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2021-01-26

スマート・モビリティ、5G、再生可能エネルギーが求める新材料パワーデバイス

電気自動車、再生可能エネルギーや、その他のIoTや5G、スマート製造、ロボットといった技術イノベーションは、いずれも信頼性があり高効率でコンパクトな電力システムを必要としており、そのため炭化ケイ素(SiC)や窒化ガリウム(GaN)による低電圧な小型デバイスのサポートが求められています。しかし、これらの半導体材料をパワーシステムに組み込むために、チップ設計者は技術的および経済的な壁を乗り越えなければなりません。

SEMIはEV Groupの事業開発マネージャーであるElisabeth Brandl氏に、パワーエレクトロニクス業界のトレンドと新たな発展について、またスマート・モビリティにおけるパワーデバイスのアプリケーションについてお聞きしました。Brandl氏は、SEMI Technology Unites Global Summit(2021年2月15-19日、オンライン開催)の中で2月18日に提供されるSEMI SMART Mobility Forumの講演者です。本イベントは現在登録受付中です。

 

SEMI:パワーエレクトロニクスの新たな発展をけん引しているものは何でしょうか?

 

TUGS EV Group logoBrandl氏:世界的に、通信や、自動車、電力変換に対するインフラ要求が大きく変化しています。こうした変化は、5G、電気・ハイブリッド自動車、再生可能エネルギーを例に挙げるだけで、十分明らかでしょう。デバイスレベルでも、特にパワーエレクトロニクス分野では、こうした変化が顕著に現れています。

パワーエレクトロニクス業界は、従来のシリコンパワーデバイスでは対応できない状況に数多く直面しています。SiCやGaNのようなワイドバンドギャップ半導体材料を使った新しいデバイスアーキテクチャに、性能面で易々と追い越されてしまうのです。

 

SEMI:パワーエレクトロニクスのイノベーションは、業界のどんな課題を解決するのでしょうか?

 

Brandl氏:電力変換効率は大変重要であり、ここでの損失が全体の電力消費に大きく影響するため、さらなる改善が必要です。グリーン電力や環境フットプリントの改善には、再生可能エネルギーが不可欠ですが、総合的な電力消費効率も同様に重要です。しかしながら、パワーデバイスの役割は過小評価されがちです。データセンターや再生可能エネルギーのインバーターといった高周波、高電圧のアプリケーションは、パワーエレクトロニクスの重要な分野ですが、シリコンのパワーエレクトロニクスでは限界に達しているのです。

 

SEMI:シリコンから化合物半導体材料へと変わることの利点はなんでしょう?

 

Brandl氏:いくつかの化合物半導体は材料特性が優れており、電力変換や高周波挙動でのニーズに対応することが可能です。現時点では、主にGaNおよびSiCのパワーデバイスが、こうしたニーズへの対応に適したものと考えられていますが、その他にもダイヤモンドや酸化ガリウムなどの材料の開発が、こうしたアプリケーション向けに進められています。SiCは薄化しても電力損失が小さく熱挙動にもすぐれた特性を持っており、電力変換効率だけでなく、フォームファクターの点でも有利です。GaNは、特に高電子移動度トランジスタ(HEMT)として、高周波アプリケーションに使用することができます。

 

SEMI:SiCやGaNのパワーデバイスのコスト効率の良い製造には何が必要でしょうか?

 

Technology Unites Global Summit with DateBrandl氏:最終カスタマーがコスト効率として一般的にあげる数字は、1アンペアまはたワットあたりの金額です。これはシンプルに思えるかもしれませんが、現実は当然ながらもっと複雑です。重要なのは、製造時における主要なコスト要因を理解することです。SiCの場合、それは当然、基板のコストになります。私の講演では、ウェーハ接合による基板コストの低減方法を示します。GaNの場合に重要なパラメーターとなるのは、基板上に単結晶膜を成長あるいは堆積させるエピタキシー工程です。もちろん、歩留まりもコスト効率に非常に重要な影響を及ぼします。つまり、メトロロジーを含む優れたプロセス制御が大切だということです。

 

SEMI:多くの半導体メーカーがSiCやGaNへの変更を進めています。サクセスストーリーをご紹介いただけますか?

 

Brandl氏:パワーデバイスメーカーの大手はどこも、SiCあるいはGaNパワーデバイス技術を、買収するか自社開発しています。彼らもまた、パワーデバイス市場におけるワイドバンドギャップ半導体の未来が明るいと見ていることになります。もっとも大きなサクセスストーリーは、STMicroelectronicsのSiC MOSFETパワーデバイスでしょう。これはTeslaのModel 3に2018年から採用されているものです。

 

SEMI:この先には何が?

 

Brandl氏:ダイヤモンドや酸化ガリウムなどのパワーデバイスの新材料の探求が行われています。SiCについては、トレンドは8インチ基板に向かっており、これはSTMicroelectronicsがまとめているEUのREACTIONプロジェクトの焦点ともなっています。コスト低減と基板の供給の役割も大きなものです。材料供給は現時点での最大の不確実要素となっており、主要パワーデバイスメーカーは全て、SiC基板の供給を確保するためにサプライチェーンと契約を交わしています。最終的には、サプライチェーン全体の協力が全ての関係者にとって非常に重要であり、利益となるでしょう。これにより、発展の条件を良く話し合い、優先順位をつけることができるからです。

 

TUGS EV Group Elizabeth BrandlElisabeth Brandl氏は、EV Groupの事業開発マネージャーです。オーストリアのヨハネス・ケプラー大学リンツ校で半導体・固体物理学の修士号を取得し、2014年からは、EVGで仮接合と化合物半導体の製品マーケティング管理を担当しています。