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日本の震災が世界的な太陽光発電政策の強化を引き起こす

日本を襲った巨大地震と津波は、複数の原子炉にも被害を及ぼしました。これに呼応して世界の各国政府は、太陽光発電政策を強化し、太陽光やその他の再生可能エネルギーに対する期待を、今年についてばかりか長期的にも高めています。

Deutsche Bank Securities(ドイツ銀行の米国会社)クリーンテクノロジー投資銀行業務ディレクタのアダム・バーグマン氏は次のように述べています。「私の予想では、欧米の原子力発電所はより厳しく検査がされるようになり、新しい原子力発電所の建設計画は棚上げとなる公算が高い。現在運転中の原子炉については、特にドイツでは、現状の計画に従って廃炉となり、使用期間の延長はないだろう。」

ドイツは運転中の17基の原子炉のうち7基を3ヶ月間停止することを決定し、原子力エネルギー依存の終結を加速しています。ドイツは、原子力エネルギーの利用を内在する危険性を理由に取りやめる、最初の主要産業経済国となるでしょう。

昨年ドイツ政府は、当時のゲルハルド・シュローダー首相の下、緑の党と社会民主党の連立政権によって2002年に成立した、ドイツの原子力発電所を2022年頃までに全廃する法律を、撤回しました。原子力の段階的廃止は、25年程度をかけてゆっくりと進める考えでしたが、日本の原発事故によって加速されることになったのです。保守的な政治家であっても、国民感情が変化したと述べています。ブルームバーグへの発言で、ドイツ副首相兼外務大臣のギド・ヴェスターヴェレ氏は、原子炉冷却システムが現在極めて重大となっていると述べました。「安全は、経済的利益よりも先に、私たちが最も優先するものでありつづける。(日本の事故の後では)私たちは、簡単に普段の生活に戻ることはできない。」

AP通信が伝えるところでは、ドイツは現在23%のエネルギーを原子力エネルギーから得ており、これは米国とほぼ同じ割合です。原子炉を停止するためには、代替エネルギー源に少なくとも1,500億ユーロの投資が必要です。ロイター通信の報道によると、アンゲラ・メルケル独首相は、再生可能エネルギー基金を現在の3億ユーロから10億ユーロへと引き上げるなどして、原子力エネルギーの不足分を補おうとしています。

時価総額でドイツ第2位となるソーラー企業 SolarWorldは、旺盛な米国市場と、日本の原発危機を背景とする再生可能エネルギー産業の急成長から力を得て、今年と来年は販売が増加すると考えています。

「日本は聖書に出てくるような規模の災害にあっている。それが示しているのは、私たちは原子力エネルギーから脱却し、必要なエネルギーは全て再生可能な供給を確保することが必要ということだ」と、SolarWorldのCEO フランク・アスベック氏は、年次記者会見の席で発言しています。

米国最大の原子力発電事業者であるExcelon CorporationのCEO ジョン・ロウ氏でさえ、「日本で発生していることによって、太陽光および風力の需要が増加することは間違いないだろう」と言っています。

3月21日にSEMIが開催したPV Fab Managers Forum(太陽電池工場管理者フォーラム)
において、IHS iSuppliの太陽光発電アナリスト、ヘニング・ヴィヒト氏は、フィードインタリフが減額される模様だが、それでもドイツの太陽光発電市場は成長するだろうと予測しました。またヴィヒト氏は、ピークとなる数ヶ月の設置水準が低下し、その結果、ウェーハの価格が今年後半、特に第4四半期に押し下げられる可能性があると見ています。第4四半期の設置量は、ドイツでは昨年の1.3GWに対し、今年は約3GWにまで達するかもしれません。年間を通しての設置量は2010年と同水準の約7.1GWとなりそうです。また同氏は、ドイツにおけるシステム価格が、大規模設置については2.0ユーロ/W、住宅用については2.6ユーロ/Wまで下がらないと成長は回復しないと予測します。モジュール価格は、1.1ユーロ/W~1.5ユーロ/Wの範囲まで下落するでしょう。

EuPD Researchもまた、ドイツ市場が、2011年に成長することを予測していますが、成長率はもっと穏やかになると考えています。

その他の反応

中国とインドも、原子力エネルギーの再考をはじめています。温家宝中国首相は、3月16日に国務院常務会議を招集し、原子力発電は安全を第一に考える必要があることが強調されました。運転中および建設中の原子炉について、緊急安全検査を実施することが、この会議で決定されました。また核安全計画を急ぎ制定し、それが完了するまでは、新たな原子力発電プロジェクトの審査・認可を一時停止することも発表されています。

Trina Solarの高紀凡社長は、上海市に近い常州市にある本社屋で、ロイター通信の質問に答えて「原子力発電所の開発を真剣に見直し、太陽光発電などの再生可能エネルギー開発にもっと力を注ぐべきだと、個人的には考えている」と述べました。

インドのマンモハン・シン首相は、今週、国内20箇所の原子力発電所について安全検査を至急することを求めました。日本の事故についてシン首相は、「(損傷した原子力発電所によって)私たちは原子力の安全性に対する戦略を再考し、事故から学ばなければならなくなった」とコメントしています(出所: Emerging Asia ビビアン・ニー氏)。

イタリアでは、様々な噂が流れています。イタリアが、太陽光発電の累積設置容量を上限8GWまでとするなどの政策変更によって、太陽光発電市場を制限しようとしているというのです。議論は続いていますが、先週になってイタリア政府は、(現在、そして多分将来も)上限枠を設ける考えはないが、2011年6月に実施されるフィードインタリフの引き下げについては引き続き議論をするつもりであると発表しました。

米国は世界最大の原子力発電国ですが、オバマ政権の政策は揺るぎませんが、それ以外の兆候も現れ始めました。

「日本の事故の進展について情報は次々と届いているが、政府はそれから学び、米国内では原子力発電が確実に安全かつ責任をもって行われることをお約束する」と、ホワイトハウス報道官のクラーク・スティーブンス氏はニューヨーク・タイムズ日曜版で述べています。

しかしながら、米国の政治家たちは原子力を再考しています。

「わたしは、原子力発電を大いに後押ししてきた。それは国産エネルギー、つまり私たちの手にあり、そしてクリーンだからだ」と言うジョセフ・リーバーマン上院議員ですが、「(しかし)日本で起こったことを我々が消化できるまでは、黙って速やにブレーキを踏むべきだと私は考えている」と述べています。

(初出 The Grid 2011年3月号)