新型コロナウイルスが半導体産業を襲ったとき、SEMI会員は自社の従業員の安全確保と事業の継続という新たなハードルに直面しました。SEMIはただちに世界の会員を支援するフォーラムを立ち上げ、事業継続や安全確保のベストプラクティス、サプライチェーンの問題、事業の影響と回復についての会員の見方を発信しました。
このフォーラムは会員アンケートという形をとり、第1回のアンケートは2020年3月に行われました。結果はSEMI会員全体で共有され、パンデミックの影響拡大への対処に役立てていただきました。
以下は、2021年5月に行われた第4回会員アンケートのまとめです。
回答者の地域および分野比率
回答者の40%は北米に本社がある企業の社員でした。
その他の回答者の所属企業の本社所在地域は、欧州/中東が20%、日本が13%、台湾が10%、中国が10%、韓国が5%でした。
回答者の40%が半導体製造装置メーカー、21%が材料サプライヤー、14%がデバイスメーカー、6%がソフトウェアおよび設計サービス、3%がOSAT、EMS、ODMでした。
事業継続のための方策
5月の調査では、生産を長期的に停止した企業はほとんどありませんでした。事業を継続するためには、図1に示すように、会員企業は程度の差こそあれ、ソーシャルディスタンス確保、マスク着用、体温チェック、勤務時間変更、接触者の追跡を実施しています。なかには、強制検査、人同士の近接センサー、空気清浄機、サイトの人数制限なども組み合わせて実施し、海外から入国した外国人労働者を宿泊施設に隔離して必要な検疫を行っています。
図1
いずれの対策もSEMIのEHSS COVID-19ワーキンググループのオンライン会議で定期的に検討を繰り返してきたものになります。このグループは、会員企業において安全性のモニタリングとコンプライアンスを担当するファシリティマネージャーや人事マネージャーで構成されています。
企業のワクチン接種方針
ワクチン接種のペースは世界の地域で大きく異なるため、職場復帰前にすべての従業員にワクチン接種を要求している回答者はわずか5%でした。また回答者の12%はワクチン接種方針をまだ検討していませんでした。大多数の企業は従業員のワクチン接種を奨励していますが、要求はしておらず、26%は従業員個人の判断に委ねています。
図2
北米では、ワクチン接種を要求あるいは奨励している企業が大半を占めています。欧州では、従業員判断に委ねるか奨励する企業はありますが、接種を要求している企業はありません。日本の企業は主に従業員に接種の判断を委ねており、中国の企業は要求する企業、奨励する企業、従業員に委ねる企業に分かれています。これらのガイドラインは各地域の法律で要求されたのではなく、雇用主や地域の政策立案者の判断によることが明らかです。
デジタルトランスフォーメーションへの準備状況
デジタルトランスフォーメーションの技術や手法の導入に投資したことがあると回答したメンバーが過半数を占めましたが、来年もデジタル投資を継続すると回答したのは約14%にとどまりました。多くの回答者は、オンライン会議ソフトウェアを導入しており、また半導体製造における遠隔診断や予測モデリングのために、バーチャル・リアリティ・ツールを導入しているか、その計画をしています。
図3
職種別の勤務ロケーション
当然のことながら、パンデミック時に自宅から仕事ができなかった製造部門や配送部門のスタッフは現場に戻っており、研究開発部門やエンジニアリング部門がまもなくリモートワークを終了し、次いで財務や調達の復帰が続くことを回答は示唆しています。営業およびマーケティング部門が、リモートワークの割合が最も高く、営業部門は今後もしばらくリモートワークを続けるスタッフが最多となるでしょう。
図4
今後の不透明な経済への対応
回答した274社のうち、84%にあたる229社が、COVID-19への対応を経て、これから経済的不確実性に直面した場合の回復力が強化されたと感じています。しかし、継続するサプライチェーンの問題や原材料の不足は最大の懸念事項となっており、その他にも顧客からの需要の増加、稼働率を上げる可能性、従業員数や施設全体の増強要求などが上位に挙げられています。
図5
回答いただきました会員企業の皆様に感謝申し上げます。今後のアンケート調査についてもお知らせしてまいります。
SEMI EHSS COVID-19ワーキンググループの活動の詳細については、こちらのWebサイトをご覧ください。
Heidi HoffmanはSEMIの技術コミュニティマーケティング部門シニアディレクターです。