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2021-03-15

車載MEMSセンサー最新動向

自動車産業は変化をしています。車は電動化し、ネットにつながり、自動化しています。このトレンドが加速するにつれて、MEMSセンサーなどの車載半導体デバイスの設計や認定への影響も増しています。車載半導体設計者は、製品の仕様とそれへの適合性、そして長期信頼性に注意深い配慮をしますが、MEMSセンサーメーカーは、車の電動化や自動化によってもたらされたチャンスに、自動運転用の慣性計測ユニット(IMU)やEV用リチウムイオン電池の電池圧力監視センサーを開発することで、応えています。

 

最も複雑なMEMSデバイス

車載用MEMS IMUは、自動車の内部で使用される最も複雑なMEMSデバイスといえるでしょう。このタイプのIMUは、複数のジャイロスコープと加速度センサーの検出素子、および信号処理ASICを1つのパッケージに統合したシステム・イン・パッケージ(SiP)となっており、回転運動ではヨー、ロール、ピッチ、直線運動では横、縦、縦の最大6自由度(6DoF)を測定できます。

vehicle

自動車の運動方向

 

レベル3以上(SAE定義による)の自律性を持つ車両では、カメラ、レーダー、ライダーなどのセンサーが障害を起こした場合に、IMUが車両の軌道制御を引き継ぐことが必須となっています。このような場合は、IMUが速やかに車を安全停止させる誘導センサーとして機能します。また、IMUは自動運転中の車の規則的な挙動を制御するためにも使用されます。

IMUの技術は航空宇宙アプリケーションではすでに存在していますが、それを自動車に適応させるには大きな課題があります。車載用IMUには、自動車産業が受け入れられるコストで高性能を実現することが求められます。自動車のライフサイクルは長いため、MEMSセンサーのサプライヤーは、デバイスを長期間にわたって大量に生産する必要があります。また、センサーの性能と信頼性を10年から15年の寿命まで保証し、その間、センサーのメンテナンスや再校正が不要であることも求められます。このようなビジネスに参入する能力と意欲を持つMEMSサプライヤーはわずかしかありません。

 

電動化がMEMSセンサーの新たなアプリケーションを創出

内燃機関から電気モーターへの転換は、パワートレイン用MEMS市場にも影響を与えています。例えば、エンジン制御に使用される空気圧や燃料圧力の圧力センサーは、電動化によって単純になくなります。しかし、電動化された自動車に大型のリチウムイオン電池が使われるようになったことで、MEMSセンサーの新たな用途が生まれました。

リチウムイオン電池のリスクとして知られているのが、電池セルが熱暴走して火災に至る確率がわずかですが存在することです。電気自動車のバッテリーが発火する事故が複数報道されています。

NXP Thermal runway effects

 熱暴走の影響

 

熱暴走現象は、1秒1秒が勝負です。このイベントをできるだけ早く検知することで、車両安全システムは、火災が差し迫っていることを乗員に警告し、火災の影響を軽減するための対策(消火器の起動や消防隊の要請など)をタイムリーに実行するために必要なあらゆる手段を講じることができます。

バッテリーパック内の圧力を測定することで、熱暴走が始まっている兆候を早期検知できることが研究でも報告されています。バッテリーセルのアウトガスに加え、急激な温度上昇により、バッテリーパック内の圧力が上昇し、圧力パルスが発生するのです。

このような圧力パルスを検出するためには、MEMS圧力センサーがパック内の圧力を常時測定する必要があります。また、大気圧の変化とは無関係に、圧力の不審な変化をバッテリー管理システムに報告しなければなりません。車両が完全に停止している場合でも、システム内の圧力異常を検出するためには、この種のセンサーを常にオンにしておくことが重要です。NXP社は、電気自動車におけるこの新しい安全アプリケーションに特化した圧力センサーを開発し、すでにいくつかの自動車メーカーがこのソリューションを使用しています。

 

NXP battery pressure management sensor

NXPバッテリー圧力計測センサー

 

欠陥ゼロの探求

自動車業界の究極の目標は死亡事故ゼロですが、半導体業界やモジュールサプライヤが目標とするのは、半導体デバイス全点の欠陥ゼロです。AEC(Automotive Electronics Council:車載電子部品評議会)の半導体信頼性試験Q100に適合した安全重要MEMSセンサーの場合、デバイスを欠陥ゼロで生産し、信頼性を長期保証することが必要ですが、明らかにそれだけでは不十分なのです。

車載センサーの信頼性と堅牢性を高めるために、NXPはAbove and Beyond(AaB)という新しい手法を開発しました。これは、デバイスの認定や生産に先立って、高度な信頼性と堅牢性を研究するものです。リスク軽減分析に基づき、AaB手法では、不合格になることを前提とした過酷試験(test-to-fail)、コーナーロットの試験、新たなユースケース試験などの広範なテストを高度な統計を組み合わせて実施し、異なるパラメータの相互作用を明らかにします。センサーメーカーは、AaB手法をプロジェクト計画に組み込む必要があるため、プロジェクトの時間と経費が増加します。しかし、生産開始前にデバイスの弱点を検出して修正することができれば、この初期投資は利益につながります。一方、フィールドでの不具合は、計画外のデバイスの再設計や再調整を要する可能性があります。最悪の場合、莫大な費用がかかるリコールに発展することも考えられます。NXPでは、安全重要MEMSセンサーにAaB手法を体系的に採用していますが、それはAaB手法の潜在的なメリットがコストをはるかに上回るからです。

NXPのMEMSセンサーの詳しい情報を、ウェビナーシリーズ「MEMS to Market: Ingredients for Success」での講演「The Growing Importance of MEMS Reliability」をご覧ください(2021年5月5日)。シリーズの講演はオンデマンドでも提供されます。

MSIG webinar series

 

著者紹介

Marc Osajda

自動車およびMEMSセンサー分野で約30年の経験を持つMarc Osajda氏は、NXP Semiconductorsで欧州の車載MEMSセンサービジネス開発活動を担当しています。

Osajda氏は、フランス国立高等芸術・職業訓練学校(ENSAM)で機械工学と電子工学の学位を取得しています。

 

原文はこちら:https://www.semi.org/en/blogs/technology-trends/whats-driving-changes-in-mems-sensors-for-automotive