているのです。例えば、呼吸、心拍、消化などの自律神経系機能は、私たちが気づきもしない間に、体を動かしています。

このような無意識のデータ処理が、他の人の年齢、性別、民族、人種、身体障害などに基づく偏見に根ざし、私たちの視点や判断を決定することになると、問題となります。これが職場で人に対する不公平な扱いにつながるなら、さらに重大な問題となります。

ON Semiconductorでダイバーシティ、インクルージョン、タレント部門のシニアディレクターを務めるAlicia Scott氏は、無意識の偏見と無縁ではありません。彼女は、それが人間の行動にどのような影響を与えるかを良く学んでおり、男性優位のビジネスであるハイテク業界で働く黒人女性として、身をもって体験をしています。

2月に開催されたFLEX Conference 2021で、ハイテク業界の多様性を促進するために講演したScott氏は、昨年、あるベンダー候補と電話で提案書を検討したときのことを語りました。その際、ベンダーの担当者は彼女の声から女性と話していることに気づき、彼女の上司も入れて、別の機会に提案書を検討できないかと尋ねました。

そのベンダーは全く悪意なく、Scott氏の上司が男性であると思い込んで「彼」は来週時間が空いているかと尋ねたのですが、これは性的偏見の教科書的な事例です。

Scott氏の最近の昇進に際して、同僚は彼女が出世の階段を昇ったことを祝福し、それから、ON Semiconductorが職場の多様性目標を達成するための昇進ではないかと尋ねたのです。昇進への偏見という形で盲点があらわになりました。

また、Scott氏自身も、感情に流された偏見(親近感バイアス)を自身に感じたことがあると言います。あるとき、採用が必要なポジションに応募された履歴書をチェックしていると、自分の母校を卒業した候補者を見つけたのです。学校での経験を共有できると思い、彼女はわくわくしました。この会社では、採用担当者が共通の経歴を持つ候補者を好む自然な傾向を避けるため、複数の面接官による面接を導入して、候補者の資質をバランスよく客観的に審査するようにしていました。その結果、Scott氏の目に留まった候補者ではなく、最も優秀な資格を持つ候補者が採用されました。

 

無意識の偏見がキャリアステップに影響

Diversity in Tech Talent無意識の偏見は、採用、昇進、リーダーシップなど、あらゆるキャリアステップで表面化する場合があるとScott氏は言います。Harvard Business Review誌の調査によると、アジア系の求職者がアジア風な名前を履歴書や職務経歴書に記載した場合、連絡が返ってきたのはわずか11.5%だったそうです。アフリカ系アメリカ人の場合、状況はさらに悪くなります。黒人の応募者が履歴書に民族を記載した場合、採用担当者が連絡を取ったのはわずか10%でした。応募書類から民族名を削除したところ、黒人の25%、アジア系の21%が採用担当者から連絡を受けるという結果になりました。

職場の多様性を推進する世界的なアドボカシー団体であるLeading Nowによると、無意識の偏見は、企業における女性の役員昇進の障壁ともなっています。その理由のひとつは、過去40年間にわたって、女性へのキャリアアドバイスが、新入社員から中間管理職への昇進支援を目的としとおり、役員昇進は対象外だったことにあると、調査結果のハイライトをあげて指摘しました。

McKinsey & Companyが最近実施した調査「Women in the Workplace」では、管理職に昇進する男女比率は、男性100人に対し女性は85人にすぎないとの結果が出ており、Leading Nowの調査結果を裏付けています。また、すべての業界全体では、管理職の男性の62%に対し女性は38%にとどまっています。男性が支配的なハイテク産業では、女性の管理職の割合はわずか24%です。

体格的な問題も、トップ昇進を左右します。大企業の男性CEOの平均身長は6フィート(183cm)であり、CEOの90%は平均身長を上回っています。背の高い男性は、背の低い男性よりも昇進頻度が高いのです。

 

無意識の行動を改める

無意識の偏見をなくすためには、NeuroLeadership Instituteが開発した、脳を使ったSEEDSモデルを利用するのが一番の近道かもしれません。このモデルでは、150種類以上ある無意識の偏見を、意思決定に大きな影響を与える5つのタイプに分類し、その予防策を提示します。例えば、会社員であれば、自分とは異なる印象の人との共通点を見つけようと試みたり、経歴の異なる人への理解を深めるために情報を集めたり、自分との類似性(similarity)、即決性(expedience)、自己経験(experience)に対するバイアスによって客観的な判断が妨げられないよう他者の視点を求めたりすることができます。

重要なのは、組織が無意識の偏見を克服するためのプロセスを導入することだとScott氏は述べました。従業員リソースグループ(特性や経験に共通性のある従業員のグループ)活動や無意識の偏見に関するトレーニング実施といった草の根的な取り組みは、多様性のある職場文化の育成につながります。また、経営陣レベルでは、CEOをはじめとするビジネスリーダーがダイバーシティのロールモデルとなり、文化的障壁の克服へ向けて体系的に取り組むことができるでしょう。

報酬は明らかです。ダイバーシティ&インクルージョンの取り組みが人事やビジネスプロセスと統合されればされるほど、企業はより多くのイノベーションを推進し、より良いビジネス成果を得る可能性が高くなります。Scott氏は、Deloitteの調査結果を引用して、「無意識の偏見に配慮していない組織と比較して、ダイバーシティ&インクルージョンの考え方を持つ企業は、財務目標を達成または超過する可能性が2倍、革新的で機敏な活動を行う可能性が6倍、高いパフォーマンスを発揮する可能性が3倍、より高い業績を達成する可能性が8倍になる」と述べました。

ダイバーシティを重視した企業文化を構築するには何から始めればよいかを考えるとき、最も重要なのは、最初の、私たちの脳の力のほんのわずかしか思考には使われていないことを認識するステップだと気づく場合もあるでしょう。

「私たちは皆、自分が無意識のうちに偏見を持っていることを認めなければなりません。これは私たちが莫大な情報を処理する方法の一部であり、私たちの生態の一部なのです」とScott氏は言いました。

 

SEMIのダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン

SEMIのダイバーシティ・エクイティ・インクルージョンチームは、組織が無意識の偏見を改めるよう挑戦しています。SEMI Foundationの活動をフォローし、重要な会話(crucial conversation)に参加することで、その方法を学ぶことができます。

マイケル・ホールは、SEMIのマーケティング・コミュニケーション・マネージャーです。